第3話リライト(改変)
放課後、二人は高校の道場に集まっていた。竹刀のぶつかる音が響く空間に、久しぶりの汗と息遣いが満ちる。
剣真と翔は小学校の頃から同じ道場で剣道を続けてきた。長年の稽古で培った技と呼吸のシンクロ。二人は良きライバルであり、何よりも親友だった。
「……剣真、昨日から様子が何か違う気がするんだけど、どうした?」
翔が鋭い目で剣真を見つめる。
剣真は一瞬、言葉を迷った。しかし、相手は昔からの親友であり、二人きりの空間だった。
「昨日の放課後さ、おれ……」
剣真はペンダントをそっと手に取り、昨日の怪物との遭遇と白蓮の顕現について打ち明けた。
翔は目を大きく見開く。だが、剣真の真剣な表情を見て、これは冗談ではないと悟った。
「……すごいな……。それだけのことがあって何のニュースにもなってないのは変だな。とりあえずそのペンダントと、剣真の先祖のこと、もっと調べてみようぜ」
二人の友情は、この瞬間さらに深まった。
──しかし、そのやり取りを、道場の外からこっそりと見つめる影があった。
黒いフードで顔を隠した高校生。目だけが光を反射する。
彼は二人の会話を静かに聞きながら、薄く口元を歪めた。
「なるほど……昨日の変異体をやったのは奴か」
フードを被った高校生は、校内の植物園に静かに足を踏み入れた。
小屋の中で無邪気に跳ねるウサギを見つめる。その目には冷たい光が宿っていた。
そっと手を差し伸べ、ウサギに触れる。
「リライト…」
手から放たれた力がウサギを覆い、毛皮はねじれ、四肢は異様に伸び、赤く光る瞳が闇を映す。
本来の形を保っているのが不思議なほど、体は不安定で無理な改変が施されたことが一目で分かる──まさに禍々しい怪物への変貌だった。
一方、道場での練習を終えた剣真と翔は、帰路に就こうとしていた。
「そろそろ見回りの先生が来る時間だよな……」
翔が確認するが、今日は誰も来ない。校内には二人以外の気配がない。
不思議に思いながら校門に向かう二人。
──その時、空中から怪物が跳躍し、目の前の道を塞いだ。
灰色の毛、異様に長い四肢、赤く光る瞳。昨日とは違う、異形の存在。
翔は目の前に現れた怪物に、思わず声を漏らした。
「な……なんだよこれ……」
体が震え、恐怖で足がすくむ。まさに、剣真が昨日話していた怪物そのものなのだと、ようやく理解した。
怪物は赤く光る瞳を翔に向け、巨大な前足を振り上げる。
「翔、逃げろ!」
剣真が叫ぶが、翔の足は言うことを聞かない。
昨日の怪物より小柄な分、動きは素早い。怪物の前足が一気に襲いかかり、翔は吹き飛ばされて地面に叩きつけられ、気を失った。




