04-16_『インフィニティスナイパー』井戸亜仁
今回は戦闘回、井戸亜が戦います。
04-16_『インフィニティスナイパー』井戸亜仁
「・・・以上が・・・任務の概要です。」
今、ヒーロー達とアリエルは、ヒーローの普段の様子をアリエルに知ってもらう為に通常任務に向かっているところだ。
装甲車が荒野を突っ走る中、蒼太が説明した任務の内容は以下の通りである。
・東京~福岡間の地下高速通路のメンテナンス区画に狼獣人型の怪人が住み着いたのでその討伐が今回の目的。
・推測される怪人の目的は地下高速通路に行き交う物資輸送列車を襲って、その積み荷を強奪する事。
・場所が地下通路であるため、重火器の使用は不可。故に少人数で戦える接近格闘タイプのヒーローの派遣を希望。
・狼獣人型の怪人は強力な使い魔を大量に使役する可能性が高いため、それ相応の実力がある者の派遣を希望。
・可能な限り施設に損害を出さずに怪人の殲滅する事を希望。
「なるほど・・・この希望を踏まえてフレイム兄さんに依頼が振られたわけですね。」
「まぁ、妥当だろうね。こういう任務はだいたい、フレイムか蒼太君にいくからね。」
「俺だって接近格闘タイプなのになんでこういう任務が来ねぇのかな。」
「お前はすぐに物を壊すからだろう。」
「同意だね。君の任務って大体屋外で物的被害を考えないでいい場所ばかりだよね。」
「ごめんなさい・・・虫けらの僕にはとてもフォロー出来ません。」
「テメェ~らなぁぁあ~~~~~~ッ!!!」
「・・・・」
任務の内容とナナシに振られた理由、それから純に振られなかった理由について語るヒーロー達。
当然純からは不満が出て絶叫するわけで、車内は一気に騒がしくなる。ちなみにアリエルは今だに車ショックから立ち直れておらず、沈黙を保っている。
ちなみにナナシがアナシスではよく物を壊すのにどうしてこの手の任務に抜擢されるかと言えば、地球の建物はアナシスに比べて強く、地球の怪人はアナシスのモンスターより頑丈に出来ている為、結果として地球では物を壊す事が少ないからである。
つまり地球の怪人を倒す感覚でアナシスのモンスターとも対峙する為、破壊の規模が大きくなるのである。ナナシがアナシスの生き物を虚弱体質呼ばわりするのはこの辺に起因している。
純の絶叫で少し緩んだ空気の中、不意にこの空気とは似つかわしくない声色で蒼太が言葉を放つ。
「あの・・・そういえば地上だと言うのにまだ怪人に遭遇しませんね。」
「そうだね。おそらくその狼獣人型の怪人がこの一帯を縄張りにしているのだろう。そう考えると結構強い怪人かも知れない。最近の京都は狼型が増えているからね。」
「これは・・・関係あるか分からないんですけど、僕の依頼に『怪人組織『黒狼』の壊滅』と言うのがあったんですよ。
もしかして・・・それと関係しているのかも知れません。」
「うむ、確かにこれだけ広い範囲の怪人を追い出したとなれば組織が関わっている可能性は十分に考えられるな。
だが、それなら蒼太君の依頼もカタがついてちょうどいい。」
「フレイム、それだと地上にその『黒狼』が潜んでいる可能性も考えられるんじゃねぇか。」
「僕も葉山の意見に賛成だね。今回は地上班と地下班に分かれた方が良さそうだ。」
「じゃあ・・・割り振りはどうしますか?」
「地上班は僕と葉山かな。地下にはフレイム、蒼太君、アリエルさんで行ってくれ。」
「了解」×3
「さて、そろそろ目的地だ。フレイム、悪いがアリエルさんを起こしてくれ。」
こうして作戦の方針も決まり、目的地である地下高速通路のメンテナンス区画への入り口に辿り着いたところでアリエルを起こす。
この時、男どもが起こすとアリエルが騒ぎそうだったので純に起こしてもらう事にしたのだが、
「お~い、アリエル。お~き~ろ~。」
「わぁああああ~~!!ジュンさん!!やめてっ!!頭がシェイクされるッ!!!」
力加減を間違えた純の手によって頭を揺さぶられた結果、アリエルの脳みそを揺らしながら怪人の元へと歩き始める羽目になった。
怪人退治が終わったら純にも説教だと心に誓うアリエルであった。
一方恨めしい視線を受けながら、バツが悪そうな顔でアリエルを送り出した純と井戸亜の方はと言うと、
「さてと、俺と井戸亜さんの任務は入り口の防衛って事でいいと思うけど、早速って感じだな。」
「そうだね。狼獣人の群れ・・・およそ100って所かな。」
「うへぇ~~!よくこんなに狼ばかり集まったもんだ。これって多分狼の邪神が裏で糸を引いているぜ。」
「それに関しては同意だが、この場にはいないようだ。取り敢えずはこいつらの殲滅からだね。」
「了解・・・行くぞ、シヴァ!『変身』!!」
「ヴァーユ、行くよ。『変身』。」
2人は自身の契約精霊と交信し、その姿を変貌させていく。
真っ青な光に包まれた純は、青をベースにしたスーツと白のグラブとブーツに身を包み、頭部全体を保護する長い青髪が生えた顔の部分が白いマスクを身に纏う。
この姿のコンセプトは純の圧倒的な攻撃を阻害しない事、その攻撃力から純自身の身体を保護する事、ただそれだけ。
破壊神シヴァと一体になったその姿はシンプルかつ機能的であると同時に女性の美しさや色気も内包している。
一方、井戸亜も緑の光に包まれ、その姿を変えていく。
緑と白を基調にしたスーツ、手には130cmほどの長さの白色をベースに緑の嵐を象った模様が描かれたスナイパーライフル。
顔全体を覆うマスクの目には顔の上半分をスッポリと覆うゴーグル。そのゴーグルには標的である怪人のデータや現在位置などのデータがリアルタイムで映し出されている。
これが地球の全ての空気を支配するヒーロー、地球上の全てを射程圏内とする最強の狙撃手、風神ヴァーユと一体になったヒーロー『インフィニティスナイパー』井戸亜仁である。
ワオォォォォォォォォォオォオォォォ!!!!!!!!
2人が変身を終えるとともに、それに気づいた狼怪人達も咆哮を上げ、臨戦態勢に入る。
ワオォォォォォォォォォオォオォォォ!!!!!!!!ワオォォォォォォォォォオォオォォォ!!!!!!!!ワオォォォォォォォォォオォオォォォ!!!!!!!!ワオォォォォォォォォォオォオォォォ!!!!!!!!
咆哮が上がるたびに怪人の使役する手下、狼型の使い魔が増えていく。
実にその数10000以上、もはや軍隊である。狼軍団が黒い波となって純と井戸亜に襲い掛かる。
「使い魔の平均戦闘力・・・601。怪人の平均戦闘力・・・1729。一番強い奴は・・・2260。
はぁ、数頼りか。全く話にならないね。」
井戸亜は自身の固有能力の一つ、ゴーグルによる怪人のデータの測定結果を見ながら思わずため息をつく。
それを横で聞いていた純が井戸亜に質問を投げかける。
「なぁ、井戸亜さん。いっつも思うんだけど、その数字どういう意味なんだ?」
「一般人が100でヒーロー研修生なら1000~3000、新人ヒーローなら5000以上と言った所かな。」
「なるほど、敵が大した事ないのは分かった。それじゃ一気に片付けるとするか。」
「必要ないよ。もう終わっている。」
その言葉をきっかけに狼達に注意を向ける純。黒い波は既に動きを止めていた。
すべての狼達は眉間から血を流し、音もなく息絶えている。その光景を目の当たりにした純が呆れた様子で井戸亜に更に問いかける。
「これ・・・いつの間にやったんだ?」
「奴らが突っ込んできた瞬間だよ。畜生共の目の前の空気を弾丸状に固めて、突進してきた所を自滅させた。」
「・・・なぁ、俺の出番も残しておいてくれよ。」
「君が弱い奴とやると余計な被害が出るだろう。もう少し強い怪人が出たら考えてあげるよ。」
「・・・・・」
取り敢えず戦いたかった戦闘狂は引きこもりの同僚が行った余計な事に物申したい気分だったが、言っている事が事実であるため反論できず黙り込むのであった。
やっぱり予想はしていましたけど、最強の10人が戦うと普通の怪人では全く歯が立ちませんね。
次回は蒼太の戦闘をお送りする予定です。




