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第6話東堂暁
扉が開く。
現れたのは、どこか気の抜けた雰囲気の男だった。
「いやー、ごめんごめん。ちょっとバタバタしててさ。」
柔らかく笑いながら、頭をかく。
「東堂課長、お疲れ様です。」
と瑠璃はお辞儀する。
その姿に、剣真は思わず戸惑う。
(この人が……課長?)
だが――
「第二課、緊急任務だ。」
その一言で、空気が一変した。
さっきまでの穏やかさが、跡形もなく消える。
「現場は市街地。詳細は移動中に共有する。」
短く、的確な指示。
誰一人として迷わない。
瑠璃さんも、無言で従う。
剣真だけが、その場に取り残された。
男――東堂 暁は、そんな剣真に一瞬だけ視線を向ける。
「君が例の新人くんかな。」
わずかに笑う。
「大丈夫、大丈夫。すぐ慣れるよ。」
その言葉は優しい。
だが、その目はまったく笑っていなかった。
東堂 暁。
第二課を率いる課長で、元警視庁のエリートらしい。
穏やかな笑みを浮かべるその姿からは、正直あまり強そうには見えない。
だが――誰もが、その背中に迷いなく従っていた。




