寮の部屋にて!
「カノン~。タオルどこ~?」
「棚の左奥です。」
「あぁ、見つかった。ありがとう~。」
カノンがさらわれてから一週間。
三日目あたりまで緊張してドキドキな日々だったけどもう慣れてしまった。
「千吉様、お風呂上がったらお夕飯にしますよ。」
「お~う。いま行く。」
個室で部屋が10個あり中央に広いリビングとキッチンがある。
部屋が有り余っている為、好きな部屋を使うことができて不服はない。
でも一つ問題点がある。
それは、カノンだ。
俺が寝たあとに寝室に来て添い寝をしてくるのだ。
一応、男子なんで嫌なわけではない。
でも向こうが「夫婦は毎日、寝るのも共にする。」と言うのだ。
だから最近は、寝るのも一苦労だ。
「カノンさぁ。寝てる時、俺のベッドに入るのやめてくれよ。」
「え!?何でですか?!もしかして婚約破棄ですか・・・」
「いや違う!!ただ俺は、一緒に寝るのは、早いかと。」
「・・・分かりました。でも千吉様が18歳になった日に婚姻届けを出すのでその日からということで。」
「うぅん?何か不自然な気がするけどまぁいいか。」
夕飯が次々に並べられていく。
「今日もうまそうだな。」
「まぁ自炊は、花嫁修業をしましたから。」
「カノンは、すごいよな。家事・洗濯・料理ができるしな。」
「はい!だからいつでも千吉様の妻になれます。」
「・・・はい、いただきます。」
「ちょっと話そらさないでくださいよ!」
「今は、その話をするなよな。未来に絶対はないんんだから。」
「そんな悲しいこと言わないでください。」
「でも現に『魔の界』みたいなのが来たらどうする?守って見せるが、24時間一緒っていうわけにはいけないんだから。」
「そうですが・・・」
「でも婚約は、しているんだ。逃げやしないよ。」
「そうですね。逃げようとしたらヘコで追います。地平線の向こうでも。」
「・・・って、うまいなこれ!」
今日の晩御飯は、和風ハンバーグだ。
魔我津王国では、和食料理がメインなのだ。
でも牙塚王国では洋食が多いい為、平等にしようという意見になったのだ。
おかげで味わったことのない物を食べれたりする。
例えば、鰈のケチャップ煮とか蜂蜜入り茶碗蒸しとか。
それはもう絶望的なお味でした。
「そういえば明日、学校行事の新入生学校探検がありましたね。」
「あぁそういえばあったな。」
「あの千吉様は、誰と出るんですか。」
新入生学校探検とは、男女二人組をつくって一つの宝を見つけるという簡単な行事だ。
勿論、見つけ出した人は理事長からのご褒美が貰えるので皆おおはりきりだ。
「ゴメン。一週間前にランダムにしちゃった。」
「ええええ!?何故私と言う将来の妻ではなく、知らない女子なのですか!」
「いやだって、カノンと出会ったの一週間前じゃん。出会うよりも前に出しちゃった。」
「そんな・・・。なら誰と組むんですか?」
「瀧乃水 ティアとか言う奴。」
「えええええええ!?」
「次はなんだよ!」
「瀧乃水って超名門魔女家の一つですよ!」
「そうなんだ。」
「千吉様。もし瀧乃水さんに手を出したらどうなるかわかりますよね?」
「カノン、その笑顔怖いよ。それに見ず知らずの人に手を出すってどんだけ野蛮なんだよ!」
「絶対ですからね!」
「大丈夫だよ。」
明日に控えた新入生学校探検では、なんだか何かが起こりそうで不安な千吉だった。