第一話
前のあとがきで次回は設定と書きましたがすいません。そのブロットが消えたため本編に入ります。設定集はその内上げるので待っててください。
それではどうぞ!
「全く・・・ここはどこなんだ?メールを開いたところまでは覚えてるんだけどな・・・」
龍仁はそうぼやくと、
「まあ、あの家に行けば少しはわかるか。」
そう言ってあの家────見る限り唯一の建物たる家へ歩き出した。
「ん?チャイムは無いのか。ノッカーも無いし・・・」
家に着くとチャイムやノッカーといった呼び出し器具がないことに龍仁は唖然とした。
「仕方ない・・・」
龍仁はそう小さく呟くと息を吸い込み、
「すいませーん!!」
精一杯の大声で呼びかけた。
すると、
「はーい!」
と返事が返ってきた。
そして、扉が開き中から龍仁と同じくらいの女の子が現れた。
「(か、かわいい)すいません。ちょっと聴きた「君が龍仁くんだよね?言いたいことは大体わかってるつもりだから、とりあえず中に入って。」」
と、有無を言わせない勢いで家の中に引っ張り込まれた。
「痛っー」
龍仁は現在、お茶の間のようなところに表に出てきた少女といるが、引っ張り込まれた際結構な勢いで手を扉にぶつけていた。
「ごめんごめん。立ち話もなんだと思ったからなんだけど、ちょっと力強く引っ張りすぎたね。えーと、確認するけど神崎 龍仁くんだよね?」
「はい。えっと・・・」
「あ、自己紹介をしてなかったね。私はフィナ。今現在の役割はここの案内人みたいなものだから、質問は私が答えるよ。後、喋り方は普通にしていいよ。」
そう言われて龍仁は、まず一番訊きたいことを訊くことにした。
「ん、わかった。それじゃあまず、ここはどこ?」
「まあ、それを一番最初に訊くわよね。気付いたらいきなりここだっただろうし。ここは電脳海。ネットワーク世界ともいえるね。その中の龍仁くんの端末アカウントだよ。」
「(え、ネットワーク世界?端末アカウント?それって)それってつまり・・・」
「まあ、簡単に言えばパソコンの中だよ。」
「は~~!?」
いきなりの事実に龍仁は本日二回目の大声を出した。
「あ、これを言わないといけないんだった。ようこそ艦長、電脳海へ。私達は艦長のご来訪を心よりお待ちしておりました。ふふ・・・
これから宜しくね。艦長。」
そう言ってフィナは、混乱している龍仁に向かって微笑んだ。
「えーと、つまりここは俺のパソコンの中でここにはフィナが呼んだ。そう解釈していいんだな?」
少しして混乱状態から抜け出した龍仁はフィナにそう尋ねた。
「正確には少し違うけどまあ、そう思ってくれていいよ。」
「それじゃ訊くが、俺は帰れるのか?」
尋ねた質問の答えを聞いて、龍仁は混乱から抜け出した時から思っていたことを尋ねた。実際これを訊いておかないと、時既に遅しだが自分は行方不明、
しばらくすれば死亡扱いだろう。そんなのは嫌だし現実世界に対する未練だってあるのだ。
「その質問の答えならYESだね。後時間も気にしなくていいよ。こっちでの一日があっちでの一時間ぐらいだから。」
それを聞き龍仁は胸をなでおろした。ひとまずは安心だ。
「こっから先は電脳海のことなんかを説明しようかと思ったけど、めんどくさいから上手く説明してくれる奴のところに行こうか。」
と、フィナはよっこらしょと立ち上がり「ついて来て」と言い歩き出したため、龍仁もフィナの後ろを歩き出した。
お茶の間を抜け、少しいくとエレベーターが存在した。
しかし、この家は外見上二階建てで途中に階段もあったので何故エレベーターが有るのか龍仁にはわからなかった。
「なあフィナ。何でエレベーターが有るんだ?上に行くならあっちの階段を使えばいいじゃん。」
「ああ、このエレベーターは上に行くんじゃないの。」
「(上に行くんじゃないってことは)地下か」
「ピンポーン!その通りだよ。このエレベーターは地下行きで実際この家より地下の方が拠点なんだよ。」
(拠点?)
龍仁は拠点という単語に疑問を感じたが、
(まあ、後ででいいか。)
と、とりあえず放置する事にした。
が、その疑問の答えはすぐにわかった。
地下───そこには港があり、そこに係留されていたのは
「潜水艦?」
「はい。正確には潜水艦型電子戦プログラムですが。そしてあなたの艦です。艦長。」
後ろからフィナより幼い感じの声で肯定の言葉が返ってきた。
「って誰!?」
後ろを振り向くとそこには12歳ぐらいの少女がいた。
「初めまして。艦長。私の名はミナといいます。これから宜しくお願いします。艦長」
「あ、えっと、初めまして。神崎 龍仁です。よろしく。」
「はい。こちらこそ艦長」
突発的に丁寧な挨拶をされ、しどろもどろな挨拶を返す龍仁。
「あ、ミナ~。そっちは終わった?」
「はい。大方は終わりました。それよりフィナ姉様はきちんと艦長にご説明はしたのですか?」
「いやー、電脳海関係の説明しようと思ったけどめんどくさくなってさ。ミナ代わりにお願い♡」
この会話を聞いただけでも二人のパワーバランスがうかがえる。
「はぁ。お願い♡じゃないですよ、フィナ姉様。後でフィナ姉様分のおやつは没収ですね。」
「えー、そんなー。」
「そんなー。じゃありません。きちんと仕事をしてください。艦長への説明は私が受け継ぎますから、フィナ姉様は自分の仕事をしてきてください。おやつの時間までにきちんとできていれば、没収の件は無かったことにします。」
「本当!?ありがとうミナ~。よーし!がんばるぞー!それじゃ龍仁くん。またあとで!」
そう言ってフィナは潜水艦の方へ走っていった。
「全く・・・ちゃんとすれば優秀なのですが・・・すいません。艦長。」
「いや、いいよ。フィナは明るいし。」
「まあ、そこは肯定しますが。それでは説明を始めさせてもらいます。」
「ああ、うん。お願い。」
「はい。まずこの電脳海というのは今や無数に広がる・・・・・・・・・」
「・・・・・というわけです。少々長引きましたが、質問などはありますか?」
説明が始まって約一時間半後。ミナの説明がおわった。
「いや、わかりやすかったから質問は無いよ。」
全部は覚えきれなかった龍仁だが、要点はメモをとっていたため大体理解できた。
「確認するけど
・電脳海とはネットワーク世界をデフォルメしたもの。
・俺を呼んだ理由は、最近悪性のバグやウイルスが統率を見せ更にハッキングなどが強力なっておりそれと戦ってほしいため。
・その二つは互いに協力していて黒幕がいる。
・その黒幕はおそらくどこかの軍か研究所が開発したAI
・それらは見た目軍艦のため呼称を『幽幻艦隊』とし、相手もそう名乗っている。
・何故俺なのかというと電脳海にやってこれるのは今のところ俺だけだから。
・フィナ、ミナとまだ会っていないルナの三人は作成者不明の完全自立型のAIではあるが実際人間と大して変わりない。
と、こんなもんか?」
「はい。いきなりではありますけど『幽幻艦隊』との戦い。引き受けてもらえませんか?」
「その前に一つ。もし俺が断ったらどうなる?」
「その時は艦長の端末を拠点に艦長のご迷惑にならないように戦うだけですが?」
「だから何で俺に拘るんだ?自衛隊のコンピュータなんかの方がよっぽど良いだろうし、今の情報教えれば協力してもらえるかもしれないだろ?」
「いえ、その内どこかの軍か国が被害を受けるでしょうけど、今のところ『幽幻艦隊』による大きな被害はありませんから、信用してもらえません。それに艦長は優しそうですから・・・」
そう顔をほんのり赤くされて言われると龍仁も照れる。
「まあ、どっちにしても了承したけど。」
と龍仁は言い、そっぽを向いて続ける。
「面白そうだし、被害が出るとわかっていながら何もしないのは後味悪いしな。」
「ありがとうございます。正直断られることを覚悟してました。」
「まあ、良いじゃねえか。大事なのは結果だからな。予想はいいけど終わったことの『もしも』を考えてもしょうがない。」
「そうですね。それじゃ艦内を案内します。」
そして二人は潜水艦へと向かった。
「へえ、映画なんかで見た潜水艦の中とは随分違うな。広いし綺麗だ。」
「まあ、これはあくまでプログラムですから多少矛盾していてもなんとかなるんです。」
「そんなもんか?」
「そんなものです。」
二人は艦内を周りながらブリッジに向かっていた。
その中で龍仁の感想は「綺麗」だった。
内装は基本的に白で映画などで見た潜水艦の中のようにゴツゴツしていない。
そんな艦内に龍仁は驚いていた。
「そしてここがブリッジです。」
気づくと目の前には自動ドアがあった。
「行きましょう。」
と、ミナが先に入って行った。そしてミナにつられて龍仁もブリッジに入る。
ブリッジはまるでどこかの秘密基地の指令所のようだった。
正面には巨大なモニター。三つのオペレーター席とその後ろにある艦長席。その他何故か左の壁に水槽がありそこに一番近いオペレーター席で女性が寝ていた。
「ルナ姉様・・・またここで寝ているんですか・・・すいません艦長ちょっと起こしてきます。」
「ああ、うん。わかった。」
「すいません。」
そう言うとミナはルナの耳元に近づき
「ルナ姉様、おやつの時間です。早く起きないとフィナ姉様に食べられますよ・・・」
と囁いた。
龍仁はあれで起きるのだろうか?と思ったがミナが離れた瞬間、
「フィナー!私のおやつを食べるなー!」
と、叫びながら跳ね起きた。
「ってアレ?ミナ、フィナは?おやつは?」
「おはようございます、ルナ姉様。まだおやつの時間ではありません。夢でも見たんじゃ無いですか?ほら、艦長がいらっしゃってますよ。」
「へ?あ、本当だ。初めまして。私はルナ。一応総合オペレーターだよ。それにしても可愛いね。どう?良かったら今ば「パシーン!!!」痛っー!何するのよミナ!」
見るといつの間にかミナがハリセンを持っていた。どうやらあれでたたいたみたいだ。
「バカなこと言ってないで仕事してください。後、エンジンルームにいるはずですからフィナ姉様を呼んでください。」
「はーい。エンジンルームね。「ヴー!ヴー!ヴー!」ってマジ!?」
突然艦内に鳴り響くサイレンを聞きルナとミナは顔色を変えた。
『ちょっと!このサイレンってまさか!』
そしてフィナからも焦った感じで通信が入る。
「はい。まさかこのタイミングでとは・・・」
「凄いいやな予感がするが訊いていいか?なにが起こった?」
「敵襲です・・・」
どうやら龍仁は初日から敵と戦う羽目になるようだった。
to be continued.....
なんか一人称と三人称が入り乱れましたね。すいません<(_ _)>
それではまた次回お会いしましょう!!