表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/37

暗躍 4

おまたせしました。本編再開です。

伊豆に入る前、駿河のとある荒れ寺で、配下の山伏達と合流する。

「坂東の様子はどうじゃ?」

儂の問いに、山伏達は順々に答えていく。

「武藏は、比企が…」

「下野は、足利と小山が…」

「常陸で、佐竹が…」

ふむ…、結局、山猿に叩かれた者達か。あとは、南で火が上がれば山猿を叩けるな。

「それから…これはまだ噂の段階なのですが」

山伏の一人が儂に言う。

儂は、先を話すように促す。

「上総介が兵を集めはじめていると…」

ほう…やはり源氏の下になりたくないか…これは、使えるかもしれんな。

「よし、儂の文を持って行け。山猿討伐の暁には上総一国を任すと伝えよ」

上総、常陸、下野、武蔵…ふむ、山猿を叩く包囲網ができるか。

儂は、笈から筆を取りだし書状を認める。


「さて…『姫』はどうしている?」

儂は、別の文を認めながら尋ねる。

瞬間、山伏達の顔が曇る。

「何かあったのか?まさか、死なせたのではあるまいな?」

儂は、皆を睨み付ける。

『姫』がいなければ、東国での挙兵に齟齬をきたす恐れがある。

実は…と、山伏の一人が儂に結果を話す。

『姫』は、何者かに連れ去られた後、『産みの母』の北条政子の元に転がり込んだらしい。

頼朝の『正室』と『娘』が一緒なのは好都合だが、一体誰が、儂の手から『姫』を奪ったのか?

「それで『姫』達は今どこに居る?」

儂は山伏達を見回す。

「三島大社に滞在しているようです」

山伏の一人が答える。

「ふむ…では、儂の文を持って足利、比企らの元へ走れ。すぐにでも兵をあげろとな。三島から『姫』は、信濃に帰るはず…また襲ってはまずいかもしれん。監視だけしておけ。儂は、西の報せが来てから三島に向かう」

儂は、これからの段取りを皆に伝えて旅装を解いた。


「『姫』は三島に滞在したままか?」

山伏の報告を受けて儂は呟く。報告にきた山伏が頷く。

儂は少し考える。『姫』はすぐにでも信濃に帰ると思っていたからだ。

「あるいは…どちらかが体調を崩したか?」

儂は、またぽつりと呟く。ありえる事だ…信濃から出たことのない姫が伊豆まで来たのだ。疲れと張り詰めていた糸がきれたのだろう。

そんな事を考えていると、一人の山伏がやってくる。

「光家様、行頼様より…」

そう言って、笈から書状を取り出す。

儂は、書状に目を通す。

「ふむ…讃岐平家の一部が合流したようじゃ。知盛や教盛らの子供や郎党どもらしいが」

儂は、笑みを漏らしながら言う。

「よし…光家に伝えろ。みやこに使者を立て、叡山と朝廷を揺さぶれと。急げよ」

儂は、山伏に命じる。山伏は、一礼するとすぐに立ち去る。

「さて…西も動いた。あとは、『三島』か…」

儂は、一人呟く。


恐らく、坂東で兵火が上がるだろう。

範頼も姫も儂の傀儡にしてしまえば良い。

ふふっ、かつての後白河院のように…儂が事実上源氏を取り仕切る。それが、今は亡き兄達にできる儂の『復讐』…

父為義の末っ子として産まれた儂は、誰にも相手にされなかった。皆、幼かった儂の事など目もくれなかった。儂はそれが悔しい。挙げ句、甥達にも『戦下手』と思われるようになった。だからこそこうして見返してやろうとこの計画を立てた。まぁ、頼朝が義仲に倒され、平家も分裂したのは計算外だったが…あの頃、もう少し乱が続いていれば、儂は熊野から畿内に勢力をのばせたのだが…

まぁ、いい。恐らく女狐は信濃で床に臥せたままだろう。しっかりと心を折ってやったからな…ましてや、『姫』が女狐の元におらんのだからな。

山猿だけなら、儂の口でどうとでもできる。


翌日、儂は『三島大社』に向けて歩き出す。

儂の思い通りに世が動く…なんと気持ちの良い事だろう。

儂の足取りは、軽い。

「義仲の後は、義経か…京育ちなら御しやすいわ」

儂は明るく青い空を見上げて呟く。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ