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4 はじめての戦い

 こうして、私はアッカを連れて酒場に行くことにした。


 町の中には酒場『トビが生んだ鷹亭』と書いてある。あんまり料理美味そうな名前じゃないな。


「あのさあ、よくよく考えたらまだ昼でしょ。酒場、がらがらなんじゃないの?」

「だからこそ、この時間に飲んだくれてる奴がいたら、かなりの確率でクズみたいな奴じゃ。ケンカっ早いのもおるじゃろう」

「けっこう、とんでもない論理だな……」


「いくら、精霊使いであっても、相手が堅実だったら勝負を断られる恐れもあるからのう。それでは決闘が成立せん。一方的に攻撃したらただの犯罪になってしまう」

 なるほど。それは一理ある。


 というわけで、酒場に入った。


 入るなり、お酒のにおいがつ~んとしてくる。

 すでに店内には五人ぐらい客がいたが、たいして酒を飲まずに料理を食べている人もいるので、レストランとしても利用可能ということだろう。


 その中の一人に、目が釘付けになった。


 ダルマみたいな丸っこい体型で黒い口ヒゲがびっしり生えている。あだ名は山男で確定だろうというような風貌だ。年齢は四十歳ぐらいか。


 何これ……。ドキドキが止まらない……。


 まさか、こんな人に私、恋したの……? 年齢差、倍以上あるのに!? けど、恋って理屈じゃない気がするし……。けど、全然タイプじゃないし……。


 ――と、向こうもこちらに気付いたのか、視線を向けてきた。


 ヤバい! 見てるのばれちゃった……。


「ほう、嬢ちゃん、精霊使いなのかい。かわいいエレメンタルを連れてるじゃねえか」


 どうして、精霊使いってわかった!? ――と思ったけど、アッカを連れてきたままだたことに気付いた。出してるエレメンタルは肉眼で見える。


「俺も精霊使いなんだよ。今、手元にいるのは四体だけどな」


 そうか! さっき、変にドキドキしたのは精霊使い同士だったからか!

 危ない、危ない……。恋だと錯覚しかけた……。


「さあ、申し込むのじゃ」

 アッカが言ってきた。そうだな。そのために来たのだ。


 私は山男の前にまで出ていく。


「あの、エレメンタルで私と決闘してもらえませんか? か、賭け金は五千ゴールドで……」


 相場がどれぐらいかよくわからないが、それぐらい稼がないと宿に泊まれない恐れが高かった。

 問題はこちらが負けた場合、一円も払えないということだが……。


「いや、俺のほうはその十倍の五万ゴールド出してやろう」


 なっ! そんなに自信があるのか!? 実は超強い人だったらどうしよう……。


「あの、すいません……。そんなお金持ってないんですけど……」

 怖くなって、自己申告した。


「別にいいぜ。その代わり、そっちがもし負けたら――」

 えっ、まさか体目当て……? そんな人と戦いたくないよ……。怖いよ……。

「――そっちのエレメンタルと一日デートさせてくれ」


「エレメンタル目当て!?」


 酒場の店員さんが「あ~、ホラットさん、本当に小さい子好きだね~」と笑っていた。


「この人、ロリコンなんですか……」

「おっと、心配するな。俺はロリコンだが、女の子の怖がるようなことは絶対にしない。女の子から笑顔を奪う奴は許さない。だから、心配するな」

「それって、『あ~、よかった』って言っていい案件なんでしょうか……?」


 自分はロリコンだけど安全なんだぜと堂々と来られてもやっぱり怖いと思う。


「ちなみに、精霊使いのあんたは十七歳ってところだな」

「そうですよ。よくわかりますね」

「育ちすぎたな。五年前ぐらいから成長が止まってればよかったのによ。もう、おばさんだ」

 ガチでロリコンの人だ……。


「大丈夫じゃ。わらわが負けるわけなかろう。わらわはアークデーモンじゃぞ」

 アッカが胸を張った。

「それに、もしもわらわが負けても、あの男に『おもちゃ買って~』とかねだれば買ってもらえそうじゃから、それを売って宿代にしよう」

「そんなセコいことするぐらいなら、町の人に頭下げて泊めてもらうわ」


 こうして、酒場の外で精霊使い同士の対決が始まった。


 私のほうは最初から出ているアッカが戦う。

 ぶっちゃけ、キングカープは絶対弱いので、出しても無駄だろう。


「ちなみにハルカよ、エレメンタルは戦闘でどれだけ傷ついても死ぬことはないからな。わらわたちは実体を持っておるようじゃが、マナというものを使って戦っておる。戦闘でこのマナが全くのゼロになることはないので大丈夫じゃ」


「つまり、手加減はナシでいいってことだね」

「そういうことじゃ。それと、エレメンタル同士の戦いは両者の取り決めがない限り、一対一の勝ち抜き戦じゃ。敵が四体持っておるようじゃから四体全部倒さねばならん。まあ、楽勝じゃの」


 アッカのその言葉を信じることにしよう。


「よし、では俺もまず一体目を出すぜ! さあ、出てこい、ピクシーのピク子!」


 登場したのは体長たった三十センチほどの羽の生えた美少女の妖精。


「なるほど。ピクシーか。たいしたことはないの。よっしゃ、行くか!」


 アッカは一気に突っ込んでいく。

 あれ、これって、開始の合図とかとくにいらないんだ……。


 アッカは近づくと――

 バチーン!

 ピクシーの顔をはたいた。


「う、うぇ~ん!」


 ピクシーが涙目になって、やがて泣き出した。


「くそっ! ピク子が敗れたか!」

 山男が叫んだ。えっ、これで勝負あったの!?

「次はフェアリーのフェア子だ!」


 今度もさっきと同じぐらいの大きさの女の子の妖精が出てきた。


「こんなんばっかりだったら、同じことじゃ!」

 またアッカがビンタする。


 フェアリーが泣きだした。


 マジか……。なんか、小学生同士のケンカみたいだけど、こんなのでいいのか……。


「あっ、ハルカよ。念のため断っておくが、これは相手が弱すぎるから手加減しておるだけじゃぞ? わらわはもっと上級の存在じゃぞ?」


「うん、それなりにepは高かったもんね……」

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