12話 出してみたい
俺が朝起きると部屋の壁は少し綺麗になっている気がする……問題なく元に戻ったな、素晴らしい。
「しかし他に何かダンジョンっぽい事出来ないものかねぇ」
ダンジョンなんだから罠しかけたり魔物を出したりだとか……魔物を出したりしたいぞ…
そもそも魔物を出すって出来るのか。
もしかしたらダンジョンが出来ると自動生成されるだとかだったら俺の体内に魔物が生成される事になるのか……考えただけでも嫌だな。
体内でゴブリンの大きさは知らないけどそんなもん生成したら俺の体破裂するぞ。
「よ、よく良く考えたらそんな事しなくても稼げてたしな、よし…もう考えないでおこう」
俺は考える事をやめて宿で飯を食べてギルドに向かった。
ギルドに着くと直ぐにカウンターに向かうといつも仕事を貰っているお姉さんに声をかけられた。
「あらおかえりなさい、それでどうでしたか初めてのダンジョンは?」
「いやぁ魔物には出会えませんでしたし罠も見なかったしでその辺りの洞窟と変わりませんでしたよ」
「あら…珍しいわねココのダンジョンは魔物が多くて素材が沢山取れる事で有名なんですけどね……」
「は?…いやまぁそうなんでしょうか……(俺は殆ど攻略なんぞしてないから仕方ないか)」
「それでまた挑戦されますか?」
「そうですね、もう一度行きたいのでまたお願いします」
俺はまた許可書を貰いダンジョンへと向かった。
やっぱり俺は魔物を生み出す方法知りたいのであった。
「それで?またあんな場所から君は何度も来るんだい?ネズミにでも変わりたいのかい?」
「んな訳あるか、ちょっと聞きたい事があってな」
俺は事情を話すとコレはしっかり教えてくれた。
コレが言っていた事を纏めると
基本的にダンジョンが魔物を生み出しているらしい、主に魔力が充満した時に生まれるらしい。
そしてダンジョン自体が魔物を召喚する事もあるらしい、その際にはそれなりの贄と魔力を消費するらしいが贄は俺の血でも髪の毛でも肉片でも良いらしい……最後のは良くない。
魔力は飛ばすより垂れ流す方が充満させる場合は効率的らしい。
コアとして生まれてから暫くして気づいたらしい。
まぁ以前分からないと言っていたが通常ダンジョンが行う基本みたいなものらしいから俺にも当てはまれ。
コレが昔召喚した際は自分を削って召喚したらしい、大丈夫なのかそれ?
まぁ本人が言うには問題ない部分を削ったらしいし、おかげでかなり強い魔物を生み出せたらしい。
「その子にはダンジョンマスター兼ボスをやってもらってるよ」
因みに其処にたどり着いた奴はいないし、俺が裏ルートで行った事を教えた所静かに涙を流したらしい、最近では壁に傷を付ける場所がなくなってきたので日付が分からなくなってきているとか……もう少し待遇を改善してやって欲しい。
「聞きたい事は聞けたしそろそろ帰らしてもらうよ」
「あら、もうお帰りかい?ならまた送ってあげよう」
俺はまた宿に飛ばしてもらった、コレって毎回入口から出てないのに俺はダンジョンに入ってるし色々問題あるんじゃないかとか考えたけどやっぱり考えるのをやめた、他にやりたいこと事があるからね(ニッコリ)
俺は宿が戻る事を知った…ならそこを使って実験しても結局戻るのなら何しても良いじゃないって事で今度は部屋に魔力をぶつけて部屋をダンジョンに変貌させた。
「後はここに魔力を充満させてと……」
俺は教えてもらった通り魔力を体から垂れ流した、やり方は簡単『この球体から水が流れるように、空気が変わっていくのを感じろ』これだけ」
少しすると壁から手が出てきた、あくまで静かに、まるで水の波紋を壁に作りながら。
全身が出てきてようやく分かった、これは俺の記憶によればオーガ的な!鬼的な奴だ!!頭にすっごい角がある、グルグル巻いてて顔は見る者を恐怖させるように恐ろしい。
つーかオーガ的なモノで収まってくれ……
何故かって?もし抑えが効かずここから出て行って外を破壊したら弁償するのは俺だ!
出来るならこの部屋から出ないで欲しい……
『……さて人間よ…吾を喚んだのはお前さんか?』
……呼んどらんぞ、俺は弱っちいスライムとかが湧いてくれたらとかって…召喚してない…
「あの……呼んでないのですが…」
『ムッ…?喚んでいないとな…だが吾はトンデモナイ魔力にここに喚ばれたぞ』
魔力はまぁ仕方ないにしろ贄が……あぁ俺の抜け毛が……えっ、でも召喚陣とかは…昨日ダンジョンにした壁が変な模様を作って……何故気づかなかった俺ェェ!?
「あ、あぁ…呼びました…たまたま呼べましたが正しいです」
『たまたま喚べる者では无のだがな…まぁ善いお前さんが喚んだのならお前さんが主なのであろう』
コイツが俺の配下になると言うのか!?こいつの見た目大魔王だぞ?
「い、良いんですかね…?それに俺貴方のこと良く知りませんし」
『ハッハッハ吾の事を知らぬとは…ではひとつ自己紹介とでも洒落込む…吾は魔族の皇にして四皇が一人…世は吾を 大魔皇マドュラ とか呼ぶそうだ』
皇…?王じゃなくて…ってそうじゃなくて結局魔王で世界でも人の指より少ない上位の存在じゃないか!?
「あ…俺はマスダだよ、ヨロシク?」
俺は握手を求めて手を出した。
『あぁ…宜しく托むぞ』
トンデモナイのはテメェの握力じゃ…俺の硬さじゃなきゃ水風船だぞ俺の手が。
side~マドゥラ
吾はいつもの様に暇を持て余しこの椅子に据わっている。
余りに強くなった、否成り過ぎた。
この世では最早吾を含めても四人程しか強き者はおらん。
そんな事を何時もの如く考えていた。
『ムッ……なんだ引っ張られ………』
俺の意識は一度消えた……何時ぶりだろうか……睡眠を摂るのは……
次に目が覚めた時に不思議な者を見た、と言うか有り得ないと言っても過言でない。
ただの少年、普通だ。
面白いな………実に……
さて、そろそろ声でも掛けるか…コイツめ狙って呼んではおらんのだろうな…ハッハ…ハッハッハッ!
『……さて人間よ…吾を喚んだのはお前さんか?』
この出来事が吾と主と其れ等の愉しく愉快な物語を記して行けるとまでは思ってはおらんかった。
久しぶりっす。