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08 レベル上げは楽しい

 俺は今、非常に感動している。何故かって? それはスキルレベルが上がったからだ。苦節5年。雨にも負けず、風にも負けず、鍛錬を怠ることなく、毎日こなしてきた努力が実を結んだ。あまりの素晴らしさに自然と涙が出てくる。


「んなわけねーだろ! 騙されたな!」


 何を言っているんだ俺は。嬉しすぎて頭がおかしくなったらしい。え? 元からだろって? うるせぇ、反論できないだろ。


「まさか開始5分でスキルレベルが上がるとはな。この俺をもってしても、予想ができないとは……。流石は俺だ」


 ちなみにレベルが上がったスキルは錬金術だ。レベル2になった。実に倍である。

 レベルが上がったおかげでわかった事がある。魔石を使った鑑定モドキの性能が上がったのだ。レベルを上げれば、あのにっくきエクスカリバー(仮)も鑑定できるに違いない。必ずや丸裸にしてやる。首を洗って待っているがいい!

 それに加えて、一度鑑定をしたものなら魔石を消費しなくても、対象の情報を知ることができる事も分かった。


「魔石の消費が減るのはありがたい。こんなに使うとは思わなかったぞ」


 俺は手に持ったブーツを見ながらそう呟いた。防具は揃ったが、足元は初期の旅人装備だったのだ。初期装備は何かの皮を使ったものらしく、足袋のような感じだった。フィット感は申し分なかったが、外を出歩くには心もとないと感じた俺は、錬金術の使用感を確かめるついでに新調したのだ。


「頭にレシピが入り込む感覚は気持ち悪いが、相応のものが手に入ったな。悪くない」


 錬金術は俺の欲しいと思った物のレシピが知識を得た時と同じように、元から知っていたかのように思い浮かぶのだ。まさにご都合主義。俺に有益なご都合主義は大歓迎だ。どしどし、ご都合主義してください。


「履き心地は……悪くない。安物の靴よりは遥かに良いな」


 足を締め付ける感覚は全くなく、かといって足との隙間がある訳でもない。おまけに軽くて丈夫で動きやすいと来た。安物しか知らない俺の足が涙を流して喜んでいる。……汗じゃないぞ。

 魔石を使って鑑定もしてみたが、品質は高品質の一歩手前。初めて作った物としたら、上出来だろう。しかも、スキルが付いている。除菌、消臭、温度調節の三つだ。何だ、その目は? お前、水虫になったことがあるのか? あれはならないに越したことはない。後悔するぞ。先人の教えだ。


「次は何を作ろうか……武器だな。エクスカリバー(仮)で戦うわけにはいかないからな」


 鞘に入ったままの剣を振り回すくらいなら、トイレで拾った棒を振り回すぞ、俺は。軽いしリーチもとれる。エクスカリバー(仮)より優秀だ。


「真面目に考えるなら、剣より槍の方がいいよなぁ。リーチもとれるし、穂先で切ることも突くことも出来るし、棒として振り回せば鈍器にもなる。遠心力を付ければ、ステータス以上の火力が出るしな」


 戦国時代の戦で長槍が主だった武器なのもそういう理由だ。振り下ろすだけで、馬鹿みたいな威力になって、まともに当たれば死ぬからな。刀はサブウェポン的立ち位置だったらしい。

 もっとも、遠心力を最大限使うなら長い方が良いが、そうなると必然的に大きく、そして重くなる。槍は柄の中心ではなく端を持つ関係上、実際の重さ以上に重く感じる。鍛えていない俺には長槍は不要だろう。向かう先も森だから、あまり長いと取り回しにくい。

 俺は頭に使いやすそうな長さの槍を思い浮かべる。すると、今まで忘れていたかのように、記憶の中からレシピが出てくる。この感覚は気持ち悪いが、錬金術を使う以上、ずっとお世話になるので早いところ慣れないといけない。


「材料は棒と金属素材、皮、木材、魔石。棒の素材は何でもいいのか」


 なら、相棒のトイレで拾った棒を使うか。軽いし。皮は回収した資材にあったな。木材も然り。金属素材は……ミスリルは無理そうだ。オリハルコンもか。折れた剣も無理。エクスカリバー(仮)も無理。無理ばっかだな。気合が足らんぞ。ナイフは問題ないな。適当に使おう。

 俺は机、もとい作業台に材料を乗せる。そして、手をかざした。

 目を瞑り、槍のイメージを固めていく。装飾は最低限に、軽さと持ちやすさを優先。火力は物理学に頼るとして、穂先はシンプルで大きすぎず、頑丈さ優先で。

 グッと体に力に力が入り、魔力が抜けていくのを感じた。体感で、自身の最大魔力の半分くらいだろう。


「ふぅー……」


 肺の中の熱くなった空気を吐き出し、目を開ける。

 そこには、俺の想像通りの槍ができていた。長さは2メートル、穂先は30センチほどといったところか。穂先には、剣で言うところの鞘が付いていた。柄には皮素材が巻き付いており、滑り止めとして機能しているようだ。手に持って観察してみるが、見た目以上に軽いことに驚く。穂先のカバーを外すと、厚みのある頑丈そうな穂先が出て来た。


「ほぅ。悪くない。……スキルは魔力強化、軽量化の2つか」


 軽量化は文字通り、ではなく、使用者の感じる重量が減るだけで、実際の重量は変わってないというもの。なかなか曲者なスキルだ。相手からすれば見た目以上に重い、というトリッキーなものになる。気に入った。

 魔力強化は魔力を流すと、斬撃や刺突の威力が上がるというもの。魔力は他のステータスより高い俺には丁度良い。

 初期のナイフに比べれば、十二分なほど強い装備を手に入れた俺は得意気だ。


「これで世界は我が物になる」


 ならねぇよ。そんなツッコミが聞こえた気がした。

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