始まり
世は西暦3000年。
地球には、人類は少ない。
なぜなら吸血鬼と魔女によってこの世は、占拠されているからだ。
だが決して吸血鬼と魔女が人類の敵とは限らない。
でも吸血鬼と魔女は、仲がよろしくないのだ。
その結果、かつて日本と呼ばれていた国も半分に別れてしまった。
勿論、国をおさめるのは吸血鬼と魔女なのである。
他の国でも様々な種族が住んでいる。
そこで吸血鬼と魔女の仲をとりもっているのが狼男である。
狼男達は代々「魔鬼野宮学園」の理事を務めている。
だからこの学園で少しでも仲良くなれたらという思いで創立したのだ。
勿論、この学園に入れるのは優秀な人材だけなので超豪華な学校だ。
しかしこの学園は、貴族や金持ちでも入れない。
入りたくば、実力で示せ。
これが学園のしきたりだ。
話は変わるが、人類が少ないかというと段々と純潔な人間が居なくなり、吸血鬼や魔女だらけになったのだ。
だから人類が衰退したのではなく、吸血鬼が増えたのだ。
でも皆、外見は人間だし普通に恋もする。
勿論、稀だが吸血鬼と魔女が結婚するということもある。
ハーフが生まれるかというとそうではない。
今観測されているのは、片方の能力をもった子供だけだ。
勿論、吸血鬼同士の子は純潔な吸血鬼だし、魔女同士でも純潔な魔女なのだ。
さて、ここでこの国の事を知って欲しい。
魔女が占領する国は、魔我津王国。
吸血鬼が占領する国は、牙塚王国。
この二つは見事に別れ、国との間に空いている海峡にそびえし物が魔鬼野宮学園なのだ。
一度入ったら、卒業するまで出れない監獄だが不便ではない。
学園ないでは、遊園地・映画館・プール・エステ・コンビニと夢のような場所なのだ。
だからこそ皆、入りたいが実力が伴っていないと入れない。
だからココは、未来を握る若き天才達の集う所なのだ。
そんなココに入りたくないと言う輩がいた。
「爺ちゃ~ん。俺は吸血鬼になりたくないって何回言えば済むんだ?!」
「いいか千吉。お前は特別な能力がある。だから魔鬼野宮に行って、力を身に付け、この国のトップに立ちなさい。」
「なんだよその特別な能力って。」
「今はまだ知らんでいい。だが自分でいつか見つかるかも知れないな。」
「なんだよそれ~。」
高級感溢れる一室でのやり取り。
明らかに爺ちゃ~んと呼ばれていた人、偉い人だということがわかるだろう。
そう、この人こそ牙塚王国の王で吸血鬼の首領の鬼堂 新太郎なのだ。
そんな人を爺ちゃ~んなんて言えるのは、孫の鬼堂 千吉だけなのだ。
海外にいる両親の代わりに育ててきた新太郎は千吉に甘い。
だか今回は、ひかない。
「今回だけは、絶対だ。さもなくば国外に追放するぞ。」
「マジで!?それだけは嫌だ。」
「なら学校に行きなさい。」
千吉はう~んと唸って考えた末。
「分かった行くよ・・・その代わり俺は、国王にならないからねぇ~。」
やれやれと肩を上げ、首を振る新太郎。
「分かった。今回は、そうしておこう。・・・でもいつかお前からなりたいと申し出ることになるだろう。」
「言わねえよ、爺ちゃ~ん。」
「フフフ、そうかもな。!そうだ、お前に伝えたいことがあったんだ。」
「今はいいよ。もう寝るね。」
「おい待て。・・・ってもう寝室に行ったか。全く世話のかかる孫だ。」
新太郎は、不敵に笑った。
「知らなくて困るのは、あいつなのにな。魔鬼野宮学園に婚約者が居ると知らずに・・・」
新太郎は、読書を始めた。
その本には、魔鬼伝説と書かれた本だった。