04-06_ヒーローと同盟の誕生
今回は純を追いかけたアリエルの話です。
04-06_ヒーローと同盟の誕生
「あぁ~~~ッ!!なんでいっつもあんなんなっちまうんだよ。俺は~~!!」
「はぁ・・・はぁ・・・やっと追いついた!!ハヤマさん、ちょっとお話いいですか?」
顔を真っ赤にし、半べそをかきながら逃げる純を追いかけて、アリエルが辿り着いたのはヒーロー連合の中庭。
そこは建物のど真ん中に設置された天井が屋根で覆われた庭で広さは学校の体育館程。背が低い木がまばらに植えられ、休憩用のベンチがいくつか設置されているシンプルな屋内庭園である。
そこの木の陰で1人蹲っていた純にアリエルが話し掛ける。
「あんたは・・・確かフレイムと一緒にいた・・・」
「はい、アリエルです。ちょっとあなたとお話がしたくって。」
「・・・構わねぇよ。ここじゃなんだから場所を変えるか?」
「そうですね。では・・」 グゥ~~~~~~~~~!!!
「・・・・」×2
ここでアリエルの腹の虫が盛大に鳴り響く。今度はアリエルの顔が真っ赤に染まる。
暫しの沈黙が場を支配した後、先に口を開いたのは純のほうだ。
「えっと・・・アリエル・・・さん。取り敢えずなんか食うか?奢るぜ。」
「えっ!!本当ですか!ありがとうございます!!」
先ほどの羞恥心はどこへやら、食べ物を奢って貰えるという事実にアリエルは大歓喜。
純はその様子に苦笑いをしながらアリエルを食堂に案内する。
それから歩くこと少し、2人は食堂に辿り着く。するとそこで一つの問題が発生する。
「あの~、ハヤマさん。あたし、こっちの文字が読めないんですよ。」
「あぁ、ってそりゃそうか。どう見ても日本人じゃないもんな。取り敢えず看板に写真が張り付けてあるから食いたいもの指差してくれ。そしたら俺が注文するから。」
そう言って純が示した先をアリエルが見ると、本物と見紛うような見事な絵(写真)が掲げられていた。
その精巧さに驚きながらアリエルは好物のハンバーグを発見したのでそれを指差す。
「おう、ハンバーグ定食だな。じゃあ俺は・・・さっきハンバーガー食べたし軽めにうどんにでもしておくか。アリエル、悪いがあそこの席確保しておいてくれ。」
注文を確認した純が素早く食券を買い、カウンターに食事を受け取りに行く。
その間、アリエルは言われた通りに席を確保する。それから待つことほんの少し、
「アリエル、お待っとうさん。ハンバーグ定食、お待ち。」
「わぁ、おいしそうなハンバーグ・・・ところでこの横にある白いのは何ですか?」
「んっ?もしかしてあんた米食の文化がない国から来たのか?それは米って言って、この国の主食だ。味はほのかに甘い感じでもちもち、ホカホカの食感が美味い食材だ。」
「へぇ~、そうなんですね。ちなみにこれはどう使うんですか?」
「あぁ、すまねぇ。もしかして箸の文化もない国だったか。フォークとナイフは使えるか?」
「はい、それなら。」
「ちょっと待ってろ、すぐに貰ってくるから。」
そう言って純が席を立ち、アリエルのフォークとナイフを取りに行く。
アリエルはこの時ナナシから聞いたのと全然違う、面倒見のいいお姉さんと言う印象を純に抱いていた。
それから待つことほんの少し、フォークとナイフを持った純が戻ってくる。
「ありがとうございます。ハヤマさん。」
「いいってことよ。それより飯にすっぞ。」
こうしてうどんをすする純の横でハンバーグに食らいつくアリエル。
味はそこそこだがアリエルの貧乏舌を満足させるには十分な味だった。
それからまた暫し、2人共食事を終え人心地着いた所でアリエルが話を切り出す。
「あの~、不躾な質問で申し訳ないのですが、もしかしてハヤマさんはナナシ君に好意を持っていますか?」
「ちょっ!!おまっ!!!そのナナシって言うのは・・・フレイムの事だよな。」
「はい、そうですが。」
「・・・なんで分かった。」
純はアリエルの質問に対して、顔を真っ赤にし俯き上目遣いをしながら、か細く震える声で答える。
この瞬間、アリエルは自分の中の何かイケナイ扉が開かれたのを感じる。
「そりゃ~分かりますよ。だって顔真っ赤にして地団駄踏みながら必死で照れ隠ししてるんですもん。(ヤバい、なにこの可愛い生き物。)」
「うぅっ!恥ずかしいからそれ以上言うの止めろよな。」
「えっと~、ごめんなさい。一緒にいると訓練が出来なくなるくらい好きなんですよね。(どうしよう、ますます顔を赤くして。この人、マジでピュアだよ。)」
「だ~か~ら~ぁ!止めろって言ってるだろう!!」
ピキッ
「おっと、いけない。別にからかうつもりで言ったわけじゃないですから落ち着いて下さい。(あっ!今コップにヒビが入った。これ以上は危ない。)」
「ふぅ~~、分かりゃいいんだよ、分かりゃ~よ。それより俺もあんたに聞きたい事がある。」
ここでアリエルの攻勢から一転、純の方から質問が飛び出す。
「そのぉ~、あのよぉ~。あんたとフレイムはどういう関係なんだ。」
「へっ?」
このありえない質問に対して、アリエルは思わず間抜け面を晒しながら気の抜けた返事を返す。
それに対して何を勘違いしたのか、純がアリエルににじり寄り質問を畳みかける。
「もしかして、あんたってフレイムの女だったりしねえよな。
確かにあいつは無愛想で常識もかなりずれているが、あれで優しいし正義感や漢気もあるし、ツラだって悪くないし、経済力もある。
まぁ、多少の欠点に目を瞑れば優良物件だと言えなくもない。」
「えっと~、ハヤマさん・・・」
「でもあいつはやめておけ!その~、あいつといると、きっとスゲー疲れるし、命がいくつあっても足りないくらい危険な目に遭うぞ。
それにあいつ名前がないから法律上の夫婦にもなれねえし、つまり、そのぉ~・・・アァッ!!もう!あれだ!!分かるだろう!!」
「・・・・」
完全に暴走して1人で恥ずかしい事を口走る純にアリエルは言葉を失う。
何故なら、
「あの~、ハヤマさん。ちょっといいかな。」
「なんだ・・・そんな怖い顔して・・・」
「あのですね。あたしの好みは少し年上で、ある程度稼ぎがあって、優しくて、そして何より常識がある人なんです!!!!」
ナナシと篝を黙らせた夜叉の眼光で叫ぶアリエルに対して、純も思わず黙り込む。
そんな彼女の動揺に追い打ちを掛けるようにアリエルが畳みかける。
「ハヤマさん!そんな素敵な男性に心当たりありませんか!!」
「・・・1人心当たりがある。ちょっと厳つい感じだけど漢気があって、女性に優しくて、常識的な行動がとれる人が。」
「どうやらあたし達はお友達になれそうですね。」
「・・・あぁ、そうだな・・・」
ここで動揺を深める純にアリエルが悪魔の提案を持ち掛ける。
「あたしはハヤマさんの恋路に協力する。ハヤマさんはあたしにその年上の素敵な男性を紹介する。
まさにWin-Winの関係ですね。」
「そうだな。俺達はマブダチだ。これからよろしくな、アリエル。
それから俺の事は純でいい。敬語もいらねぇ。」
「うん、これからよろしくね。ジュンさん。」
こうしてナナシの知らない所でアリエルと純の友情と言う名の同盟が誕生した。
プロジェクトN~挑戦者たち~、純とアリエルの同盟は無事ナナシを落とす事が出来るのか。
風の中のフ~ンフフ~ン~~~・・・・
次回は少し場面が変わりまして、龍堂と露木につかまった井戸亜の話です。




