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プリン食べたい!婚約者が王女殿下に夢中でまったく相手にされない伯爵令嬢ベアトリス!前世を思いだした。え?乙女ゲームの世界、わたしは悪役令嬢!レベル99になってシナリオをぶち壊す!  作者: 山田 バルス
ベアトリス、ゲルマンド王都学院 2学期

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第25話 キャンベラ=フェルノから見たベアトリスと文化祭

「ベアトリス様って、ほんとにズルい!」

 ――文化祭。それは年に一度、生徒たちが全力でふざけて、全力で輝く魔法学院の一大イベント!


 もちろん私、キャンベラ=フェルノも全力参加中!


 魔法研究科女子代表としてのプライドにかけて、クラスのみんなでアイデアを出し合って作り上げたのが、「魔法喫茶《星のしずく》」! 簡単な占いや手品(風の魔法を応用した演出つき!)、ケーキと紅茶に、可愛い制服。完璧じゃない?


 ――だった、はず、なんだけど。


「ベアトリス様〜! 写真お願いしまーす!」


「すっごい! まじで氷姫様じゃん……!」


「このメイド服、超似合ってるぅ……!」


 はいはいはいはい、みんな静かにしてくださーい! そこ、入り口を塞がないの!


 なんでこうなったかって? もちろん原因はあの人――


「……ふふ、ありがとうございます。どうぞ、こちらへ」


 ――ベアトリス=ローデリア様、です!!


 女神か? ってくらい、完璧なメイド服姿で現れた彼女は、文字どおりの目玉。


 優雅なお辞儀に、輝く金髪と碧眼、そしてスラリとした姿勢。もう、立ってるだけでオーラが違う。私たちのメイド服が量産型に見えるくらい、別格だった。


 でも、ズルいのは見た目だけじゃない!


「さっきの席のお客様、小さな子が紅茶をこぼしそうになっていたから、代わりに冷却魔法で器を支えてあげたのよ」


「すごい……そんな応用、咄嗟にできるなんて」


「子どもの手元って不安定なのよね。私、小さい子の世話は少し慣れているから」


 ――って、なんでそんな天然さで株上げてくるの!? しかも優しさが無意識なのよ、この人!


 さっきなんか、間違えてティーポットを倒しかけた私を、何も言わずに助けてくれた上に、「怪我はない? よかったわ」って、涼しい顔で言うのよ。惚れるじゃん。同性でも惚れるじゃん!


 だから私は、メイド服の裾を握りしめながら、つぶやく。


「ベアトリス様って、ほんとにズルい……!」


     ***


 とはいえ、愚痴ばかり言ってるわけじゃないの。


 今日はみんなで頑張ってきた日。なんといってもこの喫茶の企画、ベアトリス様が率先して立ち上げてくれたのだ。


 私たちが「派手すぎない出し物がいいよね~」って言ってたとき、彼女は真顔で、


「ならば、品のあるテーマで行きましょう。喫茶店なら、魔法との組み合わせで演出できるし、地域の方にも喜ばれるはず」


 って、プレゼン並みに提案してくれたんだから。しかも、彼女が出ると知ってから参加希望者が倍増したのは、言うまでもない。


 ちなみに、厨房担当のルーク=キリト君は、彼女が「当日も出ます」と言った瞬間、耳まで真っ赤にしてた。


 ――うん。あれは恋だね。まっすぐすぎてちょっと笑えるけど、なんか応援したくなるやつ。


     ***


 昼過ぎ、ちょっとしたハプニングがあった。


 占いコーナーで使ってた魔法水晶が暴走しちゃって、小さな子が泣いちゃったの。私もびっくりして立ち尽くしてたんだけど――


「大丈夫よ。これはちょっと過剰な反応ね。落ち着いて、呼吸して」


 そう言って、水晶の魔力をさっと封じて、子どもの頭をやさしく撫でてくれたのも、ベアトリス様だった。


 そのとき思ったの。


 この人、誰かの前では強くて優しいけど、本当は誰かに寄りかかりたいときもあるんじゃないかなって。


 だって、あの夜。準備の打ち合わせが長引いて、帰り道にふたりきりになったとき、ベアトリス様がぽつりとつぶやいたの。


「みんなが楽しんでくれたら、私も嬉しい。……けど、うまくいかなかったらって、少し不安だったのよ」


 そのときの横顔。あの完璧なベアトリス様が見せた、一瞬の弱さ。


 あれが、私は忘れられなかった。


     ***


 夕暮れ、片付けがはじまった頃。


 制服に着替えた彼女は、少しだけ疲れた顔で椅子に座っていた。


「ベアトリス様、おつかれさまです」


「ありがとう、キャンベラ。あなたこそ、ずっと走り回ってたじゃない」


 私はためらってから、そっと言った。


「……今日、すごく楽しかったです。ベアトリス様がいたから、みんな頑張れたと思います」


 すると彼女は、ほんの少し驚いたような顔をしてから、微笑んだ。


「……そう言ってもらえると、嬉しいわ。私も、すごく楽しかったもの」


 それだけで、胸がぎゅっとなった。


 私の憧れの人は、ただ強いだけじゃなくて、ちゃんと私たちと一緒に笑ってくれていた。


     ***


 夜。校舎の灯りが落ちて、静かになったあと。


 私は空を見上げた。星がきれいで、秋の風が気持ちよくて。


 ああ、もう終わっちゃったんだな、って。


 でも、その時思ったの。


 来年もきっとやりたい。ベアトリス様と、また一緒に。


 ……もちろんそのときは、負けないくらい、私も“輝いて”みせるんだから

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