第15話ペンダントの正体
何度も繰り返した。
倒される。
立ち上がる。
その中で、少しずつ分かってくる。
距離。
重心。
力の通し方。
まだ当たらない。
それでも——
「……いい感じだ。」
神代が止めた。
「次に行く」
剣真は肩で息をしながら顔を上げる。
「潜在解放だ」
その言葉で、空気が変わる。
剣真は首元に手をやる。
ペンダント。
意識を集中させる。
光が滲み——形を変える。
刀が、そこに現れた。
刀の形を維持したまま、剣真は息を整えていた。
神代が一歩、距離を詰める。
「それが、お前の潜在解放か」
「……はい」
短く答える。
視線を刀に落としながら、続けた。
「瑠璃さんに聞いた話なんですけど——」
胸元に触れる。
「このペンダントの中に、鋼の粉末が入ってるらしくて」
神代は何も言わない。
ただ、黙って聞いている。
「それ、もともとは刀の刀身の破片だったみたいで」
剣真は、自分の手の中の刀を見た。
「俺は、多分……それを元の形に戻してる」
一瞬、間が空く。
「……そんな感じらしいです」
説明し終えて、少しだけ視線を逸らす。
神代は数秒、刀を見つめたまま——
「なるほど、だからペンダントが刀に、」
それだけ言った。
「はい」
だが。
「……っ」
数秒。
刀の輪郭が揺らぐ。
維持ができない。
やがて、霧散するように消えた。
「……すみません」
息を整えながら言う。
神代は首を振る。
「いや、出せているだけ上出来だ」
数歩近づく。
「維持できないか」
「はい。……長く持たないというか」
剣真は拳を握る。
「出すことはできるんですけど、その後が……」
神代は少しだけ考えるように間を置いた。
「イメージはどうしている」
「え?」
「その刀を、どういうものとして扱っている」
剣真は戸惑う。
「どういうものって……そのまま、刀として……」
「それだ」
神代は静かに言った。
「潜在解放は、能力者の“想像力”に依存する」
剣真の表情が変わる。
「想像……」
「どれだけ強い力を持っているか、ではない」
神代は続ける。
「お前が、“どこまで引き出せるか”を想像するんだ」
「……」
「その刀がどれだけの可能性を持っているかを考えるな」
一歩、近づく。
視線が合う。
「自分なら、その力をどこまで使えるかを考えろ」
その言葉は、妙に腑に落ちた。
「……自分が、引き出す……」
神代は小さく頷く。
「そうだ。力はそこにある」
剣真は再びペンダントに触れる。
目を閉じる。
“刀”。
ただの武器じゃない。
自分が扱うもの。
自分の手の延長。
——自分なら、どこまで使える。
意識が、少し変わる。
光が滲む。
再び、刀が形を成す。
(来い…白蓮……。)
今度は——
さっきより、わずかに安定していた。
「……」
神代はそれを見て、何も言わない。
ただ、わずかに目を細めた。
「その感覚を忘れるな」
静かに言う。
「それが基礎だ」
剣真は刀を握る。
まだ不安定だ。
それでも、さっきとは違う。
確かに、“繋がりかけている”感覚があった。




