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03-26_ヒーローとハッピーエンドを願う駄作書き

今回は『ナベリウスの物語_終わりの章』を見たナナシのその後の反応についてです。

03-26_ヒーローとハッピーエンドを願う駄作書き


「よし、善は急げだ。今すぐ孤島に乗り込もう。」


「ダメでしょうが!その前に許可を取らないと!」


早速とばかりに孤島に向かおうとするナナシをアリエルが慌てて制止する。

それに対して、ナナシが舌打ちをしながら答える。


「ちっ!アリエル。今は許可とか些末な事を気にしている場合ではない。

一刻も早く『石碑の魔女』にこの駄作を改稿させなくては。」


「だ~か~ら、それを待てと言っているのよ。まず私達にその駄作の内容を説明しなさい。

それからカトリー家の人達にも一言断るの!」


アリエルが若干怒りながらナナシを窘めるがこれは仕方がない。

アリエルが言った通り、今『ナベリウスの物語_終わりの章』を知っているのはナナシとルーファスだけなのである。

そんな状況で邪神に憑りつかれた『石碑の魔女』に遭遇して、もしもの事があった場合、アリエルと篝は対応できなくなる可能性がある。

そしてこれはルーファスとヒーローズジャーニーだけの問題ではない。

『石碑の魔女』とカトリー家はお互いが恩人同士である。この事を知らせないのは不誠実に当たるだろう。

そして何よりこれから起こるであろう『魔女の厄災』はアクルス全体の問題だ。

かつての英雄がまた犠牲(・・・・)を払って街を救ったと知れば、彼らの中に大きなわだかまりが残ることになる。

それはルーファス、そして『石碑の魔女』にとっても本望ではないだろう。

その事についてアリエルがコンコンと説き伏せると、流石のナナシもおとなしくなる。


「では、次の目的地はカトリー家ということで、ルーファスさんもそれで構いませんか?」


「あぁ、僕としてもカトリー家の人達とはちゃんと話をしたかったしね。」


こうして一同はカトリー家に向かう事となり、地下室を後にしようとしたその時、


「ちょっといいかな。私も彼女にはモノ申したい事があるんだよ。」


『石碑の魔女』の分身である少女が神妙な顔で皆に語り掛ける。


「私もナベリウス君が本を読んでいる時に覗き見させてもらったんだけど、なんていうか。彼女らしくない酷い出来だったね。

これだったら素人の私が作った方がまだまだマシだよ。」


「・・・もしかして作ったのか?」


「あぁ、読んでみるかい?」


先ほどの神妙な顔とは一転、ナナシの問いかけにいたずらっぽく笑いながら、少女は一冊の本を差し出す。

それをこの場に一番読む速度早いナナシが黙読する。その表情は唖然とし、ただし口元は僅かに緩んでいた。


「これは酷い駄作だな。まず文章が酷い。それにご都合主義のオンパレード。」


「でもあの子の駄作よりかはマシだろう。」


「・・・あぁ。だがこれは・・・なんとも・・・」


「まぁ、そう渋い顔せずにハッピーエンドの為に頑張ってくれたまえ。ヒーローズジャーニー。」


そう言い放ち挑戦的な笑みを浮かべる少女に対して、ナナシは無言で僅かに笑みを浮かべながら地下室の外へと歩み出す。そのナナシについて行き、歩きながら言葉を交わすアリエルと篝。おそらく先ほど渡された駄作の内容を話しているのだろう。

そんな彼らから少し出遅れたルーファスを少女が引き留める。


「ナベリウス君。あの本の内容が気になるかい?」


「・・・あぁ、とても気になるよ。でも教えてくれないんだろう。」


「うん、あれを知っていいのはヒーローズジャーニーだけだよ。

でもこれだけは覚えておいてね。彼らをヒーローを信じてあげて欲しい。例え何が起きてもね。」


「・・・もちろんだとも。彼らはきっと僕と彼女にとっての最後の希望なのだから。」


かつての英雄は決意の言葉を胸にヒーローの後を追う。大切な人が書いた悲しい結末を変えるため。

そしてそれを見送った少女はぼそりと呟いた。


「そうだ。ペンネーム考えておかないと。」


ハッピーエンドを望む駄作書きは鼻歌交じりに机へと向かうのであった。

ナナシの様子から『ナベリウスの物語_終わりの章』は相当ヒドイ内容の様ですね。

それをのぞき見した少女『名前ある者の神』も不満の様です。


次回は『ナベリウスの物語_終わりの章』の内容を公開していきます。

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