03-18_子供達とルーファスという人間
今回は子供達とルーファスの出会いについてです。
03-18_子供達とルーファスという人間
「ヒーローズジャーニーの皆様。皆様は我々の恩人だ。本当の意味でお礼がしたい。今夜はウチに泊まって行ってはくれないだろうか。」
「えぇ、ぜひそうして下さいませ。」
これはカトラとリルの両親、ランスとリシアが仲直りの直後、ヒーローズジャーニーにこう申し出た。ナナシ達はこれを快諾し、今はカトラとリルと一緒にアフタヌーンティーを楽しんでいる。
「良かったね、2人共。これからは親子で仲良くやっていけそうで。」
「うん、これもみんなのお陰だよ。」
「これを機にお姉ちゃんの事はお姉ちゃんって呼んでいいんだよ。」
「えっ?確かに感謝はしてるけど・・・やっぱり・・・」
「うん、カガリちゃんってお姉ちゃんって感じじゃないんだよね。」
「うえぇ~ん。お姉ちゃん頑張ったんだよ~。もっと労ってくれてもいいじゃない。」
今回の件で、ある意味一番の立役者は篝であるがやはり普段がアレなだけになかなか年長者としては扱ってもらえないらしい。
それに対して半泣きでどさくさに紛れてナナシにしがみつく篝を、ナナシは無言で頭をポンポンと撫でて落ち着かせる。
普段なら冷たくあしらうのだが、今回は本当に篝の功績が大きいので一応彼なりに労っているつもりらしい。その結果、先ほどの半泣きから一転、ご満悦の表情で篝が碌でもない事を口にする。
「そうだ!お姉ちゃんいい事思いついた。
せっかく仲良くなったんだから色々我が儘を言うのも悪くないかもしれないよ。
そして我が儘を聞いてくれたら、『わぁ!パパ、ママ、ありがとう。だ~いすき』とか言っておけば親なんてコロッと手のひらの上で踊ってくれるから。」
「うわ~!カガリさん、発想がクズだね。」
「ちょっと俺達にはハードルが高いかな・・・」
「私達そこまで腐れ外道にはなれないよ。」
「・・・・」
「うわ~ん!!ちょっとしたジョークを真に受けないでよ~~~!!」
今度はマジ泣きになりながら篝が凝りもせずナナシにしがみつこうとするが今度は無言で回避する。
結果、篝が顔面を机で強打し沈黙する。そして静かになった所でナナシが話を切り出す。
「2つほど気になる事があるのだが、まず君達とルーファスさんはどうやって知り合った?
それから秘密基地の存在をどうやって知った?」
この質問にカトラが少し考えこみながら答える。
「まず、ルーファス先生は俺達が泊まる場所を探して夜の街を彷徨っている時に声を掛けてくれたんだ。
秘密基地もその時にルーファス先生に教えてもらったんだ。」
「・・・なるほど。では何故あの家が君達のご先祖様の物だと知っていたんだ?」
「それもルーファス先生が教えてくれた。俺達ルーファス先生には本名を名乗ったから。
それでカトリー家ゆかりの建物だって教えてくれたんだ。」
「・・・」
このカトラの言葉に少し考えこむナナシ。
今の話を総合するとルーファスは明らかにカトリー家、それも『石碑の魔女』の縁者である。
ルーファスと『石碑の魔女』の間柄は色々と可能性があるが、少なくとも本当の子孫であるカトリー家の者より『石碑の魔女』に詳しく知ることが出来る立場だという事だけは確かだ。
思っていた以上にルーファスがきな臭い事に思わず眉間に皺が寄るナナシ。
アリエルも今の話でその事が分かったらしく、少し苦い表情を浮かべながら話を切り出す。
「所でルーファスさんとあなた達って結局どういう関係なの。」
この質問にリルとカトラが答える。
「ルーファス先生は家出したてで途方に暮れていた私達に色々教えてくれた人なんだ。
家を紹介してくれたり、お金を稼ぐためのアイデアを一緒に考えてくれたり、自分が旅した国のお話を聞かせてくれたり。」
「正直、ルーファス先生がいなかったら俺達1日で心が折れてたよな。そう意味じゃあの人も俺達の恩人だよ。」
「街のガイドをしようって言ったのもルーファス先生なんだよ。情報の値段を決めたり、ご飯を付けさせる事で食事代を浮かせる事をアドバイスしてくれたり。それから生活魔法で服を綺麗に保つ事もアドバイスされたっけ。」
「・・・そうなんだ。いい人なんだね。」
「うん!!」×2
アリエルの質問に満面の笑みで答えるカトラとリル。
確かに怪しい所はいくつか見られるが悪い人間ではなさそうだ。少なくともあの『双子の怪異』の様な邪神が絡んでいる様子は見られない。
その事に少しホッとしながらアリエルは手元のケーキを全て平らげる。その瞬間カトラとリルは非難の目をアリエルに向ける。
「あぁ!アリエル姉ちゃん!俺達の分までお菓子食べてる!!」
「ひど~い!!私達が話している内に一人だけたくさん食べるなんて。」
「あっ・・・ごめんなさい。昔の癖で出されたものはすぐに食べないと飢え死にすると思ったから。」
「もう!その話はいいから!!」
「家出中にその話聞かされて心が折れそうになったんだから!!」
「なるほど!だからあの時凄い拒否反応示したんだね。」
「・・・おい!アリエル。君は子供にどんな話を聞かせようとしたんだ。」
「もしかしてナナシ君も興味ある。あたしの貧乏だった頃の話。」
「聞かなくていい!!!」×3
アリエルの所業に呆れながら問い詰めるナナシ。
みんなに責められながらも、こんな他愛もない会話をする事が出来るようになった子供達の様子に頬を緩めるアリエルであった。
なお篝は机にぶつけた頭の痛みとみんなに冷たく扱われた心の痛みで蹲っていた。
ルーファスさん、怪しさ全開です。
次回はそのルーファスの正体に迫りたいと思います。




