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01-07_ヒーローと国王との謁見

前回、王城に不法侵入した後の話です。

豚箱送り回避なるか。

01-07_ヒーローと国王との謁見


「もし良ければ君の護衛、自分が引き受けたいのだがよろしいかな。」


その場にいるすべての人間が困惑していた。

何故ならここは国王の御前たる謁見の間で国内でもっとも警備が厳重な場所なのだ。

それをどこの馬の骨か分からない一人の青年が当たり前のように侵入している。

ここにいる者全てが警戒を強める中、青年ナナシは淡々とした様子で両手を挙げながら語り始める。


「まず、勝手に侵入した事を詫びたい。

何分異国の人間の為、どうやって入城許可を取ればいいのか分からなかった。

自分に敵対の意志はないので、その点は安心して頂きたい。」


言うと同時にナナシはアリエルに対して目だけで『何も話すな』と合図。

アリエルも困惑しながらそれに頷く。


少しの間を置き、ナナシの言葉に対して一番に驚きから回復した騎士の一人が声を上げる。

他の兵士に比べて格好が立派な事から騎士の責任者と思われる。


「陛下、このような怪しい者の戯言に耳を貸す必要はございません。

今すぐ引っ捕えて牢屋に叩き込みましょう。」


「・・・まぁ待て、そなた、名をなんという。」


騎士の言葉に対して、ダニエル国王が少し間を置いて静止し、ナナシに名を聞く。

どうやら国王はナナシと話す気があるようだ。

それに対してナナシはいつもの様に答える。


「申し訳ありません。自分には名前がないもので。

『名無しのフレイム』とでもお呼びください、陛下。」


「そうか、ではフレイムよ。そなた、どうやってここに入ってきた?」


「普通に歩いて隠れながら来ました。

人が来た時には天井に張り付いたりしてやり過ごしました。」


「天井に張り付くだと!天井までは3m以上あるのだぞ!

そこまで音も無く飛び上がるなど、貴様魔法使いか?」


「いえ、自分はヒーロー、人と星を守る存在です。」


ナナシの一歩間違えば頭のおかしい人扱いされる回答に、ダニエルは何故か興味を示す。


「・・・・興味深いな。只者では無いのは分かる。

英雄か、はたまた狂人か。大臣、『スキルチェッカー』を持ってこさせよ。」


「御意。」


ダニエル国王はナナシの雰囲気にただならぬものを感じたようだ。

彼は一国を束ねる国王だ。常人には分からない何かが分かるのだろう。

彼は大臣に指示を出し、大臣はそれに従う。


程なく大臣の指示の元、一人の従者が掌サイズの四角い板状の道具を持ってきた。

それを大臣が受け取り、ナナシにかざす。

ナナシが無表情で大臣の様子を観察していると、ダニエルはナナシが道具に疑問を持っているのだと思い説明を始める。


「フレイムよ、それはスキルチェッカーと言って、人の能力のうち、力、速さ、体力、魔力を数値で表すと共に所持技能を表示するものだ。」


「そのような物があるのですね。しかし人の力など数字で表す事などできないと思いますが。」


「そうだな。だからそれはあくまでも目安だ。訓練の強度を決める時にオーバーワーク防止の為などに用いられる。」


「なるほど、そういう目的ならば、いい道具かもしれませんね。」


「陛下!出ました!ご覧下さい!」


ダニエルの説明を受けている間に大臣の測定が終わったが様子がおかしい。

大臣の結果を見てダニエルが顔をしかめる。


「大臣、試しに『結界の聖女』も測定してみよ。」


「御意。」


ダニエルの言葉に大臣はスキルチェッカーをアリエルにかざす。

暫くしてアリエルの測定結果も出た。


「陛下、こちらが結果です。

 力:300

速さ:450

体力:380

魔力:5000

技能:初級魔法、結界術」


「うむ、正常だな。機器の故障ではないか。」


このスキルチェッカーだが数字の基準は通常の成人男性が100ぐらいで表示される。

オリンピックの重量挙げ選手なら力500くらいだろうか。

アリエルは兵士で鍛えているとはいえ中々優秀で魔力はずば抜けているようだ。


機器が正常である事を確認したダニエル達はもう一度ナナシを測定する。


「やはりさっきと結果は同じです。」


「うむ、これはどうしたものか。」


唸り声を上げているダニエルと大臣を見たナナシがその理由を問う。


「先程から困惑しておいでのようですが、自分の結果に問題でも?」


「ああ、見てもらった方が早いな。フレイムよ、確認してみてくれ。」


ダニエルの言葉に大臣がスキルチェッカーの画面をナナシに見せる。


「どれどれ・・・・すみません。自分は異国の人間故こちらの字が読めません。

技能?の部分だけは読めるのですが他がちょっと。」


「そうか、では読み上げるぞ。

 力:測定不能

速さ:測定不能

体力:測定不能

魔力:0

技能:『????(日本語で格闘術、炎術、変身と記載)』だ」


ナナシは大臣にスキルチェッカーの内容を読み上げてもらう。

ちなみに技能の部分は本人が頭に思い描いたものなので、被測定者の母国語になる。

この結果を受け、ナナシが返答をする。


「なるほど、それは確かに困惑しますね。

ちなみにこの数値の上限はいくつですか?」


「?・・・1万だが、それがどうした?」


「つまり自分は数値上1万以上という事になるわけですね。」


「「「!!!」」」


測定結果とナナシの発言にその場にいる者は皆驚愕の表情を浮かべる。

それに対して先程の立派な身なりの騎士が我慢の限界とばかりに声を荒げる。


「陛下!発言をお許し頂いて宜しいでしょうか!!」


「許す。申してみよ。」


「数値1万以上の人間など存在する訳がございません。

その者はおそらく詐欺師で何らかの方法でスキルチェッカーに細工をしたのでしょう。

今すぐ牢屋に放り込むべきです。」


「・・・兵士長、そなたの言い分は分かるが決め付けるのは早計だ。

フレイムよ、兵士長はこう言っているが申し開きはあるか。」


「・・・・・」


兵士長とダニエルの発言にナナシは少し考え意見を口にする。

その様子をアリエルは息を呑みながら見守る。


「先程の反応を見る限り、1万以上と言うのは異常な数値なのでしょう。

それこそ嘘つき扱いされる程に。それでしたら証明の機会をお与えください。

重量挙げでも、早駆けでも、持久走でもなんでも結構です。」


「それでしたら、私に提案がございます。」


「兵士長、申してみよ。」


ナナシの申し出に兵士長が広角を上げながら提案する。


「彼の目的は『結界の聖女』の護衛のようですし、ここは一つ実際に戦ってみるのがよろしいかと。」


「ほう、それでその相手は。」


「私が致しましょう。

私はスキルチェッカーで全能力2000以上ですが、彼の能力が1万を超えると言うなら楽に勝てるでしょう。

如何でしょうか。」


「うむ、フレイムよ。そなたはどう思う。」


「自分は問題ありません。場所はどうしましょう。」


「1階の騎士団の訓練場がよろしいかと。」


「分かった、では今から各々準備をするがいい。

30分後に試合を開始する。」


ダニエルのこの言葉を皮切りにその場のものが一斉に動き出す。

そんな中兵士長がナナシに近づき耳打ちする。


「貴様の目的が何か分からないが大方『聖女』の護衛をして王に取り入ろうと言う魂胆だろう。

そのような薄汚い詐欺師には私が引導を渡してやるから覚悟しろ。」


「・・・・・」


「ふん!何も言い返せないか。では30分後には貴様は豚箱送りだからそのつもりでいろ。」


兵士長は言うだけ言ってその場を後にする。

残されたのはナナシとアリエルの二人だけだ。


「ちょっと、ナナシ君。どういう事なの!

なんで『結界の聖女』の護衛になんて立候補したの。

しかも兵士長と決闘だなんて!」


「いや、決闘では無く試合だろう。それに自分が勝てば問題ない。」


「そういう問題じゃない!負けたら豚箱、勝ったら『聖女』の護衛とかどっちも地獄じゃない。

ナナシ君は馬鹿だと思っていたけどこんなに馬鹿だとは思ってなかったよ。」


「ん?勝っても地獄とはどういう意味だ?」


「うるさい!!あなたなんか負けて豚箱送りになっちゃえ!!」


アリエルがナナシに対して顔を真っ赤にして怒鳴りながらその場を後にする。

それを受けたナナシが少し考え込む。


「『結界の聖女』に『人柱』・・・まだまだ何か隠しているな。

これは是が非でも勝たなくては。」


ナナシは決意を新たに決闘の場へと向かうのであった。

なんか決闘する事になりましたし、アリエルが意味深な事を言っておりますし、色々起こって大変ですね。

ナナシのトラブル体質のなせる業でしょうか。


それからすぐに豚箱送りにしない辺り、王様は寛大なのか、慧眼なのか、はたまた何か事情があるのか。

もっともこのヒーローにとって脱獄など朝飯前ですがね。

もしかしたら入れるだけ無駄だと思ったのかもしれません。

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