球場の名前が変わるので
地元のプロ野球球団、その球場の名前が変わった。ネーミングライツというやつだ。
ニュースで新しい名前が流れると、地元の人たちだけでなく、全国の人たちも驚いた。
長い! 長すぎる!
なんでも、球場の名前としては、世界一の長さだとか。
このニュースを聞いて、頭を抱えている会社があった。
「とりあえず、入れてみましたけど」
バス会社である。
球場前のバス停に、新しい球場名を入れてみたのだが・・・・・・。
会議室に運ばれてきたバス停を見て、その場にいる者たちは一斉に険しい顔をする。
「これだと、文字が小さすぎるね。かなり近くに寄らないと、読めないんじゃないか?」
「視力検査表の二・〇より小さいそうです」
さすがに、これでは使えない。
「しかし、他のバス停と同じ文字サイズだと、こんな感じになります」
こちらも見本が運ばれてくる。
バス停の余白、そのほとんどを使い切っているのに、
「新しい名前の二割も入らないのか」
さらに困ったことに、このバス停は路線の終点なのだ。
となると、バスの行き先表示とかにも、バス停の名前を載せないといけないわけで・・・・・・。
翌日、バス会社は世間に向けて発表する。
「球場前のバス停、そのネーミングライツを行うことにしました。できれば十文字以内でお願いします。細かい条件等につきましては、弊社のホームページをご確認ください」