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04-12_ヒーローと蒼太の実力

今回は蒼太にスポットを当てていきたいと思います。

04-12_ヒーローと蒼太の実力


「ところでアリエルさん。葉山の能力は把握してもらったけど、蒼太君についてはまだだよね。」


「はい、出来ればここで見せてもらえると助かります。」


これは純がクレーターを作ってからすぐの事だ。(ちなみに防人はクレーターを埋める作業の真っ最中。)

井戸亜の提案により今度は蒼太の能力を確認する事になった。

だがここでいきなり水を向けられた事により超卑屈な天才蒼太がテンパり始める。


「えっ・・僕の能力の確認ですか?はっきり言って僕なんて弱々のクソ雑魚ナメクジですから試すだけ無駄ですよ・・・」


「・・・へっ?」


「気にするな。いつもの戯言だよ。」


蒼太のネガティブ発言に思わず変な声が出るアリエルに対して井戸亜がスルーを指示。

そして何かを思い出したかの様に井戸亜が話を続ける。


「そうだ、アリエルさんの能力も見てみたい。あの卑屈の塊に最強の魔法をぶっ放してくれ。」


「えッ!!いいんですか!!」


「構わない。どうせ君の魔法じゃ蒼太君は傷つけられない。」


「ねぇ!ナナシ君。その言い方カチンとくるからやめてくれる!!」


「・・・あの・・・喧嘩は止してください。僕がプランクトン未満の存在だって事は分かっていますので。」


ナナシの発言に突っかかるアリエルをネガティブ発言で宥めようとする蒼太。

それに対して、


『ロックランス』×1000


銀氷壁(ぎんひょうへき)


井戸亜がいきなり千の岩の槍を魔法(・・)で放ち、それを蒼太が氷の防御術であっさり防ぐ。

それを見たアリエルが一瞬驚きの表情を見せながら、すぐに抗議の声を上げる。


「・・・イトアさん!!何てことをするんですか!ソウタ君にもしもの事があったらどうするんですか!!」


そんな怒りのアリエルを無視しながら、ため息交じりに井戸亜が話を進める。


「はぁ・・・蒼太君。今の攻撃だけど、割と簡単に防げたよね。どうして攻撃が来るのが分かったんだい?」


「えっと・・・だって井戸亜さんがちゃんと魔力・・・でしたっけ。それを出してあらかじめ僕に防ぐように指示してくれたじゃないですか。あんなの誰でも防げますよ。」


「ハァッ!!」


2人の遣り取りにアリエルは驚愕の表情を浮かべる。何故ならアリエルは井戸亜から魔法の発動の予兆を読み取る事が出来なかったからである。

魔法使いのアリエルが発見できないほどの微弱な魔力を魔法使いじゃない(・・・・・・・・)蒼太が感知した。

あり得ない現実に頭が現実に追いつかず、言葉を失ったアリエルに井戸亜が畳みかける。


「これが神崎蒼太、別名教官殺しだ。教える前からなんでも理解し、何でも出来てしまう。今までに何人の教官を自信喪失に追い込んだ事か。

彼を出し抜き、傷つけるのがどれほど困難か分かってもらえたと思う。だから遠慮なく君の力を見せるといい。」


「・・・」


井戸亜の言葉に場が沈黙に包まれる事ほんの少し、ナナシが今起きた出来事に疑問を口にする。


「井戸亜さん。蒼太君が攻撃を防げたのは必然としまして、何故井戸亜さんが魔法を使えるのですか?それもアリエルより高水準で。」


「それは僕が前世から能力を引き継いでいるからだよ。おそらく僕はこの世界で唯一の魔法を使えるヒーローだと思う。

そして勝手ながらアリエルさんがこちらにいる間、魔法の先生をさせてもらおうと思っている。勿論アリエルさんの許可があれば、だけどね。」


「えっ!」


「分かったら早く蒼太君に魔法をぶっ放してくれるかい。君の実力が分からないと訓練メニューの組みようがないし、君が訓練を拒否するにしても実力を示してもらわないと困るからね。」


情報量の多さに呆然とするアリエルに、無遠慮な言葉で行動を促す井戸亜。そこへ蒼太がネガティブな言葉を被せる。


「あの・・・お手柔らかにお願いします。僕みたいなミジンコ、きっと楽に倒せるでしょうけど。」


「おい、アリエル。さっさとやっちまえよ。蒼太にダメージを与えるのって俺でも難しいんだからよぉ。」


「・・・うん、分かったよ。それじゃソウタ君、行くよ。」


「はい・・・ちゃんと合図してくれるなんてアリエルさんはとってもいい人なんですね。」


「・・・」


純の言葉に覚悟を決めるアリエルだが、その後に発せられた蒼太の言葉に思わず顔が引き攣る。

何故ならこの一言だけで、この場所が如何に殺伐とした所かが簡単に想像できたからである。おそらくここの連中は何の合図もなく不意打ちで模擬戦を行うのだろう。

そんな修羅の世界に迷い込んだ事に思わずため息をつき、肩を落とすアリエル。


「はぁ・・・じゃあ行くよ!『ファイアランス』!!」


『ブルーカーテン』


全力と言われたが取り敢えず小手調べに炎の槍を放つアリエルと、それを冷気のカーテンであっさり防ぐ蒼太。

その光景に焦れたのか、井戸亜先生が鋭い言葉を飛ばす。


「アリエルさん!真面目にやってくれ!そんな攻撃が蒼太君に通じると思ったら大間違いだよ!!」


「・・・了解!『エクスプロード』!!」


・・・・場が静寂に包み込まれる。

今しがたアリエルが放ったのは爆熱系の上位魔法であるが、魔法が発動する気配が見られない。

その光景にアリエルが困惑し、井戸亜が思わず頭を抱える。


「すまない、アリエルさん。ここまでだ。」


「えっ・・・はい・・・あの~、井戸亜さん。もしかしてですが。」


「あぁ、これは完全に僕の人選ミスだ。君の魔法の実力は一流だ。どうか自信を無くさないでくれ。」


アリエルと井戸亜が意気消沈する中、その意味が分からない純が疑問を口にする。


「なぁ、2人とも。何も起こってないみたいだけどどうしたんだ?」


「・・・起こってるんだよ。アリエルさんはおそらく彼女が持つ最強の炎魔法を放ったんだと思う。

でも蒼太君が発動前に先ほど作った冷気のカーテンで包み込んで相殺したんだ。」


「・・・マジかよ、相変わらず半端ネェな。」


「あの・・・もしかして僕、またなんか悪い事しましたか?」


3人の遣り取りにまたしてもネガティブ思考一直線になり、動揺する蒼太にアリエルが質問する。


「ソウタ君、あたしの魔法の発動位置を正確に把握していたみたいだけど、どうやったの?」


「えっと・・・アリエルさんが魔力で合図をくれたのでそれを辿って冷気の幕で覆っただけですけど。」


「・・・」


「アリエル、蒼太君にその手の質問は無意味だ。彼にとっては分かったから出来た、それだけなんだ。」


自信なさげに答える蒼太に思わず絶句するアリエル。

規格外過ぎる人物を前にナナシのフォローも耳に入らないアリエルであった。

蒼太は無自覚の天才です。彼は自分が出来る事は他人にも出来ると本気で信じています。

次回は井戸亜にスポットを当てていこうと思います。シリアスさんの出番です。

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