序【夢】
皆様、よろしくお願いします。
私は、今日13歳(数え)になった。
最近、よく同じ夢を見る。
幼子の私の前で、一人の女性が蹲り泣いている。
それを見下ろせるとなると、私は誰かに抱き上げかかえられているのだろう。
私は、私を抱き上げている人物の方に視線を移す。
「巴母様、巴母様!」
私は、呼び掛けるが、巴母様は聞こえて無いのか、朱糸威の大鎧を着て、何やら泣いている女性に向かって話している。無論、話の内容は私に聞こえない。
どこかの武家屋敷の庭先だろうか…少なくとも、ここ松本屋敷では無い。
吸いなれた空気と違う気がする。それに、見慣れた山や樹木も無い。
巴母様は、私を抱き抱えたまま、泣いている女性に背を向け去っていく。
ふと、泣いている女性が顔を上げて私の名前を呼んだ気がした。
私は、その女性を見るが顔がよく見えず、無邪気に手を振る。
そして、いつもそこで夢は終わる。
「大姫、おはよう」
私が目覚めると、優しい笑顔をし身支度を整えた巴母様が声をかける。
「巴母様…、おはようございます…」
私は、眠い目をこしこしと擦りながら挨拶する。
一体、あの夢は何だったのだろう…そんな事を考える。
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