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04-07_閑話_ヒーローと井戸亜の事情

今回は井戸亜の事情の話です。彼には色々と隠し事がありそうですね。

04-07_閑話_ヒーローと井戸亜の事情


「さぁ、井戸亜。洗いざらい吐いてもらうぞ。」


「いや、別に僕は隠し事なんてしていませんがね。」


ナナシ達が司令官室を去った後、すかさず井戸亜に詰め寄る龍堂。

それをおどけた様子でいなしながら、井戸亜が話を切り出す。


「まずどこから聞きたいですか?」


「全部だ!」


「全部・・・ですか。少し長くなりますが。」


「構いません。」


龍堂と露木に詰め寄られた井戸亜は今までの少しおどけた態度から一転、真剣な表情で語り始める。


「では僕の前世の話とそこで出会った女神の話からでしょうかね。」


「・・・」×2


「僕はとある国で魔術師をしていたんですが、本当に碌でなしで。

散々悪事を働いた挙句、悪の手先として1人のヒーローに倒されたんです。

死んだ僕は魂だけの存在になりました。そこで出会ったんです。異世界転移の女神、運命神ノーラに。」


「・・・」×2


井戸亜の話に龍堂と露木は無言をもって先を促す。


「ノーラは僕に取引を持ちかけました。

『あなたの大切な人がいる世界に転生させてあげます。代わりに私に協力してください。』とね。

彼女はあらゆる世界の邪神に対抗する為に強い戦士の協力を欲していました。

そして彼女は一つの世界に目を付けました。それがこの地球です。」


「・・・」×2


「僕は彼女の取引に応じました。僕の大切な人、今の両親を邪神から守るために・・・」


この時、井戸亜の声は少し震えていたかもしれない。

ここで井戸亜は一呼吸置き、それから話を再開する。


「これはノーラから聞いた話なのですが、地球に存在する霊力使い、それから邪神の力と数は他の世界の数百倍らしいです。

地球には他の世界とは比較にならないほどの感情エネルギーで溢れているからだと言っていました。

今、ノーラが所属する天界では地球を対邪神の最重要拠点だと位置づけています。」


「・・・」×2


「そしてつい先日発見された『名前ある者の神』。あれはノーラ曰くありとあらゆる精霊、神が匙を投げた最強の邪神だそうです。

そしてそれに勝つ可能性が唯一あるのが『名無しのフレイム』だと。」


ここで今まで無言を貫いていた龍堂が鋭い口調で切り出す。


「つまり、防人の守りをすり抜けてこのヒーロー連合に直接××達と異世界人を転送したのはその女神の力だという事か。」


「えっ!今なんと?」


龍堂の声の一部が消えた事に驚きながら質問をする井戸亜。

それに対して、龍堂が頭を掻きながら答える。


「あぁ、フレイムの事だ。フレイム達を転送したのは女神の仕業か?」


「・・・はい、そうです。もっとも僕に転送座標を合わせたみたいですが。」


「お前から見て、女神ノーラは信用できそうか?」


「・・・それは問題ないと思います。でもいいんですか?僕は言ってしまえば彼女の手先ですよ。

僕が彼女に不利になる証言をするはずがないと考えるのが普通だと思うのですが。」


井戸亜のこの質問に龍堂は全く迷うことなく即答する。


「その心配には及ばねぇ。お前が井戸亜夫妻の事を本気で大切にしている事はここの全員が知っている事だ。

お前は間違いなくその女神より井戸亜夫妻を優先する。」


「つまり、僕が地球に仇なす事はないと。」


「お前は地球を守るなんて大儀の為に動く奴じゃねぇ。

井戸亜夫妻を守るついでに地球を守る奴だ・・・だから俺はお前を信用できる。」


「・・・」


龍堂の言葉に今度は井戸亜が呆然とする。

静寂がこの場を支配する事暫し、龍堂の話を露木が引き継ぐ。


「なるほど、あなたに色々と不可解な部分があったのはそういう事情だったのですね。

ところであなたはその女神ノーラとコンタクトが取れるのでしょうか?」


「いつでも、と言うわけにはいきませんが定期的に遣り取りをしています。」


「では今度彼女に会う時には私と総帥も同席させて下さい。色々と聞きたい事がありますので。」


「承知いたしました。」


「それから、あなたが使う霊力を使わない超常の力、魔術は前世の力なのですか?」


「はい、そうです。霊力程の力はありませんが汎用性があって色々便利です。

ちなみにフレイムと一緒にいる異世界人アリエルさんも魔術が使えると思います。」


ここで露木は少し考えこみ再び口を開く。


「もう一つ質問です。あなたとアリエルさん。どちらの方が優れた魔術師か分かりますか?」


「えっ?僕ですけど。彼女は魔力量は多いですが扱いがなっていない。」


「では、あなたには彼女がこちらにいる間、魔術の指導をお願いします。」


「はぁ!何を言っているんですか!」


この命令に井戸亜は思わず上擦った声で聞き返すが、露木は有無を言わさぬ口調でピシャリと返答する。


「彼女は貴重な現地協力者です。あのフレイムさん達と一緒に邪神と戦うのですから相応の自衛手段が必要になるでしょう。

きっとフレイムさんも必死で守るでしょうけど、少しでも生存率を高めておきたい。」


「別にいいですけど、僕が指導すると彼女、向こうで人外扱いされますよ。」


「命あってこその物種です。そのような些末な事に捉われている時ではありません。」


「・・・まぁ、彼女が了承すれば、という事で。」


ため息をつきながら思わず肩を落とす井戸亜。それを生暖かい目で見守る龍堂。

そんななんとも言えない空気が漂う中、露木の上着のポケットから電話の着信音が鳴り響く。


「・・・はい、こちら露木。フレイムさんどうしました・・・・分かりました。

業者の方はこちらで手配しておきます。状況を知りたいので一度司令官室まで来てください。」


そう言って電話を切った露木が盛大にため息をつく。

この反応に身に覚えのある龍堂は自分の予想が当たっているか露木に確認をする。


「もしかしてだけど・・・フレイムと葉山が接触したか?」


「はい、今回の被害は廊下の床一面だそうです。」


「はぁ、あいつの器物破損の癖、いい加減どうにかならねぇかなぁ~。」


「あれはただの照れ隠しですから難しいかと。」


「・・・筋力低下の魔術でもかけてみますか?」


「いや、多分無駄だろう。」


「・・・・はぁ~~~~~!!」×3


先ほどまでの真剣な空気とは一転、なんとも締まらない空気と3人のため息が流れる司令官室だった。

色々と大事な話をしていたと思うのですが、ナナシのせいで台無しですね。

次回は同盟を結んだ女子の様子をお送りしたいと思います。

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