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03-06_ヒーローと英雄ナベリウスの話

今回はナベリウスの話について語って参ります。

03-06_ヒーローと英雄ナベリウスの話


「紹介するね。こっちがあたしのハンター仲間のナナシ君とカガリさん。

それで、こちらが今日、ガイドをお願いするカトラ君とリルちゃん。」


篝が滝行を終えた次の日の朝

朝食を済ませたヒーローズジャーニーは今、ガイドのカトラ、リルと顔合わせしているところだ。

お互いに挨拶を済ませた4人は早速、今回の目的である『孤島の石碑』を知る人物ルーファスの元へと向かう。


「ねぇ、アリエル姉ちゃん。あのナナシって人、自己紹介の時からすごい口数少ないけど機嫌でも悪いの?」


「あぁ、ナナシ君はちょっと事情があってうまく自己紹介ができないんだ。

それから無口、無表情はデフォルトだから気にしないで。」


「・・・・・」


「そうだよ。フレイム君は照れ屋さんなだけだから。本当はとっても優しい子なんだよ。」


「フレイム君?」


「あぁ、ナナシ君の事。彼の二つ名みたいなものだって思っておいてね。」


「へぇ~、二つ名持ちって事は結構有名だったりするの?」


「いや、自分はこちらに来てまだ1ヶ月経ってないくらいだからそれほど名は売れていないと思う。」


「でも故郷ではすっごい強くて有名なんだよ。勿論お姉ちゃんもね。」


「えぇ~、カガリちゃんが?強そうに見えないよ~。」


「えっ!ちょっとリルちゃん。なんでアリエルちゃんはお姉ちゃんで私は普通にちゃん付けなの?」


「だって、カガリちゃん、お姉ちゃんって感じじゃないんだもん。」


「うぇ~~ん。お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだもん~~!!」


「そういうところですよ、篝さん。」


「まぁ、この二人、強さだけは本物だから。強さだけは・・・」


「大丈夫?アリエル姉ちゃん。疲れた顔してるけど。」


などと雑談をしながら一行がやって来たのは観光客が少ない海岸だ。

そこから見る風景は大海原に小さな島がポツポツと見えるだけで、見ようによっては雄大な景色と言えなくもないがこのアクルスで見られる景色としては平凡なものである。


「あっ!あの人だよ。お~い、ルーファス先生!!」


そんなよくある景色の中に、カトラが指差す先にはやせ型の体型にくたびれた服を着て、無精ひげに白髪の初老の男が佇んでいた。

彼を見た瞬間、ナナシを目を見開き、篝は驚きとともに声を上げる。


「ルーファスさんって、もしかして昨日の!」


「そのようですね。」


「二人とも知り合い?」


二人の会話を聞いたアリエルが質問すると、それにナナシが答える。


「あぁ、昨日図書館で会って少し話をした。彼は色々な国の伝説を調べている学者らしい。」


「そうなんだ。あっ、こっちに気づいたみたい。」


「やぁ、カトラ君にリル君。それと見慣れない人もいるみたいだけど。」


「おはよう、ルーファス先生。この姉ちゃん達が『孤島の石碑』に興味があるって言うから連れてきたんだよ。」


「ほぅ、そうなのかい。・・・ってフレイム君にカガリ君もいるのかい。それからそちらのお嬢さんは初めましてだね。」


「初めまして、アリエルと言います。」


「うん、僕はルーファス。宜しくね。」


ここでお互いに自己紹介と今回の目的について話をする。

それを聞いたルーファスが目を輝かせながら語り始める。


「なるほど、世界の伝説を求めて旅をしているのか。

不思議な力を持った鉱物というのも興味深いね。

君達の話も是非聞きたいものだが、今回は『孤島の石碑』の話だよね。

じゃあ、今分かっている事のおさらいから始めよう。」


そう前置きをし、一呼吸おいてから話を再開する。


「『孤島の石碑』はこの海の先の孤島にある出自不明の石碑の事だ。

本来であれば不思議ではあるが特に注目もされないような、よく分からない模様が刻まれた大きさが約10mの石なんだ。

この模様は文字みたいなんだけど、既存の文字とはパターンが全く異なるらしくて解読はされていない。

翻訳魔法も試されたみたいだけどプロテクトが堅いのか、そちらでの解析も出来なかったらしい。

ただ、この『孤島の石碑』だが昨日フレイム君も読んだ『勇者ナベリウスの物語』に登場する勇者の石碑に酷似しているんだ。

僕は『孤島の石碑』の謎の解明には『勇者ナベリウス』が大きく関わっていると考えているんだよ。」


「もしかして難しい話になるのか?」


「私達帰ってもいい?」


「こら、あなた達はお仕事できてるんでしょう。

お給金は前払いしたんだからしっかり仕事しなさい。」


「お姉ちゃんもちょっと退屈だから一緒に遊びに行く?」


「さんせ~」×2


「・・・すみません、ルーファスさん。」


「まぁ、子供には少し退屈だったかもしれないね。」


「カガリさんは子供扱いなんだね。」


ルーファスの話に早速退屈を訴え遊びに行くカトラとリルと篝。

それに頭を下げるナナシと呆れるアリエルにルーファスも思わず苦笑い。


「じゃあ続きだね。『ナベリウスの物語』は現在でも絵本などで出版されているこの辺では有名な話なんだけど、その原作者は不明とされている。

今、出版されている絵本は現代の作家がアレンジしたものだね。

大まかな内容としてはこのアクルスに突如現れた海竜を勇者ナベリウスが退治してめでたしめでたし、なんだけどそのナベリウスが最初に登場するのが『孤島の石碑』がある場所なんだ。」


「・・・ルーファスさん、確かこの話は史実を元にしていて、海竜とそれを倒した英雄は実在しているのでしたね。

その頃の歴史書は御調べになりましたか?」


「勿論調べたさ。図書館の蔵書から役所の資料にハンターギルドの討伐記録、でもさすがに数百年前の話だからほとんど情報が残っていなくてね。詳細は不明だよ。」


「なるほど、確か原本は2部までは発見されていましたね。とりあえずそこのおさらいからしましょう。どうやらアリエルは話についていけていない様ですし。」


ここでルーファスがアリエルの方を向き直る。


「あぁ、すまない。じゃあおさらいを始めよう。

まず、第1部ではナベリウスの登場が描かれて、第二部では海竜との闘いが描かれている。

この物語にはナベリウスの他に主人公である少女が出てくるんだけど基本的にこの少女の視点で物語が進んでいくんだ。

少女は元々漁師の娘で、小舟で漁に向かっていたところで今まで見たこともない島を発見したんだ。

不審に思った少女は島を調べる為に上陸したのだけど、そこには何の変哲もない巨大な石碑があっただけだった。

少女が何もないと思ってその場を離れようとした時、石碑が突然光りだしてそこから一人の男の子が飛び出してきた。これが後に勇者ナベリウスと呼ばれる少年だよ。」


ここでルーファスが一呼吸入れてアリエルとナナシの様子を確認する。

真剣な表情で話を聞いてくれる2人の様子に満足したルーファスが再び口を開く。


「少年は何も知らなかった。そこで少女は少年にいろいろものを教える事にした。

とりわけ少年はものの名前を知りたがった。そうしているうちに少年は少女に懐く様になり、2人は友達になった。

そんなある日、少女が海の上でモンスターに襲われた。周りには誰もおらず、絶体絶命のピンチ。もうダメかと諦めかけたその時、1本の銛が飛んできてモンスターを貫いた。

銛が飛んできた方向を確認した少女は絶句した。銛ははるか数キロ先の少年のいる孤島から飛んできたものだったからだ。銛は少年が投げたものだった。

少女は驚くとともに感謝し、そして喜んだ。この力を人々の為に使えば少年にもっとたくさんの友達ができる。

そう思った少女は少年にハンターになる様に奨めた。少年は少女が言った通りハンターになり、たくさんの人々を救い、いつしか英雄と呼ばれるようになった。

そんなある日、海竜が現れた。困り果てた人々は青年となったナベリウスに頼った。ナベリウスは勿論これを快諾し海竜退治へと向かった。

そして海竜はナベリウスによって倒され、アクルスの平和は守られた。っとまぁ話はここまでだが、如何だったかな。」


話し終えたルーファスがナナシとアリエルに感想を聞く。

それに対してまずアリエルが答える。


「そうですね。英雄譚としては割とありがちな内容ですが、これが史実だとしたらなかなか興味深くはありますね。

もしかしてその少女と言うのがこの原本の作者だったりするんでしょうか?」


「僕はそう考えているよ。他の主要人物に関しては名前が出ているのだけど、少女だけは最後まで名前が出てこなかったからね。

少女が作者ならわざわざ自分の名前を書く必要がなかったのだろう。」


「・・・やはりナベリウス少年が現れたという石碑が気になりますね。

ルーファスさんはそれが『孤島の石碑』だとお考えで?」


「うん、この辺にそれらしきものは『孤島の石碑』以外にはないんだよ。まずはそちらに行ってみたいと思うんだけどいいかな。」


「はい、お願いします。」


「では、自分は篝さん達を呼んできます。」


「・・・そういえばカガリさん、目的そっちのけで遊んでたね。」


「・・・予定が済んだらお説教だな。」


「今度は絵面的に問題ないやつでお願いね。」


「ははっ、それじゃ行くとしようか。僕は船を借りてくるよ。」


こうして一行は『孤島の石碑』を調査すべく動き始まるのであった。

話の中にいくつか気になる単語がありましたが、果たして『名前ある者の神』への手掛かりはあるのか。

次回は『孤島の石碑』とご対面する予定です。

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