04-20_ヒーローとエレメンタルズの雑談
今回は本当に雑談だけです。
04-20_ヒーローとエレメンタルズの雑談
「まずは自己紹介からだな。」
いきなり目突きをぶちかました少女とそれを喰らって叫ぶ少年を無視しながら、ナナシが何食わぬ顔で話を進める。
それに顔を引き攣らせながら光太郎が応じる。
「では、改めて自己紹介をしよう。我々はヒーローチーム『エレメンタルズ』。
俺が取り敢えずの責任者の鉄光太郎だ。」
「アリエル=ユーリアスです。よろしくお願いします。」
「桃梨百香よ。よろしくね。」
「白井百合です。よろしくお願いします。」
「・・・」
「おい!列人。いつまでも拗ねるんじゃない。青葉総司です。よろしくお願いします。」
「・・・赤坂列人だ。」
こうして相変わらず純の影に隠れて、列人の視界に入らない様に挨拶をするアリエルと、それに対して不機嫌そうに挨拶をする列人を除けば特に問題なく自己紹介が終わる。
このままでは埒が明かないので純がアリエルと列人の間に割って入る事にした。
「なぁ、赤坂。いきなり目突きを喰らえば怒りたくもなるだろうが機嫌直せよ。アリエルも事情は分かったけど暴力は良くねぇ。ちゃんと赤坂に謝るんだ。」
「・・・ごめん、悪かったわ。アカサカさん。」
「・・・」
「よし!これで手打ちだ!グダグダ言うようなら俺が絞めるからな!」
何とかこの場を纏める姉御肌の純にナナシが少し驚いた様子で話し掛ける。
「葉山・・・お前そういう事も出来たのだな。」
「うぅ!なんだよ!悪いかよ!!」
「いや、素直に感心しているだけだ。」
「う~ッ、そうかよ。」
ピキッ!
顔を真っ赤にしコップにヒビを入れながら照れる純を見て、余計な事を言って怒らせたと思ったナナシが黙り込む。
この様子に少し呆れた様子で光太郎が話を切り出す。
「今回の件はフレイム君も反省すべきだな。君は少し物事を率直に言い過ぎる傾向がある。
結果、アリエルさんに不要な先入観を持たせてしまった。それから赤坂は普段の行動を自重しろ。
お前の行動を前もって聞かされていれば、女性が警戒するのは当然だ。」
「はい、反省します。赤坂、迷惑をかけてすまなかったな。」
「・・・いえ、光太郎さんの言った通りですのでお構いなく。」
「・・・コウタロウさんって・・・凄い。」
ナナシと列人に常識的な指摘をする光太郎にアリエルの目が輝く。
そしてナナシが謝った事で漸く列人の機嫌が直り、お互いに親交を深めようと言う段になったのだが、ここで純がアリエルに耳打ちする。
「なぁ、アリエル。お前が異世界人だって事は内緒だからな。こっちじゃ異世界って言うのが一般的には知られてないんだ。」
「えっ!うん、分かった。それじゃあたしの身分はどうしようか?」
「そこは俺が何とかする。適当に話を合わせろ。」
「うん、ありがとう。」
2人がそんな話をしている中、エレメンタルズのポニテ少女桃梨百香がアリエルに質問をする。
「ところでそちらのアリエルさんだけど、どうして純さん達と一緒に行動しているのかしら?」
「あぁ、それは俺が説明する。この子は霊力じゃないけどちょっと特殊な力の持ち主なんだ。
それで井戸亜さんの研究の為にちょっとの間、こっちで世話する事になった。」
「げっ!井戸亜の野郎かよ。」
「列人。あからさまに嫌そうにするんじゃない。」
「しゃあねぇだろう、総司。俺、あいつ、嫌いなんだから。」
「まぁ、あの人、列人先輩に当たりがキツイですもんね。」
「そうなんだよ、百合ちゃん。なんか俺の訓練をするときだけ厳しくて。
この前なんかいきなり相手の心音を聞き取って居場所を瞬時に把握しろ、とか言い出したんだぞ。」
「それはベテランでも難しいわね。」
「それだけお前に期待しているという事だ。それにそのくらいは出来るようになっておいた方がいいぞ。」
「くっ!光太郎さんも結構厳しいよな。まぁ、あの野郎みたいにいきなりわけの分からない電気ショックで折檻して来たりしないからいいけど。」
「・・・イトアさんってそんな事してたの?」
「まぁ、あの人は人として色々とダメだからな。」
「露木さんへの報告に追加だな。」
「そう言ってやるな。同期のよしみって言うのもあるが、あれで悪い奴じゃないんだ。」
「・・・・」
ガヤガヤガヤガヤ・・・
「ところでコウタロウさんっておいくつなんですか?ちなみにあたしは18です。」
「俺は今年で24だな。18という事は赤坂達より年上だな。」
「俺と総司と百香が16で百合ちゃんが14だ。」
「ちなみに蒼太君も僕らと同い年だね。ねぇ、蒼太君、さっきから黙っているけど。」
「そんな・・・僕のセミよりも耳障りな言葉を皆さんに聞かせるのが心苦しいだけで・・・」
「なぁ、百香・・・神崎ってこんな奴だったのか?」
「知らないわよ。私だってあんまり話した事なかったから。」
「う~ん・・・総×蒼・・・いまいちですね。」
「おい、白井。絶対、今しょうもない事考えただろう。」
ガヤガヤガヤガヤ・・・
こうしてこの場にいる9人が食事をしながら雑談を交わし、アリエルとエレメンタルズが打ち解けた所でナナシのポケットから携帯の着信音が鳴る。
「こちらフレイム、井戸亜さん。どうしました?」
『あぁ、アリエルさんの訓練の準備が出来たので研究室に来て欲しい。それから赤坂には色々分からせてやるから覚悟しておけ、と伝えておいてくれ。』
この間、10秒。本当に用件だけ伝えて速攻で通話を切る井戸亜。相手がナナシでなければさぞや顔を引き攣らせていた事だろう。
この通話の速さに光太郎が相手を察したのか、ナナシに状況を確認する。
「井戸亜からだな。用件は?」
「アリエルの訓練の準備が出来たそうです。それでは自分達はそろそろ失礼します。」
「そうか。井戸亜が暴走しない様に見張っておいてくれ。」
「アリエル、あの腐れマッドサイエンティストに何かやられたら俺に言えよ。それを理由にあの野郎をボコってやるから。」
「それから赤坂に伝言だ。『分からせてやるから覚悟しておけ。』だそうだ。」
「あらあら、会話の内容聞かれちゃってるのかしら。」
「・・・もしかして盗聴でしょうか?」
「いや、多分勘だと思うぞ。あの人、自分に対する悪口への嗅覚が異常に鋭いから。」
「列人、骨は拾ってやるからな。」
「ちきしょ~~~~~~~~~!!!」
こうして列人の悲鳴が木霊する中、ナナシ達はその場を後にする。
光太郎と別れる事を名残惜しそうにするアリエルと、どさくさに紛れてこの場から逃げようとする蒼太を、純が引き摺りながら。
井戸亜に目をつけられた列人の運命は如何に。
そしてアリエルは光太郎と仲良くなれるのか?
次回、井戸亜先生の魔術講座を開講します。




