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10 打倒ミサ・ウィル団

 私たちにミサ・ウィル団を倒すという目的ができた。


 厳密にはアッカとドラコが倒すと言い出したのだ。私としてはこのまま、まったりしていても別によかったのだけど。


「そういう悪者ならボコボコにしても何も罪悪感を感じなくてすむであろう。ちょうどよいではないか! やっつけてやるのじゃ!」

「そのような悪党を放っておいては騎士として恥ずかしいです! 姫、ボクに戦わせてください!」


 このように珍しく意見が一致したので、私としても行かないわけにもいかなかった。


 ミサ・ウィル団のアジト自体は割とすぐにわかった。自分たちは最強だぞといきがっているせいか、とくに居場所を隠してもいないらしい。

 断絶した領主が代々使っていたという古城だ。濠もきれいだから、連中がこもってから整備しなおしたのだろう。


 ゲームでもラスボスがこそこそ隠れてどこにいるかわからないなんてことないもんな。それと同じようなものか。


 当然ながらアジトに近づくと、ミサ・ウィル団の精霊使いが勝負を仕掛けてきた。


「ハルカよ! ここはわらわに任せよ! このぐらいのザコ、余裕じゃ!」


 アッカが戦い、無事に勝利した。とはいうものの、アッカも多少の傷を受けている。


「少々、手間取ってしまったのう……。油断したかのう……」


 違う。見張りだけ見てもこれまでの敵とはレベルが違うのだ。気を抜くと、危険かもしれない。


「大丈夫ですよ。ボクはアッカよりはるかに強いですから不覚はとりません!」


 ドラコが胸を張って言った。


「そうだね。今更あとに引くわけにもいかないし」


 私たちはいよいよアジトに乗り込んだ。中は想像以上に薄暗い。


「侵入者が来たぞ! 逃がすな!」


 団員が勝負を仕掛けてくる。


「さあ、エレメンタルを賭けて勝負しろ!」


 こいつらもか。見張りの連中もそうだったけれど、みんなエレメンタルを賭けろと言ってきた。こうやってエレメンタルを集めているんだな。


「あなたたち、悪い連中なのに、直接精霊使いを狙ったりはしないの?」


 素朴な疑問なので聞いてみた。


「我々も精霊使いだ! それにエレメンタルも人間に危害を加える命令は聞けないようになっている。たとえ、洗脳を行ってもな」


「洗脳!? それってどういうこと!?」


「ふん! 我々に勝ったら教えてやろう! まず俺からだ!」


 ドラコが無事に襲ってきた全員に勝って、本当に教えてくれました。


「このミサ・ウィル団では、魔法を使って最強のエレメンタルを作る実験をしている……。しかし、その一方で強力なエレメンタルを誘拐してきて、それを洗脳してより凶暴で強力な存在にする実験もしているのだ……」


 そんな恐ろしいことが行われているだなんて……。

 ドラコやアッカも聞いていてつらかったのか、顔を背けた。


「お前たちはエレメンタルをなんじゃと思っておるのじゃー!」

 ほんとにひどい話だ。こんなことは一刻も早くやめさせないと。


 私たちはアジトの奥へと急いだ。

 ここのボスを倒せば無事にすべてが解決する。


 いかにもラスボスがいそうなところに、ボスらしき男が立っていた。


 そして、その前にはいくつもの魔法陣が描かれた空間が広がっている。


「よく、ここまで来たな。君たちは少なくとも四聖の手前ぐらいの力は持っているようだ」


 偉そうな声でその男が言う。年齢は四十歳なかばぐらいか。見た目は悪い魔導士といった感じだ。


「私の名前はタジル、最強のエレメンタルを作り出すために様々な魔法を試しているのだ。そして、ほぼ完成までこぎつけた。いや、私が見えていないだけで、もう完成しているかもしれないな。実はこのアジトの中を走り回っているかもしれん」


 くすくすとタジルという男が笑った。


「今度は大きな檻の中で同じ実験をするつもりだ。そうすれば、エレメンタルの逃げ場もないから、完璧なるエレメンタルができたのかどうかすぐに判断できる。そのエレメンタルが姿を現した時点で、すべての精霊使いは私達にひれ伏すのだよ!」


 なんて悪い奴……。


「あなたは絶対に懲らしめてやるから! 行け、ドラコ!」

「お任せください! 姫が最強の精霊使いと呼ばれるよう、粉骨砕身戦います!」


 ドラコがタジルをにらみつける。


「では、こちらもエレメンタルを出さんといかんな。四聖から洗脳したエレメンタル、レッド・ドラゴンだ!」


 現れたのは人の姿をしたドラコとは比べ物にならないサイズの本格的な巨大ドラゴンだった。


「ねえ、ドラコ、これってまずいんじゃない……?」

「ボクは騎士です。敵が強そうだからって退いたりなんてしません! 姫、見ていてください、ボクの勇姿を!」


 私に微笑みかけると、ドラコはレッド・ドラゴンに立ち向かっていった。


 だけど――


 バアァァァァン!


 レッド・ドラゴンにドラコは思い切り弾き飛ばされる!


 ダメだ! 力の差が歴然としている!


「最悪じゃのう……」

 アッカが勝手に私の横に出てきた。


「あの、レッド・ドラゴン、見事に理性を失っておるぞ。その結果、本来ならセ-ブされているはずの力を無意識に引き出しておる。四聖が使っておる時より最低でも二回りは強いと考えたほうがよいぞ……」


 それじゃ、いくらなんでもドラコでも勝てない……。

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