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魔法少女≠勇者  作者: 岸寄空路
第一章 勇者≠女
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勇者の武器が杖な訳がない!

「桜花!」

「にいさま? どうかしましたか?」


 桜花と流星くんは特に怪我も無く建物の影に隠れていた。

 無事で良かった。


「俺が変身した時に近くに何か落ちていなかったか? 杖とか」

「いえ、何もありませんでしたよ?」

「くっ」


 まだだ。変身した時に自動的に出現するとは限らない。

 もしかしたら魔法を発動する時に現れる可能性も――


「きゃあ!」

「!?」


 悲鳴が聞こえて振り向くとマーズがオーガの薙ぎ払う様に振るわれた腕によって吹っ飛ばされていた。


「マーズ!」


 しまった。彼女は既にかなり消耗していた。時間稼ぎなんて長く持つわけがない!

 どうすれば良い? 杖は無いから魔法を使うことが――

 いや、マーズの話では先ほど俺は杖が無いのに魔法らしきものを発動させたんだ。

 どうやったか思い出せ。やり方さえ解れば同じ事が出来るはずだ。

 マーズの言う通りなら強くイメージするのも効果的らしい。

 あの時はなにを考えていた?

 ……思い出せない。正確には無我夢中で戦ってたから何も考えていなかった。

 強いて言うならとにかく『元に戻ってくれ』と考えていたとは思うけど……。


「うぅぅ」

「グルルルルルルルゥゥゥ」


 やばい。オーガがさっきのダメージで動けなくなっているマーズに止めを刺そうと近付いている。

 どうする? 一か八か魔法が発動するまでオーガを殴るか?

 元に戻す前にオーガが耐えられない可能性もあるが、このままではマーズが――

 俺が考え込んでいる内にオーガはマーズの目の前に立ち頭の上で手を組み、振り下ろそうとしている。


「っ!」


 悩んでいる暇は無い! マーズを助けることを優先する。

 彼女はまだ何の力も無かった男の俺を自分の身を犠牲にして助け、俺が魔獣化した人間を元に戻せることを知った時を素直に喜ぶ善人としか言えない娘だ。

 もしかしたら今も俺がオーガを人間に戻せると信じて耐えているのかもしれない。

 だから――助ける! なにより彼女を見捨てるのは俺自身が許せない!

 俺の目の前でオーガが拳を振り下ろそうとしているのが見えた。


 ――間に合え!


 周りがスローモーションになったかのようにゆっくり動いている様に感じる。

 恐らく、俺の身体能力が上がっているからそう感じるのだろう。

 しかし、今のスピードではオーガが拳を振り下ろす方が速い。

 頼む! 速く! もっと速く!


 キュイイィィーン


 不思議な音が聞こえた瞬間――


「!?」


 今度は俺の脚が銀色に光った。


 そして、あっという間にマーズとオーガの間に入った!


 ブンッ!

 ガッ!


 オーガの拳を俺は腕を頭の上でクロスさせてガードする。


「ぐぬぬぬぬぬ」


 オーガの一撃を防いだのは良いが、こいつ俺を押し潰そうと更に体重を掛けてやがる。


「あ! え、えっと大丈夫ですか!?」

「なん……と……か……なっ」


 マーズは戸惑ったように俺の心配をしているが、正直大丈夫じゃないかも……。

 なんか段々オーガの腕が熱くなってきてるし。たぶん炎の力を使おうとしている。

 今の状態だと逃げられない。

 きついな……。


「ええええい!」


 マーズが魔力で作った剣でオーガに斬り掛かる。

 しかし、オーガはものともしていない。


「ぐうっ」


 オーガの力が増す。どうやら本気で俺を潰す気の様だ。

 このまま潰されてたまるか!


「……死んでしまえば良いのに」


 離れていて聞こえない筈なのにウラヌスが何かを呟いているのが聞こえてきた。

 死んでたまるか! 俺が死んだら誰が桜花を守るんだよ!

 だから力を! 俺に!


 ――仕方がないですね


「!?」


 ――特別サービスですよ


 突然、目の前が光に包まれた。

 直後、頭上からの圧力が消え――


「グガアアアアァァァァ――」


 オーガの叫び声が聞こえてきた。

 なんなんだ? いったい何が起こっているんだ!?

 やがて光が納まり、目を開けるとそこには――剣が浮かんでいた。


 ………………剣?


 なんで剣が? しかも目の前で宙に浮いている。

 こういう剣の形状は確かブロードソードだったけ。よく見ると剣の根元には青白い宝玉が付いている。

 そう言えば魔法少女の杖にも宝玉があったな。そして、この場にいる魔法少女は二人とも杖を持っている。

 ってことはもしかして、これ俺の?


「…………」


 試しに剣を手に取ってみる。


「……軽い」


 そう軽い。不思議なほど軽い。重さを全く感じない。

 羽の様に軽いとは、このことか。

 それにこの剣、近くでよく見ると刀身が透き通って見える。金属じゃないのか?

 軽く触れてみると指がすり抜けた。


「!?」


 驚いた俺は更に確認する為に自分の腕を切る様に剣を動かして見ると再びすり抜けた。


「…………」


 次はと近くに有った瓦礫を切ると今度はスパッと切れた。

 まるで、豆腐を包丁で切った時の様な感触だった。


「……なるほど」


 色々試してみてわかったが、この剣は金属ではなくエネルギー体の様なもので出来ている様だ。

 これが俺の武器なら魔力で出来ているレー○ーブ○ードとかラ○トセー○ーみたいな剣と言うことか。

 そして、この剣は俺を傷付けることは無い、あるいは俺が斬りたいと思った物だけを切るのか、どっちにしても剣を扱うのが素人の俺には丁度良い。

 昔、真剣を素人が扱うと自分自身が怪我をすると言う話をネットで見たからな。素人の俺が適当に振っても怪我せずに済むなら、ある意味チート武器だな、これ。

 あとはこれを魔法少女の杖と同じように魔法を扱えるかどうかだな。


 ――強くイメージすれば大丈夫ですよ


「!?」


 突然、女性の声らしきものが頭に響くように聞こえてきた。

 この声、さっき光る直前にも聞こえてきたな。いったい誰だよ!


 ――私が誰かはどうでもいいことでしょ?


 まさかの会話が成立しちゃったよ! 本当に誰だ!?


 ――そんなことよりオーガがこちらに向かって来ますよ


「!?」


 謎の声に言われ俺がオーガいたはずの方向に目を向けるとオーガが遠くから此方に向かって走ってくる姿が見えた。

 ってか何であんな遠くに?

 巨体と言えるオーガが掌サイズに見えるほど遠くにいる。なんで?


 ――私が弾き飛ばしましたから


「え」


 思わず驚きが声に出てしまった俺に謎の声は話を続ける。


 ――あなたがピンチの様だったので

 ――余計なお世話だったでしょうか?


「いや、助かった。ありがとう」


 何となく剣に向けて話してみたが、この声が俺にしか聞こえてなかったら危ない人にしか見えないな……。


 ――そうですか、良かった


 なんだろう、この声を聞いていると懐かしい気持ちになるな。

 なんでだろう?


 ――さあ、無駄話はお終いです

 ――魔法を使ってオーガを人間に戻してあげましょう


 その言葉を聞き俺は再び迫ってくるオーガに注意を向ける。


「どうすれば良い?」


 ――イメージしてください

 ――あなたの考えている魔法を強く思い描いてください


 俺の考えている魔法……。

 武器が剣だしイメージするなら――


 俺は剣先をオーガに向けて謎の声に従いイメージする。

 強く、強く。


「ゴガアアアア――」


 集中力を高めていくとオーガの声が聞こえなくなっていく。

 俺の中でイメージが固まると剣先に光が集まっていく。それはまるで夜空に煌めく星の様だった。


 ――今です!


 その声を聞いた俺は剣を振り上げて――


「うぉおおおおおおお!!」


 再び振り下ろした。

 そして――


 チュドーン!


 剣の先から銀色のビームが放たれた。

 オーガはビームの光の中に消えていった。

 やがて、光が収まり目の前には人間の男性が一人倒れているだけだった。





やっと最初の魔獣との戦闘シーンが終わった……。

第一章が終了するのは何時になるやら……。

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