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第34話 小針浜さん視点① 不可解すぎて不気味

 小針浜由紀は、あがる黒煙に目をこらしていた。

 この爆発だ、生きているはずがない。

 そう思いたいが、なにしろダンジョン内で使える人間のスキルというものについてはいまだ不可解なことが多いのだ。


 マナ吸引装置でこのダンジョン内のマナはあらかた吸いつくしたはずだ。マナがなければ人間のスキルは使えないはずだった。

 しかしなぜかマナのない状態なのに、あの三崎という男は魔法を撃ってくる。それも、猫を顔に貼り付けながら。

 なぜ魔法を撃てるのか、なぜ猫を顔に貼り付かせているのか。

 不可解すぎて不気味だった。


 死んでいてほしい、そう思いながらもAK――カラシニコフ銃にマガジンを装着し、チャージングハンドルをガチャっと引いて装填する。

 サブマシンガンは捨てた、あんな拳銃弾ではあの防護魔法に全く太刀打ちができなかった。

 というか、狭いダンジョン内であればサブマシンガンが便利かと思って装備していたが、実際に戦闘してみるとモンスターどもは思ったよりもタフで拳銃弾ではなかなかダメージが入らなかった。

 実戦というのはやってみなければわからないことだらけだ。

 突撃銃、つまりアサルトライフルであるAKであればサブマシンガンよりも威力が高い弾丸を撃てる。

 とりまわしもいいし、正直弾丸も安い。


「でも、アサルトライフルって、こんなダンジョンの通路みたいな狭い屋内で使うことってあんまりないはずよね……」


 そこに、おじさん課長――田中耕一が、対物ライフルに弾を込めながら言った。


「そんなこといってもね、そもそも現代兵器ってさ、外で固い敵と戦うか、屋内でやわらかい人間と近接戦闘するかしかないからね。まさか屋内で熊より丈夫な生物と対峙するなんて前提でつくられたものなんて、あるはずがないから仕方がないじゃないか。ダンジョン内では今まで現代兵器が使えなかったから、そっち方面では発展しなかったからね」


 それもそうで、本来火器が無効化されるダンジョン内でこうして銃を撃てているのは極めて特殊な状況なのだ。


 だんだんと煙がはれてきた。

 小針浜はストックを肩にあて、AKを構える。

 いつでも撃てるように銃口を向けた。

 ほかの隊員たちも同じようにサブマシンガンを捨ててAKで煙に向かって照準している。

 空気はこちらから向こう側へと流れていて、だんだんと煙がうすくなってくる。

 くそ、いやがった。

 小針浜は舌打ちをした。

 煙の中に、人影がいたのだ。

 AKの射程ならば問題なく狙える距離だ。


「……撃てっ!」


 小針浜は叫んだ。

 が、それと同時にその人影はとんでもないスピードで床を蹴って走り出した。

 ダダダンッ! 

 AKにはバースト機能がないので指切りしながら撃つ。

 フルオートで全弾ぶっぱすることも可能だがそんなことしたら数秒でマガジンを撃ち尽くすし、反動で銃身がぶれまくって的に当たることなんてほとんどありえなくなるのだ。

 小針浜はこちらへ走ってくる人影を狙うが――。


 ちょっと待って、なによあれは⁉

 女子中学生くらいの小柄な女の子が大人の男を背中に背負い、重力を無視するかのように壁から天井へと移ろいながらこちらへダッシュしてくるのだ。

 モンスターめ、絶対に撃ち抜いてやる!

 このシュールな光景に心揺さぶられないように意識しながら小針浜は引き金を引く。

 

 ダダダンッ!

 ダダンッ!

 ダダダンッ!

 しかし。

 皆で一斉に射撃するが、それらはほとんど当たらずダンジョンの壁にめり込むだけだった。

 まれに数発ヒットするのだが、魔法防御で跳ね返されてしまう。

 男を背負ったおぞましきワーキャットがあっという間に距離を詰め、仲間の一人に襲い掛かった。




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