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01-04_ヒーローとハンター登録

ナナシが身分証明を作ります。

これである程度身動きがしやすくなります。

01-04_ヒーローとハンター登録


「ナナシ君、これからハンターギルドに行きます。」


シルディオの街への入場手続きを済ませたナナシとアリエルはその足でハンターギルドに向かう事にした。

ナナシの倒したモンスター素材の売却とナナシの身分証明を作成する為である。

ナナシはアリエルの後ろを怒られない様に黙ってついて行くと、数分でハンターギルドまで到着した。

建物は大きくて立派な3階建てで看板には何やら文字が書かれている。

おそらくあれでハンターギルドと読むのだろうとナナシは勝手に推測する。

ナナシが視線だけで周囲を見回しているとアリエルから声がかかる。


「ナナシ君、ギルドの職員さん呼んで来ましたよ。

早速手続きをお願いしましょう。」


「アリエル様、これは凄いですね。こんなに山積みにされた素材を見たのは初めてですよ。

勿論それを担いできた人もです。」


「そうなのですか?どうも異国の出身ですのでこの国の世情には疎くて。

それでは手続きと査定をお願いします。」


「ははっ、それじゃ手続きを済ませましょう。付いて来て下さい。」


男性ギルド職員がナナシの発言に苦笑いをしながら査定をする為の倉庫へと案内する。

倉庫に入ると武装した大男が中の職員と言い争うをしていた。


「おい!どういう事だ!俺はオークを仕留めたんだぞ!

なんで売却金額がこんなに少ねーんだよ!」


「いえ、先程もご説明しましたが部位の欠損状態が激しい為、査定にマイナスが入ってこの金額なのです。

申し訳ございませんが何卒ご了承下さい。」


「あぁ!ざっけんなよ!テメーらの飯の種を誰が稼いでやってると思っているんだ。

俺らハンターが命懸けで倒した素材のおかげだろうがよ~!!」


これを見たナナシが職員に疑問を口にする。


「何やらハンターと職員が言い争いをしているようだがこういう事はよくあるんですか?」


「いえ、よくという程ではありませんがたまにあります。

査定額で揉めているみたいですね。

どうしましょう、あの人Cランクハンターで普通の職員じゃ止められません。

このままじゃ査定が出来ませんね。応援を呼んできますので少々お待ちください。」


この職員の言葉に無表情だったナナシの表情が僅かに曇る。


「それは困ったな。こちらはアリエル君を待たせている。

自分が少し話を聞いてこよう。」


「え!ナナシ君がですか!私も行きます。すっごく不安ですので。」


そう言って二人は揉めているハンターと職員の元に駆けつける。


「すまない。そこのハンターの方。事情を聞かせて欲しい。

自分達も順番待ちをしていてあなた達の話が終わらないと困るんだ。」


「うるせぇな!文句ならこの職員に言いやがれ。

こいつ、おれが持ってきた素材を不当に買い叩こうとしているんだ!」


「そんな事はございません!わたくし共は適正価格での買取をしております。」


どうやら話は平行線のようだ。そこでナナシは少し考えてから口を開く。


「もしよければその素材とやらを見せて欲しい。それから査定の要項等の資料があれば見せて欲しい。」


「はい、分かりました。」


「おい!兄ちゃん!!出しゃばってんじゃねえぞ!!」


「別に構わないだろう。どちらの言い分が正しいか確認する為だ。」


職員がすぐに対応したのに対してハンターの方は不満そうにナナシに突っかかる。

この地点でナナシはハンターの方が言い掛りをつけている様な印象を受けた。

そして数分後、職員によって問題のオークの素材が運ばれてきた。

素材は傷だらけで一部肉が抉れており、その上日が経っているのか少し腐敗している箇所がある。

これはお世辞にも状態がいいとは言えない。特にオークは食肉として扱われる為、腐敗と欠損は頂けない。

ナナシはオークを運んだ職員から査定の資料を受け取り、それをアリエルに渡す。


「すまない、アリエル君、オークに関する部分を読み上げて欲しい。」


「はぁ、そうでしたね。あなた、こちらの文字が読めませんでしたね。

え~っと・・・・・・・・以上です。」


「ありがとう、アリエル君。ちなみに査定額も見させてもらったがこれはむしろ良心的だぞ。

本来これだけ腐敗していたら魔石代以外つかないところを無事な部分はしっかり値段に計上しているのだから。」


「テメーはお呼びじゃねって言ってんだろうがよ!!いい子ちゃんヅラしてんじゃねえぞ、コラ!!!」


ナナシはハンターのこの反応で確信した。ハンターの方は分かっていてクレームをつけたのだと。

この瞬間、ナナシは正義のヒーローモードへと移行する。ナナシはクレーマーを無視してアリエルに話しかける。


「すまない、アリエル君。こういう場合は武力行使しても罪には問われないのかな?」


「はい・・・問題ありませんが・・・・まさか!「ではそこのクレーマー、おとなしくしてもらおうか。」」


「ぐっ!!・・・・・・」


ナナシは一瞬でクレーマーの後ろに回り込み、軽く首筋に当身をする事でその意識を刈り取る。

この余りの早業にアリエルは止める事もできず、周囲の職員はポカーンと口を開けてその光景を眺める。

周りが置いてけぼりの状態の中をナナシは気にせず話を進める。


「さて、これで邪魔者はいなくなったが、彼は後で騎士団にでも突き出そう。

それでは自分達の用事をお願いします。」


クレーマーを手持ちのロープで縛りながら話すナナシの声を受け、我に帰った職員たちが慌てて行動を開始する。

先程のナナシの行動にビビっているようだ。大男を一瞬で倒したのだから当然である。

その様子に顔を引き攣らせるアリエルと、クレーマを縛った後平然と素材の運搬を手伝うナナシ。

ナナシのおかげで素材の運び込みも手早く終わり、他の職員が手続きの用紙を持ってくる。


「ナナシ様でよろしかったでしょうか。

ハンターギルドのご利用は今回が初めてで宜しいでしょうか。」


「はい、本日はハンター登録に参りました。」


「では、こちらの用紙に記入をお願い致します。」


そう言って差し出された用紙をすかさずアリエルが奪い取り、笑顔で応対する。


「すみません、ナナシ君は異国の人でこちらの文字が書けませんので私が代筆します。」


「・・・左様でございますか。それではアリエル様、よろしくお願いします。」


「ありがとう、助かるよ。アリエル君。」


「どういたしまして。」


アリエルの手の速さに職員は若干驚きながら記入をお願いする。

ナナシも代筆してくれることに対してお礼を言うがアリエルは用紙を見ながら一瞥もせずに空返事で答える。

この時アリエルの頭の中はある事でいっぱいだった。


(ナナシ君が余計な事を言う前に手続きを終わらせないと。内容はこの際適当でいい。要は身分証明が出来ればいいのだから)


薄々だがアリエルはナナシのトラブル体質に気づき始めていたからだ。

同じところに長居すると必ずトラブルが向こうから舞い込んでくる。

そんな言い知れない不安が抱えながら高速で用紙を書き上げていく。

その後、書き上がった用紙を受け取った職員が内容を読み上げていく


「えっと、

本名:チー

呼び名:ナナシ

戦闘技術:格闘技

特技:格闘技

ですか。シンプルですね。他に得意な武器とか特殊技能とかはないんですか?

ここに書いているとチームを組む時にアピールポイントになりますよ。」


「それなら「ありません。それで登録お願いします。」」


アリエルがナナシに対して『余計な事は言うな』と睨みつけながら職員に手続きをするように促す。

職員も何かを察したのか、それ以上は何も聞かずに手続きを進める。


「・・・・分かりました。では最後に魔力測定をしますので、こちらに手を置いてください。」


そう言って職員が水晶玉の様なものをナナシに差し出す。


「・・・魔力?ですか?」


魔力と言う単語に思わず呆然とするナナシ。

地球には魔法はないから当然魔力も存在しない。

この時、この異世界には魔法があるのだと初めて認識したからである。

ナナシは無表情で困惑しながら言われた通り水晶玉に手を置く。

すると


「えっと、反応なし。はぁっ・・・魔力なしですか。まぁ頑張ってください。

魔力がなくてもCランクくらいにはなれますから。」


何故だか、可哀想な人を見る目を職員に向けられてしまった。

おそらくこの国では魔力があるものが優遇されるのだろう。

まぁ、ナナシの目的はあくまでも身分証明だったので特に問題はない。

その後、手続きは滞りなく終わり、モンスター素材の買取も無事に終了し、ハンターギルドを後にするのであった。

ハンターギルドを出た後、アリエルが少し興奮気味に話を切り出す。


「ちょっと、凄いですね。初回報酬が50万ガードルですよ。

まあ100体も素材があればむしろ少ないくらいですけど。

なんか一部ミンチになっていた素材に値段がつかなかったのが原因みたいですね。

とにかくこれで暫くお金には困りませんね。良かったですね、ナナシ君。」


「・・・ああ、そうだな。」


この時、ナナシは考え事をしていた。

『結界の聖女』『人柱』この単語が頭にこびり着いて離れない。

これがアリエルの事を指しているのなら、彼女はこれから碌でもない目に遭うのだろう。

目の前でナナシの事を自分の事の様に喜んでいるお人好しの彼女が不幸な目に遭うのはどうにも忍びない。

ナナシは思い切って直接聞くことにした。


「すまない、アリエル君。少し気になる事があるのだが聞いてもいいかな?」


「はい、なんでしょうか。」


ナナシの固い声色にアリエルも何かを感じ取ったのか、少し身構えながら話を促す。


「先程門番と話している時に言っていた『結界の聖女』とは、なんの事かな。」


「!!!」


この時、今まで基本的に明るかった彼女の表情に大きな影が差す。

アリエルは顔を伏せながら、これ以上聞くなという意味を込めてナナシに視線を向ける。

しかしナナシはそんな思いを完全にスルーして言葉と紡ぐ。


「君はどうやら面倒な立場にあるようだが、自分は君に助けてもらった身だ。

この右も左も分からない状況で一人だったらと思うとぞっとする。

お節介だとは思うが、君の力になれればと思っている。

迷惑かもしれないが話して欲しい。」


この言葉を聞いた時、アリエルは自分が間抜け面でポカーンとしているのを感じた。

迷惑と分かっていながら話せとか言う、こんな勝手な言葉を聞いた事がない。

それと同時にこのお節介で常識知らずの青年を見ているとどうにも可笑しくて笑いがこみ上げてくる。

この人になら少しくらい話してもいいかもしれないと思ってしまった。


「・・・はははぁ、ははっははは~!あぁ~可笑しい。

ちょっと、ナナシ君。迷惑と分かっていて聞くって、君凄いね。

分かったよ。これから『結界の聖女』について話すね。」


こうしてアリエルはナナシに『結界の聖女』について話す事になった。

いつの間にかナナシに話しかける言葉が砕けている事にアリエルは気づいていなかった。

次回、アリエル『結界の聖女』について語る。


でもこの感じだと全部は話してくれなさそうですね。

ナナシの好感度が足りないのでしょうか?

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