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時巡りて果たされる約束と願い〜勇者大戦に紛れる異分子〜  作者: 浪漫病
第一章 新たな自分の始まり
4/7

第四話 オルクの街での買い物

街での事件どうするか悩んでてぜんぜん進まなかった……

最後の部分変える可能性ありです。

 オルクの街は大きさはそこまででもない。人口が600人程度の街だ。だが、この街は魔術の始まりの地と呼ばれていて、国の中で王都の次に魔術が発展している。


 魔術が日常生活に組み込まれて過ごしやすいのだが、この周りの土地は非道の魔女の屋敷に近いうえに、魔術師団が所有しているためこれ以上開発できないでいる。なので人口はなかなか増えないが商人は結構な数がくる。


 魔術師団は約120名ほどの魔術師で構成された部隊で、戦争の際に研究された魔術を使い敵を蹂躙しているらしい。念のため、魔術が上手く使えない代わりに剣の腕を磨いている騎士の部隊が20名ほどいるが、大体は近づかれる前に殲滅する魔術師で構成されている。


 オルクの街の近くに彼らの砦があるのだが、そこは研究の成果をふんだんに使い鉄壁の守りを作り上げている。壁は固定魔術と圧縮魔術を長時間使い、頑丈なレンガを作り上げ組み立てられている。魔術を打つためか、広大な庭がありそこで魔術の練習をよくしているそうだ。


 だが、この砦の本命は地下の拷問施設だ。まず、この砦内では魔術が使えない。壁や天井、床の至る所に細工がしてあり魔術を発動できなくしている。しかし、魔術師団の団員は魔術を使用できる。つまり捕まったやつが暴れようと一方的に魔術で撃たれるだけだ。


 魔術師は魔術が使えなくなったらただの一般人と大して変わらない人が多い。なので、魔術師殺しと裏では呼ばれていて地下の拷問施設に囚われた仲間を助けようとした、裏の世界で暗躍している魔術師がこぞって失敗している。


 情報が漏れないように捕らえられた人を殺そうと暗殺者を送っても、探知の魔術で見つかりやはり失敗する。まさに鉄壁の砦、一度捕らえられたが最後、逃げ出すことも助けることもできない。


 そんな砦を拠点にしている魔術師団の団長の名はステネ・ルドリフィア。17歳の時に魔術の研究で多大な成果を出して王国から認められ、魔術師団の団員となった。頭が良く、実戦でも大活躍が続き魔術師団の幹部にまで上り詰め、貰った砦に自分の研究成果を使い頑丈な拠点を作り上げた。


 授かった砦の場所は王国から馬車で3日ほどの所で、近くに非道の魔女の屋敷があるオルクの街の近くだ。彼の故郷にある砦なので過ごしやすいだろうということでその砦が選ばれたのだ。あわよくば魔女をどうにかしてほしいという国王の思いも選ばれた理由だろうが……


 定期的に魔女の屋敷に行っていて、魔女に使用人としてこき使われていたらしい人たちを助けたりしていて街の人たちからは尊敬され、魔女と何らかの因縁があるのではないかという噂が流れている。


 彼は街を魔術で発展させて過ごしやすくしてくれた。街の近くの砦にいる魔術師が見回りをしているおかげで街の周りが安全になった。魔女に捕まっていた人をたすけていた。様々な要因が重なり、ステネは街では人気になっている。もう50代のおじさんだが、子供から老人にまで優しいと評判だ。



――――――――――――――――――



 街の図書館には彼の功績が載った本が置かれている。どれだけ街に貢献してくれたか街を訪れる商人に教えたりして広めているほど人気で、子供に教えるために本にすらなっている。その内容を読んだ終夜は一言、


「魔女の噂ってなんですか(震え声)」


 そう漏らしていた。因みに別に震え声で言っている訳ではないが何と無く震え声と終夜が言いたかっただけである。終夜は噂の魔女の屋敷に住んでいる。そこで一週間ほど生活したが別に雇い主のクレアは悪い人ではなさそうだった。終夜と話しているときは人と話すのが楽しいのか笑顔だし、別に仕事も厳しくもない。寧ろ終夜が適当にやっている仕事に目をつむっている。何故か寂しそうな顔をする時もあるが……非道だの何だのと言われそうな事はなかったし、そういう部屋も見当たらなかった。


 生活する場を与えてくれて、こうして服を買ってこいとお金も貰えた。仕事の量が若干多いのと、雇い主自らが作る飯が不味い以外は特に悪くない。実験室に魔物用の檻があるぐらいで人を捕まえていた痕跡なんてなかったし、寧ろ人がいなくて寂しそうにしていた。


 まあそれが雇い主が痕跡を消すのが上手いだけで騙されている可能性もあるが、終夜は何かおかしいと感じていた。非道の魔女の噂を聞き集めていたが変なのばかりだった。


 曰く、魔女は旅人を捕らえて魔術の実験台にしていた。

 曰く、魔女は人を攫い、脅して無理やり使用人として働かせていた。

 曰く、魔女は人々に害のある、ステネ様とは正反対の魔術を作っている。


 実験室の掃除をした時にチラッと見たが、別段普通の研究をしているようにしか見えなかった。効果を聞いたりもしたが、寧ろ役立つ研究が多そうだった。俺が雇われる時も強制ではなかったし、仕事もそこまで多くない。俺が騙されているのか、この噂が根拠もない差別的な嘘なのか判断できないが兎に角このステネという人物とはあまり関わりたくないと思った。こういう人気のある人物は何かあるような気がする。


「ある程度情報集めたし服も買った。後は食材買って帰るだけ」


 終夜は本を直してから図書館を出た後、紙に書いた食材を買い終えてさあ帰ろうとしたところで何か騒がしいのに気づく。


「盗人だ! 誰か捕まえてくれ!」


 どうやら商人が売っているものを盗んだ奴が出たらしい。この街は魔術師団が近くにあるが街中までは見回りをしていない。なので街中での犯罪に対しての対処は街の人々でしなければならない。他の商人は護衛を一人か二人雇って盗まれないようにしているが、物を盗まれた若い商人は新人なのか雇う金がなかったのか、護衛を雇っていない。あれでは店を放っておけないため追いかけることすらできない。そのため盗人の獲物とされたのだろう。


 盗人は道を歩いている人集りの間をぬって逃げようとしている。周りの人たちは関わりたくないのか捕まえようとしない。警備隊が駆けつけてくるまでに逃げ切れば盗人はおそらく捕まらない。


 周りは騒がしくも、ボケっとしながらまっすぐ歩く終夜が手に持っている籠を見て、盗人はついでに目の前のか弱そうな少女(・・)が持っている食料も盗もうと考えたのだろう。空を見ながら周りの騒ぎに気付いてないかのように歩いている終夜の籠を引っ手繰ろうとして……


「ていっ」

「え?」


 盗人は一瞬にして上空へ投げ飛ばされた。投げ飛ばした際に盗人の手から盗品が溢れたが、誰もそれを気にする余裕がなかった。一見か弱い少女が盗人を投げ飛ばしたことに呆気にとられているのだ。


「おろ?投げ技なんていつ覚えたっけ」


 その投げた当人は自分が自然と投げ技へと持って行ったことに驚いていたが、その場を去ろうとしたら再起動した周りの人たちに囲まれた。


「おお、嬢ちゃんすげえな! 嬢ちゃんよりも体格のでかい野郎が綺麗に吹っ飛びよった!」

「今の身のこなしすごいね! どこかの道場にでも通ってるのかい?」

「そんな若いのにすごいねぇ! もしかして有名な冒険者さんだったりするのかい?」


 周りから掛けられる幾つもの声に対応できない終夜は周りを見回して一言、


「私、男なんですけど」


 それを聞いた周りは一瞬にして黙り、一番近くにいたおじさんが声をかけた。


「いや……でも嬢ちゃんスカート履いてるし身長も低いじゃないか。あれか? 男ってことにしないといけないことでもあるのか?」

「いえ、ご主人様が無理やり着せてきただけですので。それに身長は別にそんな低くありません」


 先月計ったときは170いってたぞ、とムスッとしながら反論したそうにしていたら周りから哀れみの目を向けられた。無理やり着せられたという言葉を聞いて可哀想にと同情しているのだ。


「そんな酷いことをするのはどこの貴族様なんだか……」

「おい、そんなこと言ったのを貴族様に知られたらただじゃ済まんぞ!」


 周りがガヤガヤと喚いているが当の終夜はというと……


「どうでもいいけど帰りたいから退いてくれません?」

「あ、ああ。すまんな、嬢ちゃ……じゃなくて坊主」


 そうして人集りが左右に分かれ、出来上がった道を終夜が歩いていく。終夜が向かう先が分かればどこの貴族かわかるかもと思って皆が見ている中、終夜は普通に門のところまで歩いて行き、そのまま街から出て行った。


「おい、あの子街の外に出て行ったぞ」

「じゃああの子は街の外の子なの?でも隣町に戻るなら馬車の方が速いし、ここから徒歩で帰れる場所となると……ッ!?」

「お、おい! まさか……」


 この街の近くに一つだけ、大きな屋敷がある。非道の魔女の屋敷だ。非道の魔女がまた人を攫って扱き使っているのだと、先ほどの一件を見ていた人々は噂し、その噂はたちまち町中に轟きある人物の耳へと届くのであった。





「籠じゃなくて紙袋とかだったら持ちやすいのにな〜」


 そんな噂の張本人はさっさと帰ってサボりたいと思いながら帰路についていたが……

10/9 盗難部分を訂正しました


誤字・脱字ありましたらお知らせください。

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