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第30話 全世界配信中

 黒猫に戻っているミャロは、「にゃあ」と鳴いて俺の足にまとわりついている。

 そしてその緑色の目で俺を見上げて「にゃ」と再び鳴いた。

 まあモンスターとはいえ、ここまでなつかれちゃったらなあ。

 はいそうですかといって渡してやる義理もない、しかもその相手は俺に以前銃弾をぶちこんだやつだしな。


「……ミャロは合法的に俺がテイムしているんですが?」

「あははは。私が合法的に留置所から出てきているとでも?」

「そういえばあのあと逮捕されてましたよね、どうしてここに?」


「私の仲間が助けてくれたの。まあ何人かの警察官が特進したし、きっと階級があがって喜んでいるわよ。win-winってやつよね」


 警察官が特進ってそれ殺してるよな……。

 とんでもない悪人やんけ。


「私たちは、モンスターたちはこの世にはびこる絶対的な悪だということを、世界の人々に知らせねばならない。モンスターをテイムするだなんてこと、概念としてあってはならない。滅ぼすべき悪を飼うなんて、その飼い主も同罪よ」


 うーん、俺には警察署を襲撃する方がよっぽどの悪だと思うけど、きっと言ってもわかってくれないんだろうなあ。

 俺はミャロを両手で抱えると、いつでも嗅げるように顔のそばに構えておく。


「で、ミャロを渡さない、って言ったらどうなるんです?」

「モンスターの飼い主も同じくモンスターよ。モンスターがいたら狩る。当たり前でしょ? このダンジョンにはもはやマナがほとんど存在していない。あなたもいまやただの人よ。いいからその猫を私に――私たちに渡しなさい」


 まあ言われてみればミャロはたしかにモンスターで、そんなに長いあいだ一緒に暮らしたわけでもなくて。

 モンスターには法律的にも人権とか権利とか認められていないし、そんな存在のために命を賭して守ってやるほどのものでもないかもしれない、論理的に突き詰めれば。

 だけど。


「みゃう」


 ミャロが俺の顔を見つめ、


「みゃうみゃう」


 俺のほっぺたに自分に顔をなすりつけてきた。

 もう返事なんて最初から決まっていた。


「いやです。ミャロは渡しません。ミャロを殺したいなら俺ごと殺してください」

 「ふーん。三崎さん、私も、私の仲間たちも、モンスターの庇護者には甘くないよ……」


 小針浜さんがそう言うのと同時に、ダンジョンの通路のくらがりから銃器を携えた数人の男たちが現れた。

 中にはあのおじさん課長もいる。


「小針浜君、話は終わったかい?」

「話になりませんでしたわ」

「そうかい、じゃあ」


 おじさん課長はかついでいたでかい銃を床に置くと俺に銃口をむけねそべった。

 あまりの破壊力と反動のせいで、人間が手で持って撃つことすらできない銃……。

 対物ライフルだ。

 さすがに戦車は抜けないが、装甲車の装甲くらいは貫通できるほどの威力を持つ銃。

 大物モンスター相手にはかなり有効なのだろう。

 マガジンをカチャン、とはめ、ボルトをガチン! を引くおじさん課長。

 小針浜さんもサブマシンガンにマガジンをはめるとスチャッ! と俺に向かって構え、セーフティをカチャンと外す。

 ほかの男たちもサブマシンガン装備のようだ。

 狭いダンジョンの中だとサブマシンガンは使い勝手がいいのかもな。

 その間、俺は小針浜さんたちから目を離さずに、ミャロのおなかを顔に貼り付けるようにしてその匂いをすーっと嗅いでいた。


同接:40万人

〈やべー! オオカミの空が一般人を襲っている」

〈警察なにしてるんだ〉

〈あほか、警察の装備でどうこうできんだろこれ〉

〈じゃあ自衛隊か〉

〈っていうか主はこれ死ぬよな・・・グロ死するよな〉


 アメリカ軍を敵に回し、日本の警察を敵に回した脅威の過激派テロ組織のリアルタイムの殺人行為が、俺のボディカメラを通して全世界配信中だ。


 そして。

 ついに火器がその爆音を響かせた。


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