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03-28_ヒーローと久しぶりの激おこアリエルちゃん

長かったアクルス編、いよいよボスステージへと向かいます。

03-28_ヒーローと久しぶりの激おこアリエルちゃん


「そうか、領主には私から話をつけておこう。君達は今すぐ行きたまえ。」


これは『石碑の魔女』香取由奈に『ナベリウスの物語』の改稿を要求する日の早朝の事。

ヒーローズジャーニーがカトリー家のランスに、孤島での調査の許可を待たずに出発する事を告げた時の返答である。

何の説明もなく、ただ調査を前倒しでやると言っただけにも関わらず、ランスは表情一つ変えずに即答したのである。

あれこれ言い訳を考えていた4人は拍子抜けというか、肩透かしを食らったような気分で若干困惑した。

その様子を察したランスが返答の理由について淡々と語る。


「昨日、黒髪、黒目の女性が枕元に立ってな、私にお告げをしたんだ。

『近いうちにヒーローズジャーニーの3人が勇者ナベリウスの縁者とともにやって来て、孤島に行きたいと言うから行かせてやれ』とな。

あれはおそらく我らカトリーの始祖『石碑の魔女』だったのだろう。そういうわけだからさっさと行きたまえ。」


何も聞かずに送り出してくれるランスの背中には『石碑の魔女』に対する確かな思いが感じられた。

これはランス以外知らない話なのだが、カトリー家には当主にしか伝えられないアクルスの真実の歴史を記した書物があった。

ただそれは魔法的に暗号化されており、一見しただけでは内容が分からないようになっている。

ナナシが家探しした時には物自体はあったのだが魔法の知識が無かった為、発見できなかったのである。

つまり、ランス=カトリーはアクルスの歴史と『石碑の魔女』と『勇者ナベリウス』の関係を正しく理解している数少ない人物だったのだ。

彼ら、カトリー家は今でも『石碑の魔女』に守ってもらった事に対する感謝を忘れていなかった。

故に『石碑の魔女』のお告げであれば従うのは当然なのである。

ランスは追い立てるように、ヒーローズジャーニー達を孤島の調査へと向かわせ、ヒーローズジャーニーもそれに応える様に無言で真っ直ぐに孤島へと向かう。



孤島には篝の箒で向かった。乗る順番は篝、アリエル、(若干の空白)、ルーファス、ナナシの順番である。

やはりちゃんとした知識を教えてもアリエルの男性への接触拒否は解消されなかったようだ。

まぁ、アリエルは18歳でお年頃なので分からなくもない反応なのだが、そういったデリカシーを解するものはこの場にはルーファスしかいない。

よってこの順番はある意味必然だったと言わざるを得ない。


篝の箒の高速飛行状態で孤島に向かう4人。するとそこには昨日までとは違った孤島の姿が目に映る。

昨日までは白い砂浜とたくさんの木々、青い空と青い海に囲まれた美しい島だったのが、今日は黒い靄が掛かり、植物も心なしか元気がない。

それは『終わりの章』に書いていた孤島の様子に現実が近づきつつある証拠だった。

そして孤島に近づくと先頭の篝が一番にさらなる異変に気付く。


「なんか、孤島の東の方が光ってるよ。あれってルーファスさんを由奈さんが導いているのかな?」


「多分そうだ。ユナ・・・今行くよ。」


「うん、中はルーファスさんとフレイム君、アリエルちゃんに任せるね。」


「えっ!カガリさんはどうするの?」


「アリエルちゃん、『終わりの章』にはこう書いていたよね。

『孤島は飛竜が無数に飛び交う地獄』って。

お姉ちゃんはその飛竜どもを一掃するからフレイム君はみんなの事よろしくね。」


「承りました。篝さん。」


手短にそれぞれの役割を確認したヒーローズジャーニーの面々は孤島の空洞の入り口へと降り立つ。

ここで篝は皆と別れて再び空へと飛び立つ。一方残りの3人なのだが、洞窟を少し進むとある意味予想していた障害に出くわす。


「やっぱりあったか。ユナの『絶対壊れない結界』が。」


ルーファスは苦虫を噛み潰したような顔で呟く。そこは前回精霊達が調査した時と同様岩で塞がれていた。

先ほども言及した通り、予想されていた事態ではあるのだが、ここでアリエルは物凄く嫌な予感がした。

ナナシが無言で皆より少し前を歩き出したからだ。


『変身グラップラーフォーム』


ナナシは静かな声で自身の精霊『暴竜タイラントドラゴン』と交信し、その姿を変貌させる。

頑強でシャープなプロテクター、手と足には巨大なガントレットとグリーブ、顔全体を覆うマスクに耳と肘と踵には炎を模した装飾。

全身の色は紅蓮の炎を思わせる赤で目の部分はその赤よりも深い赫。接近戦闘に優れたヒーロー『名無しのフレイム_グラップラーフォーム』である。


この瞬間、ルーファスはいきなり姿を変えたフレイムに驚き目を見開き、アリエルはこれから起こるであろう出来事に顔を青くして叫ぶ。


「ちょっと!待っ『紅蓮拳』」


アリエルの制止を待たずして、フレイムは拳に巨大な火炎を纏い、そのまま振り上げる。

圧倒的な力技、『絶対に壊れない結界』はヒーローの拳の一振りで紙切れの様に吹き飛ぶ。洞窟の天井も含めて。

この予想された大量破壊にアリエルは盛大に頭を抱えながら叫ぶ。


「このスカタン!!なんで変身した!!あなたなら変身無しでも破壊出来たでしょうが!!!」


「いや、ルーファスさんが『絶対に壊れない』と言ったから。」


「いい加減自分の規格外さを学習しなさい!!そうやって何度大量破壊をすれば気が済むのよ!!」


「・・・・」


「いいッ!!何かを壊す時はまず変身無しで軽く試す!そうしないと今回みたいな事になるんだから!!これ、もしもユナさんを巻き込んでいたら本当に目も当てられないから!!」


「うっ!すまない。以後気を付ける。」


「・・・」


ルーファスは2人の遣り取りを前に現実に頭が追い付かなくなる。

彼にとって全てがあり得ない出来事だったからだ。

いきなり魔人に変化し、今までどんな攻撃を受けても壊れた事がなかった『石碑の魔女』の結界をあっさり破る青年とそれを容赦なく罵倒する少女。

フレイムの力の強大さにも驚かされるが、それに物怖じしないアリエルの度胸にも驚かされた。

きっとアリエルがフレイムを平気で罵倒できるのは絶対的な信頼を持っているからだろう。

ルーファスにはこの2人の関係がとても眩しく見えた。だがこのままアリエルにフレイムを罵らせておく時間が惜しい。

ルーファスは2人の間に割って入る事にした。


「2人とも、取り敢えず結界は壊れた事だし先に進もうか。」


「・・・ちっ!ナナシ君。お説教はこれくらいにしておいてあげる。さぁ、行きましょう。」


「了解。」×2


こうして舌打ちするアリエルが先導する後ろをすごすごと追う、少しばかり情けない男2人であった。

早速やってくれましたね。

勿論島を破壊した事は領主やカトリー家の人達には内緒です。

次回、篝対飛竜をお送りします。

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