03-23_ヒーローと謎の地下室
今回は引き続き、秘密基地の探索をやっていきます。
03-23_ヒーローと謎の地下室
「本が無くなってスッキリしたと思ったら、こんなものがあるとは。」
「これって多分地下へ続く隠し通路の扉だよね。」
ナナシが防衛装置である黒い本を排除した後、4人が秘密基地の中に入ると早速とばかりに異変が見つかった。
ナナシによって吹き飛ばされた本棚の下に一つだけ色が違う取っ手のついた床板があったのである。
「なるほど、本棚の下にあるんじゃ見つからないわけだ。」
「まぁ、ナナシ君のせいで部屋の中が滅茶苦茶になったけど。」
「それは仕方ないよ。アリエルちゃんとルーファスさんじゃ勝てなかっただろうし、お姉ちゃんがやると家ごと吹き飛ばしてたから。」
「・・・開いたぞ。では早速、中に進もう。」
ナナシが自分が散らかした部屋の中には目もくれず、床板を開けるとそこには予想通り地下へと延びる土の階段があった。
階段は明らかに人工物で古いながらも整備されていたようだ。ナナシが炎の明かりを手に灯しながら先頭を進み、ルーファス、アリエル、篝の順番でその後に続く。
薄暗い階段はかなりの長さがあり、長年放置されていた為埃っぽい。そんな階段を進みながらナナシはルーファスに声を掛ける。
「ルーファスさん、この階段はご存じでしたか?」
「いや、初めて見たよ。おそらく僕がこの地を去った後に作られたんだろうね。」
「と、言う事は使ったのは『石碑の魔女』もしくは彼女が保護した市民という事になりますね。」
「でもナナシ君。作った理由が分からないよ。少なくとも市民の方には作る理由がないと思う。だって街が滅びたすぐだから復興の方で大変だろうから。」
「となるとやはり『石碑の魔女』がやったという事になるが、果たしてどこに通じているのか。」
「まぁ、行けば分かる事だし、ここで考えても仕方ないとお姉ちゃんは思うよ。」
「そうだね。もうすぐ階段が終わるの様だ。何が出て来るか分からないけど気を引き締めて行こう。」
ルーファスの声と共に階段は終わり、そこには木製の扉が一つだけあった。
ナナシが扉に耳を近づけ、篝が索敵術で中を探る。
「中からは音や生物の気配はないな。心音や呼吸音も聞こえない。」
「お姉ちゃんの方はちょっとおかしな霊力の流れを感じたよ。
相手にばれない様にやってるからあまり正確じゃないけど。」
「そうすると中には超常的な何かがいる可能性が高いですね。」
「取り敢えず中に入ってみようよ。そうしないと何も分からないから。」
「分かりました。篝さん、2人の護衛をお願いします。」
「オッケ~だよ。アリエルちゃんとルーファスさんはお姉ちゃんから離れないでね。」
「了解。カガリさん、お願いね。」
「すまないね、僕も昔の力があれば少しは役に立てるんだけどね。」
こうして4人は警戒しながら、扉の中へと足を進める。
そこには20畳ほどの広さの部屋があり、まず目につくのが壁側に所狭しと並べられた本棚で中にはぎっしりと本が詰まっている。それからベッドや明かりなどの家具がちらほら見られる。
そして部屋の中央には丸机が一つと椅子が2脚置かれており、この下の地面には魔方陣らしき幾何学模様が描かれていた。
これを見たアリエルは驚きで思わず声を上げる。
「これは・・・召喚魔方陣だよ。それもかなり高度なやつ。」
「・・・アリエル、この魔方陣がなにを呼び出すものか分かるか?」
「えっと・・・ごめん、分からない。魔物とか異界の生物とか危ないものではないみたいだし、トラップなんかもないみたいだけど。」
「そうか。発動条件は?」
「特定の人物が椅子に座る事。そうするともう片方の椅子に召喚の対象が現れる。」
「それって、お客様が来た時にすぐに行けるようにとか、そういう用途なのかな?」
「多分そうだと思うよ。そしてこの場合の特定の人物っていうのは・・・」
魔方陣の分析をする一同の視線がルーファスへと注がれる。ルーファスも当然その事には思い至っているようで、
「まぁ、僕だろうね。カトリーナが残した魔方陣ならそれしかあり得ないよね。」
「ルーファスさん、どうします?座りますか?」
「当然、座るよ。」
ナナシの問いに笑顔の中に決意が込められた表情で応じながら、ルーファスは召喚魔法発動の為、トリガーを引く。
ルーファスが椅子に座ると、途端に魔方陣から青白く眩い光が溢れ出し、反対側の椅子へと集まり、閃光と共に弾ける。
ルーファスが眩しさで目を細めながら、光が収まった椅子の方へ視線を向けるとそこには一人の少女がいた。
漆黒の髪と瞳、平たい顔に穏やかな笑顔。ルーファスが知る『石碑の魔女』カトリーナにそっくりだが、
「初めまして、あなたがナベリウスでよかったかな。」
「・・・あなたは誰ですか?」
ルーファスには彼女がカトリーナと同一人物には見えなかった。
故に彼女に対して正体を問うたわけだが、彼女は穏やかな笑顔のまま平坦な声で答える。
「私かい?私は君達が『石碑の魔女』と呼んでいる者に生み出され、使命を託された存在。
そこのヒーロー達の言葉を借りて言うなら、私は『名前ある者の神』の一部だよ。」
「!!!」×3
ヒーローズジャーニーの3人は思いがけない所でターゲットと遭遇したことに驚きを隠せずにいた。
自らを『名前ある者の神』と名乗る少女の目的とは。彼女は敵か味方か?
次回は『名前ある者の神』との対話をお送りして参ります。




