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04-04_閑話_ヒーローと卑屈な天才

今回は日本のヒーロー紹介第二弾神崎蒼太です。

04-04_閑話_ヒーローと卑屈な天才


「蒼太君、そんな所でどうしたの?」


「うわぁ~ッ!・・・すみません!こんなところに立っていてすみません!!」


ここは日本ヒーロー連合の購買部、2人の少年が買い物をしているところだった。

1人は身長160cm手前くらいで細身、青みがかった黒の長髪で目は伸びきった前髪で隠れている為、人相が分からない少年、神崎蒼太。彼は今もどこかオドオドした様子で何かに対して謝っている。

もう1人は身長170cmくらいでほんのり筋肉がついた身体つき、日本人らしい黒髪、黒目の知的な印象を持つ美少年、青葉総司。


「・・・蒼太く~ん、落ち着こうか。」


「うぅぅっ・・・ゴメン、総司君。」


「うん、大丈夫だから。それより何が買いたいの?良かったら一緒に注文するけど。」


「ありがとう・・・じゃあメロンパンとミルクティー。」


「OK、すみませ~ん。お姉さん、注文いいですか~。」


黒髪の美少年青葉総司が、おどおどした少年神崎蒼太を宥めながら購買の女性店員さん(決しておばちゃんと言ってはならない)に商品を注文する。

総司が笑顔の女性店員さんから商品を受け取り、メロンパンとミルクティーを蒼太に渡す。


「ありがとう・・・それじゃ僕はこれで「おっと、待った!」」


蒼太がオドオドした笑顔を浮かべながらその場を去ろうとするのを、総司が肩を掴んで引き留める。

それに驚いた蒼太が奇声を上げながら振り返る。


「ひゃぁあああッ!!・・・どうしたんですか?総司君。僕みたいな虫けらにまだ何か用が?」


「ねぇ、その死ぬほど卑屈になるの、どうにかならないの?これからご飯だろうから一緒にどうかと思ったんだけど。」


「えっ!・・・僕みたいなミジンコをご飯に誘ってくれるんですか?やっぱり総司君はいい人ですね。」


「う~んと、この程度でいい人扱いされると反応に困るんだけどな。実は蒼太君に聞きたい事があって。

それで食事しながら話も出来たらなぁって。」


「そう言う事ですか・・・それでしたら喜んで。」


こうして卑屈少年と美少年が食堂へと向かう。

その中の二人掛けのテーブルを確保した2人は食事をしながら話を始める。


「ところで蒼太君。本題ではないんだけど、よくそれで足りるよね。」


「えっと・・・僕はそんなに食べる方じゃないですから。それより聞きたい事って言うのは何ですか?

出来れば・・・そのぅ・・・手短にお願いします。早く食事を終えてここから離れた方がいいかも知れませんので。」


「へっ?どうしてかな?」


「あっちの方で・・・純さんと赤坂君が何やら悪巧みをしているみたいなんです。」


そう言って蒼太が自分の背中の方を右手の親指で指し示す。するとそこには何やらテンション高めで話し込む純とそれにややテンション低めに受け答える列人の姿があった。

それを見た総司は蒼太の観察力に思わず息を呑みながら話を切り出す。


「それは確かにすぐにこの場を離れるべきだね。じゃあ、早速で悪いけど、聞きたいのは君のお姉さんの篝さんの事なんだ。」


「姉さん・・・ですか?」


「うん、実は今度新設されたヒーローチーム『エレメンタルズ』に選ばれたんだけど、そこの特別講師の1人が篝さんなんだ。」


「講師の・・・1人ですか?」


「そうなんだ。他にもフレイム先輩、井戸亜開発部長、防人防衛隊長、海藤輸送部隊長、龍堂総帥まで特別講師として予定されている。これはちょっと普通じゃない。」


これを聞いた蒼太は少し考えこんで答える。


「おそらくですけど・・・エレメンタルズが次世代の幹部候補を養成する為に設立されたチームだからですよ。

メンバーに選ばれた赤坂君、総司君、桃梨さん、白井さんは戦闘、座学もしくはその両方で優秀な成績を修めています。

しかも最強の10人の次に強いと言われている(くろがね)さんもチームにいます。

おそらく鉄さんは君達4人を鍛える為の現地教官って立ち位置なんだと思います。」


先ほどまでのオドオドとした態度から一転。自分の分析を理路整然と語る蒼太に総司は思わず目を見開く。

今蒼太が語った情報は一般のヒーローには知らされていない情報で、蒼太自身も推測で語っている。

実のところ、この推測は正解でその事を聞かされた総司も同じ考えに辿り着く。


「つまり、最強の10人が直接指導をすることで、新しい最強のヒーローに鍛え上げる事が目的、という事かな。」


「あくまでも推測です・・・おそらく姉さんは桃梨さんを鍛えるため、フレイム兄さんは赤坂君を、井戸亜さんは総司君と白井さんを鍛えるためでしょうね。

もしかしたらですけど・・・防人さんは鉄さんを鍛える為かも知れません。なんだかんだで鉄さんも若いですし。

海藤さんはサバイバル術全般で、総合的な部分は龍堂総帥でしょうね。」


「うん、蒼太君が言うんだったら間違いないだろうね。でもこれは大変そうだね。」


「その点に関しては・・・同意です。あの人達の特訓が半端で終わるわけがありません。」


「ちなみに蒼太君は訓練を受けた事があったりするの?」


総司がこの質問をした瞬間、今まで雄弁に語っていた蒼太の様子が一転、元のオドオドした様子に逆戻りする。


「そういえば・・・僕この手の訓練を受けた事がありません。もしかして・・・僕が落ちこぼれのゴミムシだから訓練をする価値がないと。」


「うわぁ~~!落ち着いて、蒼太君!君は日本ヒーローのNo.4なんだよ。」


「いや、分かったぞ・・・僕なんて訓練する価値もないクズなんだ。きっとNo.4なのも縁起が悪い数字を埋める為の数合わせなんだ。

僕なんていてもいなくても一緒なんだ・・・きっとそうだ、そうに違いない・・・ブツブツブツブツ・・・」


「もうヤダ~!この超卑屈な天才児~~~!!」


実のところ、蒼太は日本ヒーロー1の天才で指導する事が何もないので指導員が付かなかっただけだった。

それどころか蒼太を教えた場合、指導員側が自信を喪失してしまう為、今では誰も教えたがらないと言うのが実情である。

もっとも本人はその超卑屈な性格ゆえ、その事を把握しきれていないし、自分が成績優秀者に選ばれたのも何かの手違いだと思っている。

蒼太の思考がネガティブスパイラルに陥る中、総司はその場を後にする。

蒼太の事が心配ではあるがこれから行われる講義に遅れるわけにはいかない。

総司もお姉ちゃんパンチを喰らいたくはないのである。

今度はまた扱いづらそうな子が出てきましたね。

果たして卑屈少年と乙女どちらが選ばれる事か。

次回、ナナシから見た2人の評価についての話です。

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