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最終話 最強の精霊使い

「気にするな! レッド・ドラゴン、炎で焼き尽くせ!」


 レッド・ドラゴンが少女のエレメンタルにファイア・ブレスを噴きかける。

 しかし――ナンチューにはまったく聞いていない。


「わたしは防御能力も特化している……」


 そして、ドラゴンに向けて、静かに手を伸ばした。


「精神攻撃……ドラゴンの理性を破壊する……」


 レッド・ドラゴンは突如として頭を抱えて、暴れだした。


「おい! どうした!? しっかりしろ!」


 やがて、レッド・ドラゴンは放心状態になり、その場にどさっと倒れてしまった。


「ええい! 役立たずめ! 次はリヴァイアサンだ!」


 同じことだった。


 ナンチューが手を振りかざせば、エレメンタルは攻撃を行うという選択肢自体を失って戦闘不能になる。


「わたしは、エレメンタルの脳波に干渉する力を持っている……。すべてのエレメンタルを滅ぼすことも、すべてのエレメンタルに平穏を与えることもできる……。すべてはわたしの親次第……」


 私はとんでもないエレメンタルを仲間にしてしまったのかもしれないな……。


 タジルの最後のエレメンタル、シルバー・ドラゴンも同じように戦闘不能になった。


「く、くそ! 覚えていろ! 我々ミサ・ウィル団はこんなことでは滅びはしない!」


 あっ、こいつ、逃げる気だ! それは反則だぞ!


「ちゃんとエレメンタルを置いていきなさいよ!」

「知るか! 悪党がそんなことを守るか!」


 けれども、言葉の割にタジルの足は動かなかった。


「あれ……。なぜか足が固まって……」


 またナンチューが手をかざしていた。


「わたしは……人の力で産まれたエレメンタル……。だから、例外的に人にも干渉ができる……。人を滅ぼすことすらできる、忌むべき存在……」


 やっぱりとんでもないものを味方にしてしまったらしいな……。

 けど、そんな子をどう育てるかも私の腕の見せどころじゃないか。

 私は精霊使いなんだから。


「ありがとうね」

 ぎゅっと、私はナンチューを抱きしめる。

「名前、つけてあげるね。どんな名前がいい?」

「愛を感じられる名前……」

「じゃあ、ラヴィアなんてどう?」


 つたない笑みを彼女は見せてくれた。


「ありがとう、ママ……」


 こうして、ミサ・ウィル団は壊滅した。



 その後、私たちはあらためて四聖と戦ったが、誰もラヴィアには勝てず、永世管理者とかいう称号を得た。


 けど、ぶっちゃけ、その称号はどうでもいい。本当にどうでもいい。


 今、私はほどほどの広さの家で四人で暮らしている。


「はい、今日は羊の肉を煮込んだシチューだよ。みんなで食べようね!」


 私は四人分の皿を並べていく。


「ハルカのシチューは野菜が多いのじゃ……」

「アッカ、贅沢言わないの。肉を焼いただけだと野菜がとれないでしょ」

「わらわたちエレメンタルは食事せんでもいいのに」

「だったら、アッカだけ食事抜きにする?」

「た、食べる……しょうがないのう……」


 たしかに食事はエレメンタルには必要ない。でもみんなで食べるほうが絶対においしいに決まっている。


「ふん! 好き嫌いばかりするとは、やはり悪魔はその程度なのだな。ボクはニンジンでも問題なく食べられるのだ」

 ドラコが胸を張っている。

「ちなみに今日はセロリも入ってるよ」

 ドラコの顔が青ざめた。

「あの、姫、セロリは騎士道精神に反するのですが……」

「ダメだよ。食べてね。ラヴィアを見習ってね」


 ラヴィアは黙々とシチューを口に運んでいる。もう少し表情豊かにおいしそうに食べてもらえるとうれしいんだけど、そこはしょうがないか。


「ママ、今日もきれい……」

「ありがとう、ラヴィア! でも、ラヴィアもかわいいよ!」

 食事中なのに私はラヴィアを抱き締める。


「あっ、ずるい! 姫、ボクにも騎士としての抱擁を!」

「で、では、わらわもついでに……」


 ああ、みんなかわいいなあ!


 私たちは順番にいとしの子たちを抱き締めていった。



<終わり>


エレメンタルGOはこれにて終わりとなります! ご愛読ありがとうございました!

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