2話 畏れ多いババア
おっちゃんに連行されて来たのは何やらこじんまりした小さな一階建てらしき建物だった。
警察だとかじゃなさそうなので安心した。
「ほら入れ、ここからは独りで行け」
「えっ、一緒じゃないんですか?」
そりゃ警察じゃないかもしれないけど此処に入るには何故か躊躇われる気持ちが少なくない。
「大丈夫だ、此処のバァさんに会えば多分お前の事は解決する」
「解決する?どういう……」
「ゴタゴタ言ってんじゃねぇよ!さっさと行ってこい!!」
おっちゃんに無理矢理中に入れられてしまい俺は中に転がり込んだ。
何だか序盤ホモ臭い雰囲気だったの気の所為だ…
「おや、お客さんかぇ?」
中にいた話のバァさんが居た。
それはそれはバァさんだった、白髪でヨボヨボで日本昔ばなしのバァさんみたいだ。
「すみません、何故か知らないおっちゃんに此処に入れられてしまって…お客とは言えないかと」
「ふむ…だとすると渡り人かね」
「渡り人?」
「あぁそうさ、この世界には極稀にこの世界以外から人が転移させられてくるんだよ、何故起こっているのかは分からないが大概は何処ぞの馬鹿たれが儀式でもやったんだろうよ」
「と言う事はここは…日本じゃないんですか?」
そう俺にとって何よりも重要な事はそこである。
そして間違っていて欲しい答えでもあった。
「なかなかに聡いねそうさ此処はニホンとやらではないマルマディアと言う世界だ」
「そう…ですか……」
そうか、俺は此処に何故か呼ばれて訳の分からない事に巻き込まれたんだな…
「先に言っておくが帰れた奴はいないよ、私が見てきた時代の何処にも帰れた事例はない」
……?時代って見れる物だったか?
「バァさん今幾つだ…?」
それが何かの地雷とも知らずに踏んでしまった、後に彼は「女性に年齢を聞く事は地獄を見てもいいと言う事だ」と語ったとかなかったとか。
「私に年齢を聞くかい小僧…とりあえず一回死んできな!!」
「んな!?バァさん止めてくれ!!その手に持ったヤバそうな杖で殴ろうとしないでくれ!!」
「お喋りはおしまいさ!!じゃあね小僧!!」
此処で俺の意識が無くなり戻った後にきっちり謝罪し説明を受け切る事が出来た。
後悔先立たず。
バァさんの話を纏めて最初に聞いた部分以外を話そう。
この世界に来た渡り人は変わった能力を持っている。
その人達に毎回進めるのは冒険者でとりあえず誰でもなれる職業だからだとか。
そして最後に帰ったと言う事実は見聞きしていないが見聞きしていないだけで実在していないかは分からないとの事だった。
まだ焦る時間じゃないと誰かも言っていた。
俺はバァさんの話を聞いた後言われた通り冒険者ギルドに向かった、勿論目的はそのギルドに入る事である。
テンプレが来てもええんやで(ニッコリ)
コメント、ご指摘ありましたらよろしくお願いします。