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40 ゆっくりダイジェスト

 翌日から、俺も含めて爽やか君のグループは精力的に活動した。

 俺はレベルとスキル上げに勤しみつつ、作ってもらった装備品改造したり、便利な魔道具を量産したり、キャンプグッズで使えそうなものを、これまた量産したりと大変だった。

 スキルの研究でわかったことが1つある。頭を覆う装備をすると気配探知の精度が著しく低下するのだ。おかげで作ってもらった装備が1つ無駄になった。バンダナかハチマキでも作るか。ダサいけど。

 アイナは魔法がメインとの話なので、魔法の練習をしながら俺と門番君とともに、戦い方を学んだ。やっぱりアイナは天才だった。

 その休憩中に門番君との会話で、新たな事実が判明した。


「そういえば、神崎さんのレベル上限っていくつですか?」

「急にどうしたんです?」

「いやー、斎藤さんのレベル上限を聞いたら自信がなくなっちゃって」


 門番君のレベル上限は100らしく、よくやっていたゲームの上限と同じだったので、特に疑問に持っていなかった。だが、髭熊のレベル上限が220とかいう話を聞いて、自分のレベル上限が低いことを気にし始めたそうだ。

 大丈夫だよ、門番君。俺は30だ。言わないけど。てか、俺のレベル上限って低過ぎじゃない? これが才能の差か……。誤魔化そっと。


「大切なのは上限ではなく、現在のレベルとスキル、ステータスですよ。どれほど上限が高くても、それを伸ばさなければ意味はありません。まずはそこからでしょう」

「……そうですね。その通りです。俺、頑張ります」

「ええ、後藤さんには期待しています」


 本当だぞ? 素直だし、今では正面から魔物と戦えているのだ。成長具合も俺より早い。俺の狂ったような戦い方の学習にもついてくるし、偉そうに振舞うこともない。羨ましくなってくる。

 話題を逸らして、レベル上限の話を切り抜けた俺に、更なる面倒事が降って来た。


「脱出ルートに渓谷、ですか……」

「はい。下りようにも、下も見通せない程深く、幅も目算で30メートルはありました。現在は渓谷に沿って調査中ですが、芳しくありません。左右の山脈まで続いている可能性が高いかと」


 地図の空白を埋めながら探索を進めた結果、脱出ルートとして考えていた方面に、長い渓谷が見つかった。完全にこの建物周辺は陸の孤島だったらしい。そのまま調査はすると言っていたが、爽やか君の表情は暗かった。

 俺も確認のために、渓谷を訪れた。


「これはまた……」

「どうするの? わたくしだけなら風魔法で強引に飛んで越えることもできそうだけれど」


 アイナ、お前そんなことできたのか。器用な……。っとそんなこと考えている場合じゃなかった。俺が越える方法を考えねば。


「回り道しかなさそうね」

「で、それができなかった場合は、どうするつもりだ?」

「どうって、するしかないじゃない」

「そうだ。するしかないんだ」

「……かみ合っていないわ。あなたは何が言いたいのよ」


 何って、俺は周囲の山脈を越えるつもりはないぞ。エベレストみたいなのが並んでいる山脈を、素人集団が越えられるわけなかろう。それなら、強引に橋でもかけた方がマシだ。


「あなた……おバカ?」

「いたって真面目だが?」

「どうやって橋を架けるのよ。課題が多すぎるわ」


 地球なら無理だろう。でも、ここはファンタジー世界だぜ? 無理が罷り通る世界だ。

 材料は錬金術で作れるし、橋自体も錬金術で作れる。運ぶのはマジックバッグだ。マジックバッグの取り出し方次第で、気にすることなく対岸に橋を渡すこともできる。


「あなたは……適応しすぎよ」

「お褒めにあずかり、光栄だ」


 自身で環境を変えるほどの才能はないからな。与えられた環境にいち早く適応できなきゃ、あの会社では生きてはいけまい。

 よく考えたら、あんな会社に適応する必要なくね? 俺って、おバカかもしれん。

 渓谷の中でも、一番対岸に近い場所を探し出し、俺は錬金術のレシピを思い浮かべる。何とかなりそうだ。

 その後も、何度も予定場所を訪れ、様々な準備をしながら、俺は準備を進めた。

 もう一つ、厄介な問題もあった。そう、例のグループの事だ。


「リーダーの名前は摺木 マサキ。スキルは不明だが、神崎の言った通り、洗脳系に近いスキルを持っていると考えられる」


 イケおじはそう言った。尾行をしながらいると、他グループの人間を無理やり攫い、自室らしき部屋に連れていった。次に攫われた人が出て来た時には、茶髪君のように不自然な言動をするようになっていたそうだ。


「他のグループにも情報を流して、彼らはこちらに合流することになった。残るグループは、我々とあのグループの二つのみ。ここ最近は注意している事もあって、被害者は0だ」


 それと、こちらに転移してきた人数は鍵付きドアの数から、100人ではないかと、推測されている。


「向こうの人数は26人。こちらは69人。残りは死んだと思われる」


 誰も使う様子がない鍵付きドアの数が5つある。未だに、出てきていない可能性もあるが、ノックや呼びかけにも答えない上、気配探知に何も引っ掛からないため、死亡という判断をしたそうだ。


「神崎は脱出ルートの提案をしたのだろう? 九城が頭を抱えていたぞ」

「地球では到底できないやり方ですから。天導さんにも呆れられました」

「だが、助かった。今のところ渓谷を迂回できるルートは見つかっていない。多少強引でも、渡れた方がありがたい。あの他の山を越えるのは厳しそうだからな」


 イケおじの言葉に、髭熊と門番君も同意した。


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