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魔法少女≠勇者  作者: 岸寄空路
第二章 勇者の飛行方法≠箒
19/22

平穏は長く続かない

遅くなりましたがあけましておめでとうございます。

今回は説明回ですので読み辛いかもしれません。

 俺のスイーツで好感度アップ作戦(そのまんま過ぎるな……)は結果的に上手くいった。

 ……赤理と青波の好感度が上がった的な意味で。

 まあ、いくら甘い物で有っても毛嫌いしている男が作ったものは食べたくないよね。うん。

 良いけどさ! 今、俺がやらなきゃいけないことは空を飛べる様になる事だからな!


「皆さん、今日の授業は魔獣化現象と魔法少女の歴史について解説しますよ」


 ちなみに今の先生の言葉から解るように今は授業中だ。

 魔獣に関することか……。魔獣化は謎が多いからな。知識はある方が良いだろう。


「まずは魔獣化現象から説明します」


 そう言って先生は教科書を見ながら解説を始める。


「魔獣化現象は人間が突然、魔獣モンスターに変化するという恐怖の現象です。規則性が一切なく人種、老若男女を問わず、当然ながら時間も場所も関係無く人間を魔獣に変化させてしまいます。

魔獣に変化した人間は理性を失くしますが行動には一貫性があり、研究者の推測では魔獣は近くにいる生物を襲うことから殺人衝動、生物がいなければ周りにある物を無差別に破壊するために破壊衝動に支配されているのではと考えられています」


 ここまでは世間でも知られている常識だ。だが、それだけなら今の俺の状況はもっとまともな事だっただろう。


「最初にこの現象が目撃されたのは三十年前のイギリスと言われています。ですがほぼ同時期に各地で魔獣化現象が発生したために正確な事は解っておりません」


 俺が聞いた話では魔獣化現象が起きた当初は魔獣が元は人間だと言う事すら誰も理解できずに怯えて逃げ惑うだけだったらしい。


「記録に残っている最初に現れた魔獣はミノタウロス、巨大な斧を持った頭が牛の怪物です。当時は魔法少女もいなかった為に大量の死傷者を出す事になりました。警察や軍も出撃しましたが銃弾も爆薬も通用せずなす術も無く撤退を余儀なくされたそうです魔獣化した人間はその圧倒的な戦闘力、生命力は凄まじく現存するどの兵器で攻撃しても、有効打を与えることはできませんでした」


 爆弾も効かないのか……。銃も通用しないなら近代兵器はほぼ通用しないと言うことか? 核を使えば別かもしれないが、ちなみに今のところだが、どの国も核は使用していない。俺は幸運と考えているが、人によっては「使えばもっと被害を減らす事が出来た!」と考えているかもしれない。それ自体は否定しないが、使っても倒せなかった場合が怖い。


 魔法はイメージが重要だ。「この魔法を使えば倒せる」と自信を持っているだけでも威力は増す。逆に倒せないかもと不安に駆られると威力も下がる。だからと言って絶対の自信を持っていると通用しなかった時の精神的ショックが大きくなり魔法も弱体化する。……と個人的には思っている。

 まあ結論としてはポジティブでいれば魔法も強くなると言う事だ。


 閑話休題そんなことはさておき


 俺は再び授業に耳を傾ける。


「世界中の人間が恐怖を覚えたこの現象を解明しようとあらゆる方面から原因究明に乗り出しました。新種のウイルス説、地球外の物質説、可能性は低いですが放射線の影響なども考え研究が進められましたが有用な情報は何一つ得られませんでした」


 ちなみに地球外の物質説は隕石と一緒に地球外のウイルスや寄生生物が入り込んだと言う説と宇宙人が侵略の為に地球人を改造したのでは、と言う二つがある。

 個人的にどちらも無いと思っている。と言うか有ってたまるか。可能性が有ってもウイルスが限度だろ。


「近年はデータも集まり少しずつですが研究も進み解る事も増えて来ました。魔獣化した人達に共通する部分はありませんが、全体的に女性より男性の割合が多く、また年齢も三十代以上の方多いそうです」


 補足すると魔獣化した人間の男女比は六:四ぐらいだ。正直言って偶々そうなっただけだと言ってもいい程度のレベルだ。


 だが魔獣化に怯えている人々には十分すぎた。


 生まれてくる子供が男子と言うだけで産むのを止めたり、孤児院に預ける親もいるぐらいだ。結婚せずに独身を貫く女性も増えた。更に最近は母親が娘に「男は狼どころか魔獣になる」と極端な教育を行う家庭も増え、結果男性嫌いの女性も増え男性にとって辛い社会に変化して行ってる。


 そして、そんな状況をより加速させたのが魔法少女の存在だ。


「魔獣化現象による被害は時間が経てば経つほど酷くなり、当時はある国が既に核を使ったが魔獣に通用しなかった、と言う噂が立つほどでした」


 さっきも言ったが核は使われていない。正確に使われる直前まで追い詰められて行ったが必要が無くなった。


「その状況を打開したのがジケルヘイトより派遣された初代魔法少女です」


 初代魔法少女――彼女のことを一言で言うと、詳細不明。これに尽きる。年齢不明、外見不明、名称不明と解らないことだらけだ。ジケルヘイトが秘匿している所為らしいが何故そうしているかも不明。


「初めて魔法少女が戦闘を行う事になった時は世界中から非難されたそうです」


 当然だよな……。空想上のモンスターが現れたとは言えそれに対抗する為に用意したのが魔法少女だったんだからな……。どこぞの改造人間を連れてきた方がまだ納得できると思う。


「この時の魔法少女の評価は『ふざけるな!』『コスプレ会場じゃないんだぞ!』『流石はジャパンだ。最高だ!』と散々でした」


 おい、一部オタクが混ざっていたぞ。いや、皮肉にも聞こえるけどさ。


「ですが世界中の人間が納得せざるを得ませんでした。魔法少女は瞬く間に魔獣を殲滅してしまったからです」


 その風景を見ていた全員が絶句したそうだ。そりゃそうだと思う。ただのコスプレ少女にしか見えない娘が空想の中でしかなかった魔法を使い、これまた空想上の生物を退治したのだ。リアルな特撮だと言われた方が受け入れられる。


「その戦果を世界中が認め、ジケルヘイトに魔法少女の変身アイテムであるウィッカ・コアの製造方法の開示が求められました」


 当然の展開だな。世界中に魔獣が現れ、それに対抗できる武器が一つしかないのだから少しでも多く生産する必要があると考えてしかるべきだろう。


「しかし、ジケルヘイトは事前に大量のウィッカ・コアを生産しており直ぐに世界中に配られました。ですが直ぐに戦力の強化に繋がる事はありませんでした」


 今、説明してなかったがジケルヘイトはウィッカ・コアの生産方法の一切を秘匿し情報を開示することはなかった。だが先生が言ったとおり量産は予想を大きく上回るスピードで行われ世界中に配布されたので非難したくてもし難い状況だった。非難が出来なくなったのは使用するための条件の所為もある。


「皆さんも知っての通りウィッカ・コアは魔法少女が変身する為に使うアイテムです。使用できるのは当然少女だけです」


正確には十代の少女達だけだ。男性は勿論、女性でも二十代を過ぎると使用できる者は極少数らしい。

そのため「使える人間が少ないなら自分達だけで生産しても一緒だ」とジケルヘイトは言ってのけたとか。


「それを危惧した各国は魔獣と戦える人材を育てようと考え春宙女学園を含めた多数の魔法少女の学園を準備しました」


 具体的には魔法少女になる少女達の学費の免除、その保護者達の生活補助など国全体で優遇されるように政策が行われた。


 これが更に女尊男卑を加速させた訳だが……。まあ俺が何言っても無駄か。

 でももうちょっとで良いから環境良くならないかな?



***



「どうにかならないかな?」

「……私に言われても……困る」


 授業が終わった後、俺は青波と一緒に図書室で雑談している。もう日課になりつつあるな……。


「青波みたいに気にしない女子がもっといてくれたら良いのになぁ……」

「……難しい……と思う……」


 だよな。


「なんか方法ないか?」

「…………」


 青波は黙って首を振った。無いですか。うん、解ってた。

 そんな風にのんびりと会話していたが――


 ウーウーウー!


「「!?」」


 なんだ!? サイレン!?


「青波ちゃん! 星司くん! 大変です!」


 何が有ったか把握できずに混乱していると赤理が図書室に飛び込んできた。……文字通りに。


「前も思ったけどなんで魔獣出ていないのに変身して箒に乗っているんだよ!?」

「え、さっき魔獣出現したよ!」


 そう言う事じゃないけど、今聞き捨てならないことを言ったな!


「魔獣が出現した!?」

「うん! さっきからサイレン鳴っているでしょ。これは魔獣が出現した時になるの」


 マジか! なら急がないと!


「どこだ!? すぐに向かうぞ!」

「解ってるよ! 青波ちゃんも来て! 出撃要請、来てるでしょ!?」


 その言葉に青波は複雑そうな表情を浮かべながらコクっと頷いた。


「じゃ急ごう! 私に付いてきて!」

「ああ」

「…………」


 今回はどんな魔獣なのか……。少なくとも一筋縄では行かないだろうな、となんとなくそんな予感がした。




投稿が遅くなって申し訳ありません。

冬休みに体調を崩してしまいまして……。

皆さんも風邪には気をつけましょうね。


次回は多分来週に投稿します。

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