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魔法少女≠勇者  作者: 岸寄空路
第一章 勇者≠女
11/22

女子校に男子が入学することは幸運な訳がない

遅くなってしまい申し訳ありません。ちょっと体調不良になってしまいまして。次からは気をつけます。


 翌日、家に戻った俺はいつも通りの生活に――


「天動さん。あなたには春宙はるそら女学園に転入して貰います」


 戻れなかった。

 日曜日だからのんびりするはずの俺の元に春宙女学園から黒スーツとサングラスを身につけた女性が家にやってきていた。


「なぜですか?」

「ジケルヘイトは魔法少女の育成を行っております。それゆえ同じ様に魔法を使える皆守さんに我が学園で学習するのが一番だと思われます」


 うん。それはわかるけど、命令形で言われるのはムカつく。


「しかし、春宙女学園は名前の通り女子校ですよ。俺が入学するのは問題しかないはずですが?」

「確かに反対意見の者が多いですが、世間では勇者で通っている天動さんを入学させるべきだと言う意見が学内外問わず出てきている為に無視する事も出来ず今回の結論に至りました」


 言葉の節々が不本意だと言っている様だが?

 まあ、いやに決まっているか。俺も嫌だし。なんで魔法少女の学園に通わなきゃいけないんだよ……。


「念のために伝えておきますが今回の件は国からの要請でもあるため断ることはできません」


 マジかよ……。国からとか。

 いやまあ、考えられることだったけどさ。魔獣を人間に戻せる俺を全力で保護し、鍛えるために魔法少女達を育てる学園に入学させることも正直想像できた。

 ……出来るなら拒絶したいが仕方がない。


「まあ、別に良いですけど。ただ家から通いますから」


 苛立ちを我慢して、要求を伝える。

 本当は断りたいけど国からの命令では我慢するしかない。


「いえ、寮に入寮してもらい――」

「この話は無かったことに」

「国からの命令ですよ!?」

「俺の要求を通さないと魔獣と戦わないぞ、と伝えておいてください」

「国を脅す気ですか!?」


 脅すどころか場合によっては敵に回すぞ、俺は。


「校則ですので守ってもらわなければ困ります!」

「俺は男だから寮に入る方が問題じゃないのか?」

「そ、それはそうですが……」


 ……怪しい。なにか隠しているな。

 まあ、どんな理由があっても意見を変える気は無いがな。

 俺が寮に入ったら桜花が一人になるだろうが。俺と桜花を引き離すなど万死に値する。


「なにを言われても寮などに転居するつもりありませんので」

「……政府からの要請は聞き入れないと」

「俺の要求をのまない限りは」


 俺の妹のことを考えない国など助ける価値は無い。

 魔法少女の学園に転入して桜花に会えなくなったら俺は学園を壊滅させるね。


「……解りました。上と相談してきます」


 そう言って女性は帰って行った。

 この程度の要求が通らない訳がにから大丈夫だろう。


『マスター、シスコンが過ぎます』

「ほっとけ」


 自覚はある。













「――ええ、やはり上手くいきませんでした」

『ふむ、出来ればこちらの管理下に置きたかったが高望みしすぎたか』

「それで、どうしましょう?」

『今は彼の要求通りにしよう。下手に拒絶しても怪しまれる』

「了解しました。では、そのように」












 その後、俺の要求は通り、今まで通っていた高校から宙女へ転校することが決まった。

 本当は嫌だが魔獣と戦うための力は必要だ。女子校と言う男にとっての地獄も耐えて見せよう。


 え? 天国の間違いじゃないかって? そんなわけないだろ。原嶋みたいなことを言うな。

 あいつ俺が宙女に転校すると聞いて「羨ましい! 代わってくれ!」と言ってたからな。代われるなら代わりたいよ……。ちなみにその後、原嶋は白瀬からガゼルパンチを喰らってたな。あいつはなんでボクシングの技を習得してるのやら……。


 だいたい女子校には男子がいないから男嫌いと同性愛者ばかりなんだぞ! そんな所に喜んで行けるか! (※注:星司の偏見です。鵜呑みにしないで下さい)


 ただでさえ俺は魔法少女達の目の敵にされると言うのに!

 これでもし寮暮らしになって桜花と引き離されていたら――俺はストレスで精神に異常をきたすこと間違いなしだよ!


 周りが女子だけで男子一人の環境で喜べるのはゲームの中だけなんだよぉおおお!!


 ……………………はぁ。


 文句言ってもしょうがないか。


 俺にできるのは当日まで転校の準備をするだけだ。



 そして、その日は訪れ――


「校門の前に着いてしまった……」

『マスター。人生諦めが肝心です。入りましょう。もうすぐ予鈴もなります』


 俺を急かすステラは現在ビー玉サイズの水晶となり腕時計の装飾となっている。

 どうやら戦闘時以外の姿は自由に変えられるらしい。魔法少女などはアクセサリーにしているとか。


「え~」

『えーではなく、マスターも強くなる必要がある、と意気込んでいたじゃないですか』

「いや~目の前にすると俺の本能がこれ以上近づいてはいけないと警報を鳴らして――」

『男なら女だらけの園に行くことに警報鳴らさないで下さい。喜ばれても困りますが』

「この状況を喜ぶのはスケベとバカだけだろ」

『原嶋さんは?』

「両方」


 俺がステラとバカの話をしていると門が開き――


「天動さーん!」


 知らない女子が現れた。


「えーと誰?」

「私です。マーズです!」


 ……ああ。髪の色も服装も違うからわからなかった。

 今のマーズは初めて会った時と違い髪は若干赤みが掛かった黒色で服装も宙女の制服だろうかブレザーを着ている。

 確かに良く見ると顔つきは同じで髪型も初対面の時と同様に後ろでまとめられたポニーテールだ。


「久しぶりですね!」

「ああ、そうだな。でもなんでここに? もうすぐ授業だろ?」

「はい! 天動さんを迎えに来ました!」


 彼女の話を聞くと、どうやら学校側はマーズに俺の世話をさせるつもりらしい。

 ウラヌスと違い友好的に接していたマーズが傍にいた方が安心するだろうからとの判断だそうだ。

 ……聞き様によっては面倒事を押し付けたともとれる。


「なら遠慮なく頼りにさせてもらうぞ」

「はい。任せて下さい!」


 元気な子だな……。


「そろそろ職員室に向かいましょう。予鈴が鳴ってしまいます」

「ああ。……その前に」

「はい?」

「名前。聞いてなかったな」


 俺も自己紹介していなかったし。


「そうでしたね! 私の名前は火ノ浦赤理ひのうらあかりです。十六歳で高校二年生に当たります」


 同い年か。


「俺は天動星司てんどうせいじだ。呼び方は星司で良い。同い年だから敬語は無しで構わないぞ」

「わかりました! ……じゃなくてわかった。よろしくね。星司。私の事も赤理で良いから」

「よろしく赤理」

「自己紹介も終わったし急ごう!」

「おう」


 こうして俺の新しい学園生活は始まった。











「そういえば何でステラは黙ってたんだ?」

『私が喋ると騒ぎになるかもしれませんので』



今回で一応第一章は終わりです。次は第二章です。

12月までに投稿する予定ですのでお待ちください。

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