チョコバナナ
推しのライブに全力を注いだ結果、更新をすっかりとサボってしまいました。
まだ余韻が...
来る時は熊に遭遇し、意外な事に熊肉が大好物だというアイネちゃんの事を知り、ヴェルが押し掛けて来て、湖水浴をし、裏山で強制力による迷子にもなり...。
色々とあった我が領地での日々も終わりを告げ、私とアイネちゃんは王都に戻って来た。
アイネちゃんは明日から週3で町のカフェでアルバイトをするらしい。
「家にいるよりも外で働いている方が楽しいんです!」
明るい笑顔でそう言ったアイネちゃんの健気さよ!
「本当は休み無しで働きたいんですけどね」
いやいや、体壊すから!
ヴェルは私達よりも1日早く帰って行った。
夏休み後半は王子として外交が目白押しなのだとか。
「リリーに暫く会えないなんて...」
お別れの時のヴェルは半泣きだった。
「いや、たった2週間だよ?」
「2週間もだよ!2週間...長い、長すぎる...」
「...外交の仕事頑張ってね」
「頑張れる気がしない」
そんなヴェルをアイネちゃんが目をまん丸くして見ていた。
ヴェルがいなくなってから「ヴェルデ殿下ってリリーナ様の前ではあんな感じだったんですね...」と面食らった顔していた。
「何時もあんな感じだよ?」
「それはリリーナ様の前だからですよ」
*
久々の我が家はやっぱり良い!
領地の屋敷も大好きだけど、やっぱり住み慣れた我が家には勝てん!
ベッドでゴロゴロしていると白夜がのそーっとやって来た。
『チョコレートがないぞ!』
「...食べ過ぎじゃないの?」
『我は幾ら食べても太らんからの』
「それって狡いよね」
『神の特権じゃの』
「あー!チョコバナナ食べたい!」
『チョコバナナとな?それはどんな食べ物だ?』
「バナナに串をさして、溶かしたチョコを絡めて固めただけの食べ物!」
『リンゴ飴のようにか?』
「そーだね、リンゴ飴のチョコ版みたいな感じ?リンゴじゃないし飴も使わないけど手軽に食べられてしかも美味しい!」
『ふむ...食してみたいぞ!作れぬのか?』
「チョコとバナナがあれば簡単に作れるよ。...暇だし作るか!」
という事でチョコバナナを作る事になった。
残念な事にチョコバナナもこの世界にはない。
偏りが半端ないこの世界。
絶対制作者サイドの好みの問題だよねー。
アロワナすくいがあるならさ、別にチョコバナナ位あっても良くない?
まぁ、簡単に作れるけどさ。
今回用意した(というか家にあった)のはホワイトチョコとミルクチョコ。
勿論バナナは必須!
それからドライフルーツもあったので無難な所でオレンジとパイナップルも使う事にした。
『苺があるぞ!』
白夜は苺が好きなようだ。
だから苺も使う事にした。
カラーチョコスプレーとかあれば良かったんだけど、残念ながらこの世界にはない。
まずはチョコレートを刻む。
刻んだチョコは水分や油分をしっかりと拭き取ったボールに入れて、55度弱位のお湯で湯煎する。
あんまり熱いお湯で湯煎するとチョコが分離したりして口当たりも味も最悪になるので温度重要!
しっかりと溶けたら準備完了!
本当はテンパリングとかすればチョコが艶々テカテカになるんだけどその辺は面倒だから省く。
普通に湯煎で溶かしたチョコでも十分に美味しいのだ!
串に刺したバナナにチョコを絡めて、発泡スチロールは流石にないから代用で海綿に刺して固まるのを待つ。
他にもオレンジやパイナップル、苺にもチョコを付けて固まったら完成!
バナナ、流石に丸ごと1本使うとお腹パンパンになるから半分に切った。
結構な量が出来上がったので、白夜と最初に味見と称して私がチョコバナナ、白夜がチョコ苺を食べた後は白夜用と私の隠れおやつ用に何個か隠した後は皆にお裾分け。
お母様とお父様はドライフルーツのが特にお気に召したようだ。
「これは美味しいわ!ドライフルーツが一気に高級なお菓子に変身したわね!」
「店で売り出せるんじゃないか?!」
まぁ、前世でもドライフルーツにチョココーティングしたスイーツ売ってるお店はあったけど。
お姉様は苺がお気に召したようで5個も食べていた。
お兄様は全部美味しいともりもり食べていた。
屋敷に仕えるみんなにも配った。
料理長は「これは!この発想はなかった!お嬢様!素晴らしい!」と感動していた。
ごめん、これ私のアイデアではなく前世のパクリです。
それからというもの我が家では時々チョココーティングされたドライフルーツがお茶請けとして出されるようになり、たまたまやって来たお客様の口にも入るようになり、いつの間にやらお父様が新しいスイーツとして売り出していたのだが、それを知るのは随分と先になってからだった。