プロローグ
どうも皆さん、天動星司です。
今、俺は変身した状態で空中にいます。と言うか落下してます。
変身してなきゃ地面に激突して死亡すること間違い無しの高さです。
はあ、なんで俺パラシュートなしでスカイダイビングしてるんだろう……。
『マスター諦めないでください。死なないかもしれませんが怪我はします』
「わかってるよ……」
しかし、何でこうなったんだろう……。
『マスターが空を飛べないから、ですかね』
「いやだって俺、武器を箒にする方法わからないし」
魔法少女達は杖を箒形態にして、それに跨り空を飛ぶ。これがこの世界での常識だ。
ならば俺も勇者とはいえ変身システムは魔法少女と同じなのだから飛べるよね。と言う風にクラスメイトとなった魔法少女達によって空中に放り出された。
あいつら何時か泣かす!
「――と、そろそろ落下地点が見えてきたな」
『で、どうするんですか?』
「こうする」
俺は右手を地面に向け――
「《スターダスト・バスター》!」
銀色の光線を放った。
その反動で落下速度が落ちていく。
そして無事着陸。
「ふう。流石に怖かった」
『その割には余裕に見えましたが?』
まあ、高所恐怖症ってわけじゃないしな。むしろ勇者として宙女に入ってからは空を飛べるのを楽しみにしていたくらいだし。
「……ステラ、空を飛ぶ方法ないのかなぁ?」
『現状ではマスターが空を飛ぶ方法を明確にイメージできていないので厳しいですね』
そう言われても武器が剣だと飛ぶ時にどんな形状になるか想像できないんだよ!
魔法少女は良いよな! 武器が杖で空を飛ぶ時は箒に跨るイメージがあるんだからさ!
俺なんか勇者だぞ! 武器は剣で決まりだけど空を飛ぶイメージが思い浮かばねえぞ!
あれか!? ドラゴンとか飛行船に乗ればいいのか!?
『あ。マスター、先生が来ます』
「うわ、まためんどくさいことに……」
俺の元に眼鏡をかけスーツを着た不機嫌そうな女性が歩いてきた。
「天動くん! 許可なく攻撃魔法を使ってはいけません!」
あのまま地面に激突しろとでも言う気か? まあ、聞くだけ無駄か。だってこの人、男嫌いだし。
「それより、先生」
「なんですか!」
俺相手にヒステリックな対応する先生。そんなんじゃ嫁の貰い手いないぞ。あ、関係無いか。
「俺が魔法撃ってる時に外からカメラの光っぽいのが見えました」
「え!?」
「多分、俺が魔法少女によって空中に放り出されたところも見られましたー」
「ああもう!」
「これだからマスコミは!」
そう言って先生は校門の方に向かって歩いて行った。
「ふう。煩いのはいなくなったな」
『マスター、先生に嘘をつくのは良いですがもう少し時間が稼げる嘘でお願いします』
「嘘を吐いたことは怒らないんだな……」
『あの人は嫌いです』
気持ちはわかるが……。
キーンコーンカーンコーン
「あ、チャイム」
『昼休みですね。では早々に撤収しましょう』
「そうだな」
今日こそ誰にも見つからない場所でのんびり食事したいなぁ……。
第二章、始まります。