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ロータスの花言葉  作者: toto


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第8話神の施し

銃声が響く。


瑠璃さんの放った弾丸は、確かに怪物を捉えている。


だが――効かない。


水のように揺れ、すぐに元の形へと戻る。


剣真は息を呑みながら、その光景を見つめていた。


一瞬の違和感。


ほんのわずかなズレ。


その正体を掴もうと、目を凝らす。


――その瞬間だった。


(……今の)


一発の弾丸が、怪物の表面をかすめる。


ほんの一瞬。


わずかだが、“傷”のようなものが残った。


すぐに消えた。


だが――確かに違った。


剣真の心臓が強く脈打つ。


「……」


考えがまとまる前に、声が降ってきた。


「何か気づいたのかい?」


振り向くと、車のすぐ外に東堂が立っていた。


いつの間に。


その穏やかな表情の奥で、鋭い視線が剣真を見ている。


剣真は一瞬ためらい――口を開く。


「さっき……一発だけ、弾がかすったときに、傷みたいなのができました。」


東堂の目が、わずかに細められる。


「すぐに消えましたけど……他の弾とは違って見えました。」


短い沈黙。


次の瞬間、東堂は小さく息を吐いた。


「なるほどね。」


わずかに笑う。


「君も瑠璃も見る目があるね。」


そして、前方で戦う瑠璃さんへと視線を向けた。


怪物がうねる。


液体の体が大きく膨れ上がり、次の攻撃の気配を帯びる。


剣真の言葉を聞いた東堂は、その動きをじっと見つめていた。


(……なるほど)


確かに――


膨張したその瞬間、わずかに動きが鈍る。


流動性が、消えている。


「瑠璃。」


東堂は通信機に口を寄せる。


「次の大振りの瞬間、一瞬だけ固まる。」


間髪入れずに続ける。


「その一瞬が弱点だ。」


ノイズ混じりの向こうで、短い返答。


『了解。』


その一言で十分だった。


瑠璃さんはすぐに動く。


「お前たち、注意を引け。」


部下たちに短く命じる。


迷いはない。


数人の隊員が一斉に前へ出る。


怪物の視線がそちらへ向く。


攻撃が分散される。


その隙に――


瑠璃さんは静かに息を整えた。


手にしていた片手銃を、ゆっくりと構える。


「……神よ、我に天顕の施しを。」


次の瞬間。


空気が変わった。


銃身が、歪む。


金属が軋み、形を変える。


「――潜在解放!」


その力によって、拳銃は異形へと変貌する。


――細長く、鋭く。


まるで一条の槍のようなフォルム。


超高速のスナイパーレールガン。


剣真は息を呑む。


(これも……ポテンシャルリリースなのか……!)


怪物が、再び大きく膨れ上がる。


来る。


東堂の目が細まる。


「……今だ。」


その瞬間。


瑠璃さんは、引き金を引いた。

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