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第4話『あらすじって、どこまでネタバレするか迷うよね』


 ――ダウンロードが終わらねぇ。


 それが呪いだと気づくまでの経緯は割愛するが、果たしてどうしたものか。

 ひとまず、あの魔女が何か知っている伏線を張ってきた。悔しいが乗っかるほかないだろう。

 あれから数日、彼女から接触してくることはなかったが、正直探すのが面倒だから早々に姿を現してほしい。ああいう厄介者は必要なときに限っておとなしい。だいたい潜伏場所も教えずに何なのだ?

 とりあえず日曜の街を徘徊する。学校もないのに午前中に起きたのなんて久しぶりだ。普段お出かけなんてもんはしないから私服を持ってない。かといって制服で工場や路地裏をうろつくのもはばかる。結局、寝間着として使っている白Tシャツと体操着の短パンで出陣する。


 まずは俺が華麗な右鉄アレイフックで、シュギコ氏を助けた廃工場へ向かう。ああいう別れ方をしたら、普通はそこで待っているものだ。相変わらず人気のない場所だ。工場内へ入る。すると闇を切り裂く光の中でセクシーナースが注射器を持って寝そべっていた。風が吹いてぺらぺらと音をたてる。


 ――エロ本発見!


 辺りを見回すが、やはり人の気配はない。チャンスだ。今の俺にとって、どれだけ貴重なお宝か。獲物を捕らえるヒョウのように飛びついた。


 ズドゴゴガーン!


 何が起こったのだ? 目の前から紙吹雪が風に乗って飛んでいった。左手が青く光っている。


「クソが!」


 どうやらブルドックなんちゃらが発動しちまったらしい。こいつは何がなんでも俺からエロを奪おうというのか?

 えぐれたアスファルトから、左へと目線を移すと、もう一冊それらしき雑誌が落ちていた。


「今日はついてるかもしれん」


 次は慎重に、右手を伸ばす。ところが、雑誌が突然地面をすべり俺から離れていった。もう一度手を伸ばすが届かない。何度やってもぎりぎりのところで逃げられる。そうこう繰り返している内に工場の敷地から出てきてしまっていた。


「おい、待て。どうなっていやがる」


 俺は無我夢中で追いかけた。幸い人気のないルートへと進んでいるが、運動不足が露骨に身体をいじめる。だんだんと酸素が薄くなってきた。だが、それでも諦めるわけにはいかない。例え命を落とすことになろうとも、希望へと伸ばしたこの手を引っ込めることなどできんのだ。すべては未来の子供たちのため! である。


 もう小一時間くらい走ったのではなかろうか。このままフルマラソン完走も有り得なくもない。いったいどこまで行くのだろう。

 雑誌の進路を確認する。すると雑誌にばかり集中して気づかなかったが、妙な物体が浮遊していた。ゆらゆらと雑誌から逃げるように飛んでいる。そいつと雑誌の間で、何かが光った。

 どうやら前の物体が糸で雑誌を引きずっているらしい。そして目を凝らして見てみると、藁らしきものが束になっているのが確認できた。その先に棒が伸びている。


 間違いない。奴の仕業だ。とっとと出てくりゃいいものを、なぜこんなに走らせるのだ?

 怒りが湧いてきた。自然と脚力が増し雑誌を追い抜いた。左手で糸を切ってやった。ホウキはそのまま直進して小さくなっていった。

 息を整え、雑誌を開く。


「ちっ、ただの青年誌かよ」


 ページをめくれどめくれど出てくるのは、水着姿のグラドルとスキャンダラスな記事ばかりだった。最終ページをめくると紙切れが挟んであって、マジックペンでこう書かれていた。


【おつかれさま! 見事、試験に合格しました。アナタを正式にAVの従業員として認めます】


 ──はめられた! 

 話が勝手に進んでいく。しかしAVってのが気になる。もしやアダルトメーカーに入社できるってことなのか? だとしたら是非ともよろしくお願い致しますなのだが?


 紙切れの裏側には下手くそな地図が書かれていた。矢印の場所は、どう考えても例の廃工場だった。

 

 工場に着くと、魔女とホウキのような髪型の若い男がズグダンズンブングンゲームをしていた。


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