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83 ダンジョン攻略日記

 突然だが日記を書こうと思う。……うん、皆の言いたいことはわかる。四方から暴言が飛んでくるようだ。でもな、特にこれといった出来事がないんだ。同じようなことを延々と話すのも飽きるだろ? 俺も似たようなことばかり喋るのは疲れるんだよ。じゃ、そういうことで。


 ~日記1日目~

 でかドラ猫との戦いは劣勢だった。ステータスでいうところの物理攻撃と俊敏に特化している感じだ。俺の貧弱なステータスでは回避に専念するだけで手一杯だった。


「あっぶねぇ! 早すぎるだろ、今の! って装備が破損してんじゃん。マジ? 修繕ついてるからいいけど、この装備って割といい装備だったはずなんだけどなぁっと! オイ、喋ってる最中は攻撃禁止のお約束だろ!」


 なんて情緒がわからないドラ猫なんだ。こっちの攻撃だけは当たらないのも卑怯だぞ。だが、あれだけたくさんの攻撃を受けたおかげでちょっとずつ慣れてきた。やっぱり経験値は命を賭けた方が稼げるのかもしれんな。


「ほらほらどうしたよ? もうお前の攻撃なんて当たらねぇよーん。やーい。ってちょ待って。魔法はナシだろ! 使えるなんて聞いてないぞ! うわー!」


 煽ったら風属性魔法と思われる風の刃が飛んでくるようになった。半透明の刃が揺れる草原と合わさって見難いのなんの。またもや防戦一方になる。そんなことになりながら数十分ほど戦っていたら、不意にドラ猫が凍ってしまった。


「見るのも勉強というけれど、さすがに飽きたわ」


 少しばかりお怒りな様子のアイナの周囲には、同じように氷漬けになっている魔物が転がっていた。アイナにとって俺の戦いは、ゲーム下手な実況者を見せ続けられているようなものなのだろう。何度も同じミスや相手の挙動を見逃している実況者に、画面越しに段々イラついてくるアレだ。


「ほら、早く片付けなさい。他にも宝箱を探すのでしょう?」

「剥ぎ取りは俺なのね……」


 飽きた、という割には剥ぎ取りをする様子がない。仕方なく俺はその場で2匹ほどグラスピューマを解体して、残りはマジックバッグに放り込んだ。このドラ猫といい、メタボゴブリンといい、未解体の魔物がいい加減溜まってきたので、近く解体をしたい。


「宝箱はなんだった?」

「盾よ。はい」


 無造作に渡された盾はスキルが複数付いていた。剣士が持つには丁度いいサイズで、それなりの高値で売れそうだ。俺は錬金術の素材に使うけど。

 その日は各階層全体を見て回るように探索し宝箱を漁った。


 ~日記2日目~

 今日も今日とて階層を歩きながら宝箱を探す。冒険者が近くにいる宝箱は空のものがほとんどで、中身があったとしてもしょぼかった。宝箱は開けられていない期間が長いものほどレアアイテムがあるのかもしれない。


「フッ、俺にかかればこの程度の魔物など余裕よ」

「追いかけまわされていたじゃない」


 だだっ広い草原をずっと歩くので疲れるが、攻略ペース自体はかなり落ちているので敵の強さのインフレはそこまでだ。宝箱前にいる強い魔物と戦って経験を積むこともできるので、俺としてはとてもありがたい。それに、これから先のことを考えると、あまり爽やか君たちと攻略の差があるのはよろしくない。


「強かった……。俺が伝説の……」

「ただの大きいトカゲよ」


 宝箱を守る魔物は基本的に強く、素材として素晴らしい。だが惜しむらくは俺の剥ぎ取り用ナイフでは歯が立たない魔物が増えてきたことだ。忌々しい伝説のトカゲのせいで欠けたので、新調しようと思う。また未解体の魔物のストックが増えた。今すぐにでもナイフを作って解体したいが、アイナが暇になるので後回しだ。


「ごまだれ~」

「わたくしはイタリアンドレッシングのレモン果汁多めが好きよ」


 なんだそれは? 新手の呪文か? 俺はオニオンドレッシングが好きなんだが。アイナの好物が判明しので、今度シェフに作ってもらうことにして探索を続けた。今日はアイテムや金属などの素材がたくさん集まった。


 ~日記3日目~

 昨日と同上。おわり。


 ~日記?日目~

 いやー、見事に三日坊主だったわ。休日を挟んだ途端日記のことなんて頭からすっぽ抜けた。マジックバッグに日記帳という名の紙を放り込んだらダメだね。視界に入らないから思い出せないわ。ちなみに何で思い出したかというと、スクロール製作のために紙を取り出した時に1枚だけ出てこなかったから。その1枚が日記だったわけだ。うん。

 あ、ちなみにダンジョン攻略はかなり進んだよ。今は28層まで探索できた。次は30層のエリアボスを倒すのが目標だ。アイナが張り切っていた。俺はミスリルで解体用ナイフを新調してドラ猫とかを捌いたよ。大変だったけど高品質の素材が大量に手に入ったのでモーマンタイ。完璧だ。

 しかし、問題はそこではない。俺は今、あまりの難題を目の前に四苦八苦しているところだ。

 そう、俺のレベルが上限に到達したのだ。


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