03-05_ヒーローと変態痴女
今回は変態痴女に天罰が下るそうです。
03-05_ヒーローと変態痴女
「アリエル、君の性知識は間違っているようだぞ。」
「何、いきなりわけの分からない事言ってるのよ!新手のセクハラ!!」
「ほら、フレイム君がその話をすると色々と拗れるからやめた方がいいって言ったよね。」
ここはヒーローズジャーニーが今夜宿泊するホテルの食堂。
今は3人で夕食を食べながら昼間の出来事をお互いに話しているところだった。
そして一日街を廻ってリフレッシュしたアリエルに対して、開口一番ナナシが放った一言がこれである。
「篝さん。知識の間違いはしっかり正しておかないと、今後彼女が恥をかくかもしれません。」
「それはそうだけど、そういうデリケートな事を異性から言うのはNGだとお姉ちゃんは思うよ。」
「何よ、2人して。あたしの常識を疑うわけ?」
アリエルは非常識な人間に常識を疑われた事に少し不機嫌になりながら問いかけ、篝がそれに答える。
「実はそうなんだよ。アリエルちゃんがリバースの事、気にしてたみたいだからどの程度がキス判定になるか調べてみたんだよ。」
「・・・それで。」
「結論から言うと別にリバースが人にかかってもキス判定にはならないし、別にキスしても即結婚という風にはならないらしいよ。」
「・・・そうなんだ。それじゃ具体的に何をしたら結婚になるの?」
自分の認識の誤りを指摘されたアリエルが先を促すと、
「それは勿論ナニをしたらに決まってるよ。具体的にはチョメチョメ「わぁ~~!!!なに口走ってるのよ。この変態痴女!!」」
「・・・・」
正しい知識と言いながら猥談を始めようとする篝の言葉を慌てて叫びながらかき消すアリエルと、そんな篝の対してゴミを見るような視線を無言で投げつけるナナシ。
流石の篝もこの視線にはダメージを受けたのか、慌てて咳払いをして話を切り替える。
「こほん、まぁ端的に言ってしまえば、アリエルちゃんは特にそういう事を気にする必要はないって事だよ。
だから別にフレイム君が抱えても問題ないし、嫌だったらお姉ちゃんが運んであげるってだけ。
それより、明日の予定について少し話をしようか。」
「そうですね。篝さんのせいでだいぶ話が横道に逸れてしまいましたので。」
「うぅ~っ、フレイム君、最近お姉ちゃんに冷たくない。」
「篝さんが真面目にしないからです。今日だって図書館でずっといかがわしい本を見ていましたし。」
「ええっ!カガリさんそんな本見てたの!絵面的にアウトだよ!!」
「ブーブー、アリエルちゃん。お姉ちゃん24だよ。エロ本ぐらい自由に読んでもいいじゃない。」
「いけません!公共の場でそういうのを見るのは犯罪です!」
「えぇ~~!図書館にあった本を見てただけだよ!」
「ダメなものはダメなの。これだから性に奔放な異世界人は・・・」
「おい!篝さんを見て世界全体をディスるのはやめないか。」
「うわ~~ん!みんなひどいよ~~~!」
結局、篝のせいで話が一向に進まない事に業を煮やしたナナシが話を仕切り直す。
「いい加減、明日からの話をしよう。
まず最初に篝さんに確認しますが、奴の気配は掴めてますか?」
「ううん、ダメだね。全く反応無しだよ。」
「やはりですか。自分の方も気配を感じる事ができませんでした。」
「ん、どういう事?だって、今回の目的地はこの辺だって例の女神様が言ってたんでしょう?」
アリエルがヒーロー2人に疑問を投げかけるとそれに篝が答える。
「まぁ、そのはずなんだけどお姉ちゃんの索敵には引っかからないんだ。
可能性としては1000キロ以上離れているか、女神ちゃんが失敗したか嘘をついているか。」
「それから、奴が移動したか反応を隠しているか、ですね。」
「じゃあ、また移動?その女神様との連絡は取れないの?」
「タイラント、フェニックス。あの女神とは連絡が取れるか?」
ナナシの呼びかけに先に答えたのはフェニックスの方である。
『私からは無理ね。篝が嫌われてるから。』
「そんな~、フェニちゃんひど~い。」
『酷くありません。あなたはもう少しフレイムさん絡みでの行動を自重しなさい。』
「そんなの無理だよ~。」
「・・・相変わらず、頭が愉快な事になってる様にしか見えないよね。」
「・・・・」
フェニックスの声は篝にしか聞こえない為、傍から見ると篝の頭が楽しくなったようにしか見えない。
あの様子だと期待できないと判断したナナシは早々に諦め、タイラントに話を振る。
「タイラント、君の方はどうだ?」
『我の方はある程度意思疎通できるが、今は応答がない。
奴が言うには自分の像もしくは信仰している祠や教会などの建物があれば意思疎通しやすいと言っていた。』
「そうか、ちなみにあの女神はこちらではなんと呼ばれているんだ?」
『ん、今、女神と繋がったぞ。少し待て・・・』
そう言われて待つことほんの少し、女神がナナシに話を始める。
『あっ!やっと繋がりました。フレイムさん、聞こえますか。』
「はい、聞こえます。要件はお分かりですか?」
『はい、まず邪神についてですが、間違いなくその近くにいます。
反応が分からないのは隠れているか、そこのクレイジーサイコ女がポンコツかのどちらかです。』
「・・・相当根に持ってますね。」
女神の棘のある言葉に、ナナシは顔を引き攣らせながら話を促す。
『えぇ、本当にひどい目にあいましたから。
それから私のそちらでの呼び名は『運命神ノーラ』です。
世界中で細々とやってる感じなので探すのは大変かもしれませんけど、もしよければ寄付とかお祈りとか布教とかお願いします。入信も大歓迎ですよ。
信仰が強くなればそれだけあなた方のサポートも出来るようになりますし、そこの頭のネジが吹っ飛んだイカレ女を絞めることも出来るようになりますから。』
「篝さんには謝罪するように言っておきますね。」
『・・・まぁ、謝れば許さない事もないです。お詫びの品はお布施とお祈りで結構ですから。
おっとそろそろ時間ですね。それでは私はこれで失礼します。』
こうして女神ノーラとの交信を終えたナナシは会話の内容を共有する。
「・・・というわけだがアリエルは運命神ノーラと言う名前を聞いた事があるか?」
「う~ん、一応聞いた事はあるけど結構マイナーかな。なんか全世界に広がっているけど数は少ない感じ。
確か良き出会いと旅の安全を守る神だったかな。」
「ふぅ~ん。あの女神ちゃん、結構いいご利益あるんだ。」
「ところで篝さん。あの女神に大層恨まれていましたが一体なにをしたんですか。怒らないから言ってください。」
「フレイム君、それ怒る奴だよね・・・分かった、言うよ。変身して必殺技を乱れ打ちしました。」
「・・・・」×2
篝の自供にナナシとアリエルが黙り込む。
そしてたっぷりと間を置きアリエルが感想を口にする。
「カガリさん、それはひどすぎるよ・・・」
「・・・」
「わぁ~~ん!2人ともそんな蛆虫を見るような目でお姉ちゃんを見ないでよ!!」
「取り敢えず、滝に打たれながら謝罪でもして来て下さい。」
「うぅッ。おのれ~、フレイム君にチクるなんて。これも全て女神ちゃんが悪いんだ。絶対に仕返ししてやる。」
「・・・篝さん・・・」
「はい、すみません!お姉ちゃん、反省しました。ごめんなさい、フレイム君。ついでに女神ちゃん。」
「・・・滝。」
「はい!今すぐ行ってきます!!」
こうして箒で飛び去る篝を見送った後、アリエルが今後の方針について話を切り出す。
「ねぇ、今回は宛なしなんだよね。だったらちょっと提案があるんだけど。
実は・・・」
ここでアリエルは昼間にガイドをしてもらったカトラとリルの話をする。
「・・・なるほど、『孤島の石碑』か。確かに可能性はあるな。
宛があるわけでもないし、調べてみる価値はあるかも知れない。」
「・・・そっか。うん、そうだよね。『名前ある者の神』を早く倒さないといけないもんね。」
「・・・・どうした。顔色が冴えない様だが、何か心配事か。」
「うぅん、何でもないの。それより明日も早いだろうし、あたしはもう休むね。」
「・・あぁ、お休み。」
「うん、お休み。」
就寝の挨拶とともに部屋を後にするアリエルの後ろ姿にいつもの明るい雰囲気はなかった。
その様子が気がかりではあるもののその理由が分からずに戸惑うナナシであった。
一方篝はというと
「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時・・・・
フレイム君ごめんなさい、ついでに女神ちゃんもごめんなさい。
女神ちゃん、よくもフレイム君にチクリやがったな。
次会ったら絶対にぶっ飛ばしてやるんだから・・・」
「篝さん・・・真面目にやって下さい・・・」
「あっ!なんでここにいるの!
分かった!お姉ちゃんに会いに来たんだ・・・はい、すみません。真面目にやります。
色即是空 空即是色・・・女神ちゃんごめんなさい・・・でも後で殺す・・・いえなんでもありません・・・」
ナナシ監視の元、涙目になりながら本当に滝行をさせられていました。
ここが夜でも暖かい常夏の島でよかったと思う篝さんでした。
なんか篝がすっかりイロモノですね。
次回は『勇者ナベリウスの物語』について触れて行こうと思います。




