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04-02_ヒーローと連合の内情

今回はヒーロー連合の内情を少しお話しようと思います。

04-02_ヒーローと連合の内情


「なるほどな。そういう事情ならこっちとしても協力しねぇとな。」


龍堂と露木に今までの経緯を説明したアリエルと井戸亜。(ナナシと篝はアリエルによって黙らされた。)

それを受けて龍堂が発した言葉は好意的なものだった。

そこへ同じく説明を聞いた露木が少し険しい表情で話を引き継ぐ。


「『名前ある者の神』ですか。かなり厄介な邪神のようですね。

これは最強の10人を出動させる必要があるとは思いますが・・・」


「おい、露木。何か不都合でもあるのか?」


「いえ、最強の10人は日本ヒーロー連合の文字通り最高戦力です。

それを異世界の為に使う事をジジイどもが承認するとは思えません。」


そう唸るようなに言葉を発する露木に龍堂も同意する。


「確かにそうだな。フレイムと神崎を急遽有休扱いにしたのだって色々うるさかったしなぁ。」


「えっ!お姉ちゃん達勝手に有休使った事になってるの!」


「仕方ないじゃありませんか。フレイムさんは事故だからどうにもならないとして、あなたは手続きもせずに勝手に飛び出したのですから。」


「あぁ~~あぁ~~~!き~き~た~く~な~~~い!!」


「まぁ、1日しか経っていないから大した影響はないがな。」


「えっ!お姉ちゃん達、あっちで1ヶ月近くいたけど。」


「篝さんにはその辺の説明をしていませんでしたね。あちらとこちらでは時間の流れが違うんです。

こちらの1日はあちらの30日に相当します。」


目を見開き疑問を口にする篝に、ナナシが答えると井戸亜が少し考えこみ意見を口にする。


「なるほど、では今日から最強の10人は一人ずつ有休を回すと言うのはどうですか。

はっきり言って僕達、有休を消化する暇が全然ないから、一人1、2日ずつぐらいなら問題ないでしょう。

それに向こうでは30日になるんだ。その間に骨休みしてもらうのも有りです。」


「・・・悪くない案ですね。それでは一番有休が溜まっていて且つ一番残業が多い井戸亜部長から。」


「おっと、申し訳ありません。僕はあちらの世界に行けないんですよ。」


「何故ですか?研究室から離れたくないと言う意見は受け付けませんよ。」


自分で提案した意見を早速拒否する井戸亜に、少し低い声で理由を聞く露木。

それに対して、神妙な雰囲気で井戸亜が答える。


「・・・異世界人のアリエルさんがいるから話しますけど、僕の前世はアナシス人。つまり今『名前ある者の神』がいるアリエルさんの世界の人間なんです。」


「!!!!」×5


井戸亜の突然の告白にこの場にいる全員が驚愕の表情を浮かべる。

井戸亜はそんな彼等の様子を察しながらも、取り敢えず先ほどの質問に答える。


「僕がアナシスに行った場合、世界と僕の因果が強すぎて帰れなくなくなってしまいます。僕はそんなのは御免です。」


「・・・それじゃあ井戸亜を向こうにやるわけにはいかないな。

しかし困ったな。防人は基地の守りの為に外せないし、時任は有休なんて一つも残ってない。

王城(おうじょう)海藤(かいどう)も任務中。当然俺も異世界になんて行けない。今動けるのは蒼太と葉山だけだな。」


「ねぇ、ナナシ君。さっきからあたしの分からない単語がたくさん出て来てるんだけど説明して貰ってもいい。」


井戸亜の言葉に龍堂が応じるが、その時いよいよ話についていけなくなったアリエルがコソコソとナナシに質問をする。


「あぁ、まず最強の10人と言うのはこの日本ヒーロー連合における最大戦力。

その構成はまずNo.1が龍堂総帥、No.2が篝さん、No.3が防人大地(さきもりだいち)さん、No.4が篝さんの弟の蒼太君で、No.5が自分。

それからNo.6が井戸亜さん、No.7が葉山純、No.8が海藤昴(かいどうすばる)さん、No.9が王城剣星(おうじょうけんせい)さん、No.10が時任道継(ときとうみちつぐ)さん。

それぞれ自分と同等かそれ以上の力を有する最強のヒーロー達だ。」


「えっと・・・つまりナナシ君とカガリさんと同等の化け物がここには10人もいるわけ。」


「酷い言い草だな。君はもう少し言い方と言うものを考えた方がいいぞ。」


「でも動ける人ってほとんどいないんだね。まぁナナシ君と同等の力の人達なら色々と忙しいんでしょうけど。」


「それは任務の性質が理由だな。まず防人さんは基地防衛の責任者で海藤さんは補給の責任者、王城さんは前線指揮官だから異世界になんて行けない。

龍堂総帥は最高責任者だから当然行けない。時任さんについては・・・まぁ諸事情でおそらく有休はないだろう。」


「なんか凄く嫌そうな顔したけど、そのトキトウさんって人の諸事情って何よ?」


「・・・」


「それについてはお姉ちゃんから説明するね。あの人、真正のロリコン(・・・・)なの。」


「ハッ?」


篝から飛び出した意味不明な単語にアリエルはフリーズを起こす。

その反応は篝からすると予想されていたものらしく、こちらも苦笑いしながら話を進める。


「うん、分かるよ。その気持ち。なんで有休とロリコンが関係あるのかって思うよね。

実はこの人、戦闘能力だけで言えば、下手したら龍堂総帥より強いんだけどロリコンが祟って全く通常業務をしないの。

あぁ、勘違いしないでね。別に美幼女ウォッチングの為に仕事をさぼっているとかじゃないから。

この人、その絶大なヒーローの力を幼女の為にしか使わないの。」


「それってつまり・・・」


「うん、世界中の幼女の危機に颯爽と現れて助ける。それも通常任務を全て放り投げて。

一応露木さんが頑張って幼女関連の任務は全て時任さんに振ってるんだけど、それでも出勤日数は足りなくて。

結果、有休が足りなくなった、と。」


「・・・」


他人から見たらあまりにしょうもない理由にアリエルは思わず絶句する。それに追い打ちをかけるが如く、篝が口を開く。


「ちなみに事務方の友達に聞いた話だと時任さんの出勤日数って月3日あれば多い方で、その3日も露木さんが頑張って捻出したものなんだって。

有休が無かったら出勤日数は実質0って月も珍しくないらしいよ。」


「・・・なんでクビにしないの。そんな人。」


「あの人、クビにしたら日本ヒーロー連合は多分潰されちゃうし、クビにした人は冗談抜きで殺されちゃうよ。

あの人ね。年間に万を超す幼女とその関係者を救っているから、恐ろしく人気が高いの。

だからもうあの人は日本ヒーローの広告塔かなんかって事でジジイどもも納得しているみたい。」


「聞きたくなかった・・・そんな話・・・」


「聞いてきたのは君からだ。」


篝の話に肩を落としながら呟くアリエルにナナシが無表情でツッコむ。

そんな風にだんだん話が逸れていっているのを、軌道修正するべく露木がピシャリと言い放つ。


「アリエルさんにも少しこちらの事情を分かって頂けたと思いますので話を進めましょう。

取り敢えず今動けるのは神崎蒼太さんと葉山純さんの2名のみです。

そして一度に異世界への出動が可能なのは1名のみ。アリエルさんにはこの2名と顔合わせをして頂き、どちらを連れて行くか選んで頂きます。」


「つまり、今度はお姉ちゃん、フレイム君、アリエルちゃんと蒼太君or純ちゃんと言うわけだね。」


「いいえ。神崎さんは今回はお留守番です。行くのはアリエルさんとフレイムさんともう一人です。」


「えぇ~~~ッ!!どうしてお姉ちゃんは行っちゃダメなの!さては露木さんの意地悪だなぁ~~!」


露木の言葉にお姉ちゃん(24)が年甲斐もなく子供の様に駄々をこねる。

それに対して露木がこめかみに青筋を立てながら理由を説明する。


「誰がそんな事しますか。あなたは今日と明日、エレメンタルズの特別指導があるでしょうが。

もうすぐ時間ですし、準備に向かってください。特に桃梨さんはあなたにしか見れないんですからしっかりお願いします。」


「うっ!百香ちゃんの事を言われるとお姉ちゃんも弱いな。(くろがね)君も大変だろうし、仕方ないか。

フレイム君、アリエルちゃん、ゴメンね。お姉ちゃんとは暫しの別れだけど達者で暮らすんだよ~。」


「カガリさん・・・別に今生の別れってわけでもないのに大袈裟だよ。」


「篝さん、急いでいかないと遅刻しますよ。」


「うわ~~ん!!2人共!もっとお姉ちゃんとのお別れを惜しもうよ!!」


「はぁ~っ!神崎篝さん!早く行きなさい!お説教部屋送りにされたいのですか!」


「いいえ!局長殿!それではお姉ちゃんは急ぎますのでこれで!」


露木に怒られ、戦況の悪化を見極めた篝はそそくさとその場から戦略的撤退を実行する。


「・・・行っちゃったね。カガリさん。」


「自分も赤坂の様子が気になるし、後で覗いてみよう。」


「その前に蒼太さんと葉山さんとの面談もお忘れなく。」


「・・・僕はこの辺でいいでしょうか?」


「待てよ、井戸亜。オマエさんには色々聞かないといけない事があるから。」


残された5人は呆れた様子で篝を眺めながら、次の行動へと移るのであった。

ここで篝が一時戦線離脱し、新たな仲間の候補に挙がったのが神崎蒼太と葉山純。

果たしてアリエルはどちらを選ぶのか。少しずつ日本のヒーローを紹介していこうと思います。

次回は葉山純の紹介を予定しております。

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