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3 幼女悪魔に質問

 そうだ、この子、詳しそうだしちょっと聞いてみよう。


「あのさ、あなた、立派な悪魔なんだったら、どうして人間にタッチされるだけで捕まえられちゃうの?」

「それは、もう大昔からそうなんじゃ。人間は矮小な存在のくせに、自分の目で見つけられない生物を捕まえることができる能力が備わっておるのじゃ。はっきり言って人間はそういうものとしか言えぬのう」


 まあ、私が元々いた世界と人間がまったく一緒じゃないのは当然なのかな。


「ただ、人間は精霊が見えぬのじゃから、捕まえることなど早々はできんがな」

「ちなみに、あなたがエレメンタルってことは、この世界はモンスターって言われる存在はいないの?」

「それがエレメンタルなのじゃな。大きなウサギとかネズミとかで実体を持っておる種族もおって、場合によってはそういうのをモンスターと呼ぶが、大半のものは人の目に映らんから実質エレメンタルという枠組みに入っておるの」


 つまり、私がいた世界でのモンスターという言葉が代わりにエレメンタルになっているということか。


「しかし、お前、わらわのほかにキングカープしかおらんではないか。初心者なのか?」

「一時間前にはじめました。というか、この世界に一時間前に来ました」

「マジか……。だから、全然知らぬのじゃな……。まあ、やむをえぬか。これも何かの縁じゃろ……」


 ふぅ、とアークデーモンはため息をついた。


「お前、名前は何と言う」

「ハルカだよ」

「そうか、ハルカよ。お前を最強の精霊使いにしてやろう。そうすれば、わらわにも箔がつくというものじゃ。わらわがお前を鍛えてやるのじゃ!」


 びしっと私を指差してくるアークデーモン。


「やっぱり、かわいい!」

「だから、抱きつくでない!」

「あなたにも名前つけないとね。デモ子にするね」

「かわいくないのじゃ! センスなしか!」

「じゃあ、アッカにする」

「まだ、マシじゃの……」


 こうして、アッカと二人の旅が始まることになりました。

 ※キングカープもいます。


「しかし、よくピンポイントでわらわを捕まえたのう……。普通、こんな席座らないだろうってところで昼寝しておったのに……。やたらとがさがさ探してる奴がおったら目が覚めるのじゃが、決め打ちで狙われるとどうしようもない」

「私、どこにエレメンタルがいるか見えるから」

「なんじゃ、それ。チートすぎるじゃろ。エレメンタルからも姿を消してるエレメンタルは見えんのじゃぞ」

「だって、そうだもん」


 スマホを見せてみた。


「『エレメンタルGO』じゃと……。ふざけたゲームを作りおって……」

 やはりエレメンタルから見てもこれはチートらしい。


「じゃが、これなら、超上級のエレメンタルを見つけて、最強の精霊使いになるのも簡単ではないか。もちろん、そんなすぐに捕まえられるところにおらんがな」

「あれ、あなたが強くなって、無双していくんじゃないの?」

「たしかにわらわも強い。強いが……世の中にはリヴァイアサンとかクリムゾン・フェニックスとかシルバー・ドラゴンとかほとんど神として信仰されてるクラスのエレメンタルがおるのじゃ。こんなのに勝つのは難しいぞ……。」


 たしかにいくらアークデーモンっていかめしい名前でも、そんなおっかないのには勝てないよな。


「ちなみに戦闘時に必要なステータスはどこで見れるの?」

「ステータス? そんなもんはないぞ。だいたい、そんなの見れたらつまらんではないか」

 あれ? こういうゲームってステータスがあるものだけど。


 そういう機能ってないかなとスマホをいじってみた。


<epを見ますか? はい・いいえ>


 おっ、なんか、あったぞ。こういうのってpはだいたいパワーかポイントの略だし、これじゃないのか。


キングカープ ep 38

アークデーモンep374


「おお! アッカ、だいたいキングカープの十倍強いよ!」

「当たり前じゃ。キングカープに負けるわけなかろう。ところで、その十倍って数字はどこから来とるんじゃ?」


 スマホを見せてみた。


「うわ、ポイント出ておるぞ!」

「だよね。これ、エレメンタルポイントの略だよね」」

「そうか、わらわがこれぐらいの力なのか。ある意味、妥当なところじゃのう」


 さて、ひとまず自分が置かれてる特殊な環境も理解できてきたので、次の問題を考えたい。


 ちょうど、私のおなかも鳴った。


「何か食べたい……」

「ふうん。わらわ達エレメンタルは食わずとも死なぬから、平気なのじゃぞ。いいじゃろう。うらやましいじゃろう」


「いや、うらやましいだろとか言ってないで、お金を稼ぐ方法を教えてよ」

「お金の算段なんて知らぬわ、ハルカが勝手に稼げ。そうじゃ、男にでも買ってもらえばよいのではないか」


 私はぎゅ~っとアッカのほっぺたを両側からつねった。


「いたひ、いたひっ!」

「女の子がそんな下品なこと言っちゃいけません」

「わ、わはった、わはっふぁから!」

「それで、お金を稼ぐ方法教えて」

「わふぁったから、はなふぇ!」


 教えてくれるらしいので解放した。


「うぅ……。精霊使いにはエレメンタルは逆らえぬのじゃ……そういう世のことわりなのじゃ……。お金を稼ぐとしたら、あれじゃな、ほかの精霊使いと決闘を申し込んで戦うのじゃな。お互い、五体までのエレメンタルを出して戦うことができる。それに勝てば相手は賭け金を払わねばならん。まあ、このへんの町に住む奴なら、一回三千ゴールドぐらい稼げるじゃろう」


 なるほど。なんかゲームっぽいな。


「でも、どうやって精霊使いを見分けるの?」


「心配せんでいいぞ。精霊使いは惹かれあうからの」


 なんか似たような言葉をどこかで聞いたことがあるぞ……。


「惹かれあうって、具体的にどうやってわかるの? 磁石みたいに引っ付いていくの?」


「そのへんは説明が難しいのう。じゃあ、人が多いところに入っていけばわかるじゃろう。酒場にでも行ってみるがよい」


 こうして、私はアッカを連れて酒場に行くことにした。

次回、変なおじさんとバトルします。

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