03-02_ヒーローの休日
今回はヒーローの休息について見ていきたいと思います。
03-02_ヒーローの休日
「さてと、いきなり休日にしちゃったけど、何をしようかな。」
アクルス諸島へとたどり着いたヒーローズジャーニーは取り敢えず通貨の両替とホテルのチェックインを済ませた後、それぞれ自由行動となった。
ちなみにこの国の通貨はシータで両替レートは10マグ対1シータである。ホテルは1泊3000シータ(30000円相当)と結構な高級宿に泊まる事にした。
アリエルは初めて泊まる高級宿にテンションが爆上がりで、広い部屋でハシャギ、ふかふかのベットで飛び跳ねていた。
そして一頻り部屋の中を楽しんだ後、今度はどこへ向かおうかと考えながら街へと繰り出したのが現在である。
ちなみに今回はアリエルが単独行動でナナシと篝は一緒に行動する事となった。
久しぶりに破壊魔2人の監視という名のお守りから開放されて若干テンションの高いアリエルだが、取り敢えず小腹が空いてきたので食事をする事にした。
理由は船の中では揺れが気持ち悪くてあまり食べられなかったからである。
意気揚々と歩き出したアリエルだが、ここで少し困った事態が発生した。今歩いている区画の飲食店はどこもかしこも高そうなのである。
アリエル好みの量が命でお値段お手頃の大衆食堂が一切ない。おそらくここは観光客用の高級店が立ち並ぶ区画なのだろう。
ガードナーの王都シルディオの貴族向けの店(アリエルは外からしか見たことがない)と比較しても遜色ないような立派な佇まいの店が立ち並んでいる。
そんな店にアリエルが入れるか!答えは否である!持って生まれた貧乏性は少しお金を持ったくらいでは解消したりしないのである!
アリエルは仕方がないので観光も兼ねて、もう少し大衆向けの区画へと足を進めようとしたその時、不意に背後から声がかかる。
「よぅ、姉ちゃん。もしかして、旅の人?よかったらガイドしようか。」
「お姉ちゃん、外国の人っぽいしお安くしておくよ。」
その声の主は10歳くらいの兄妹と思しき子供だった。
両方とも紺色の髪と瞳で服装はこの地区で暮らしている人達より庶民的な感じだ。
どうやら小遣い稼ぎで旅人相手にガイドをしている様だ。
アリエルは二人に微笑みながら話し掛ける。
「そうね。取り敢えず、ご飯を食べようと思うんだけど・・・この辺よりももっと庶民的なお店を探しているの。
いくらで教えてもらえる?」
「その情報なら10シータかな。ガイドとして雇うなら200シータと食事ってところだけどどうかな。」
アリエルの質問に男の子の方が笑顔で答える。
取り敢えず旅人相手の犯罪者ではなさそうだし、土地勘もないのでアリエルは彼らを雇うことにした。
「そうね・・・それじゃガイドをお願いしようかしら。ちなみに2人で200シータ?」
「うん!ただし食事は2人分ね。」
今度は女の子の方が笑顔で答え、アリエルも笑顔でそれに応じる。
「交渉成立ね。それじゃまずはご飯を食べられるところに案内してね。
要望は安くてお腹いっぱい食べられるところで、できれば味もある程度いいところね。」
「了解。ちなみに予算は?」
「一人200シータまでだけど大丈夫?」
「十分だよ。それだけあればうまいものが腹いっぱい食えるぜ。ただしこの辺みたいにお上品な料理は期待しないでくれよ。」
そう言って男の子はアリエルを先導するように歩き出す。
ここに来てお互いの名前を知らない事に気づいたアリエルが口を開く。
「そういえば自己紹介がまだだったわね。あたしはアリエル。2人の名前は?」
「俺はカトラ、こっちは。」
「妹のリルだよ。よろしくね、アリエルお姉ちゃん。」
「うん、よろしくね。カトラ君、リルちゃん。」
こうしてガイドの兄妹を雇ったアリエルは観光を楽しむ為に歩き出すのであった。
一方ナナシと篝は
「ねぇ、フレイム君。お姉ちゃんまだ足が痛いんだけど、治療しちゃダメ?」
「ダメです。それでは罰にならない。」
「うぅ~。フレイム君はそういうところ本当に厳しいよね。もっとお姉ちゃんに優しくしてよ~。」
「篝さんがあまり自分を困らせるような事を言わなければそうしますよ。」
「お姉ちゃん、純ちゃんや赤坂くんに比べたら全然いい子だよ。」
「あの問題児2人と比較したら誰でもいい子ですよ。特に葉山は比較にする事自体が間違いです。」
「まぁ、あの子は照れ屋さんだからね。ちょっと愛情表現が過激すぎるけど。」
「ん?何を意味の分からない事を言っているのですか?それはあの戦闘狂の話ですよね?」
「・・・はぁ、純ちゃん可哀想・・・」
「???」
今2人は観光がてら街を散策しているのだが、その時出てきたのが地球の問題児の話である。
ナナシは問題児に対して自分の見解を話したのだが、何故かその問題児を憐れむ篝の姿にどうにも腑に落ちない様子。
そんな2人が向かった先は図書館である。何故2人が図書館などを目指したかというと
「しかし、フレイム君は真面目だよね。こちらの常識を知っておきたいからって図書館に行くなんて。」
「自分達の知識は基本的にアリエルを経由しているものが多いですからね。
アリエル以外からこちらの知識を得る事も必要だと判断しました。
どうも彼女の知識は偏っているように思えてなりません。」
「う~ん、知識・・というより常識かな。あの子やたら貞操観念が強いし、男性嫌いってわけじゃないけど、接触はやたらと避けるし。
お姉ちゃんだったらフレイム君に抱えてもらったら喜んでぎゅーってするんだけどな~。」
「篝さんを抱えるような機会はほぼありませんからね。怪我をしても直ぐに治りますし、移動だって十分に速いですし。」
「くぅ~~、強い自分がこんなにも憎いと思った事はないよ。お姉ちゃんがもっとか弱ければフレイム君にぎゅーってして貰えるのに。」
「いえ、自分は最強の炎使いである篝さんを尊敬していますので。」
「え!最強のお姉ちゃんを尊敬してるって!!!やっぱり、君は最高にいい子だよ~~~~!!」
「おっと・・・」
ズズズズウゥゥ~~~~~!!
またしても篝はロケットのような勢いで顔面から大地へとダイブする。
そんな哀れはお姉ちゃん(笑)に対して平然とした顔のナナシが淡々と言葉を紡ぐ。
「篝さん。いつも言ってますが、もう少し勢いを抑えて下さい。
そうやって飛びついて自分の自動回避が発動した回数は100回を超えていますよ。」
「うぅ~~。それだけお姉ちゃんラブが偉大で強大って事だよ。別に強大と姉弟をかけたわけじゃないよ。」
「・・・さて、図書館に着きました。自分はこちらの性知識について調べるつもりです。」
「無視しないでよ~。それと公共の場でイヤラシイ事はダメだからね。」
「・・・」
「うわ~ん。無言で蔑むような視線を投げるのはやめてよ~~~!!」
ヒーローズジャーニーの短い休日はまだ始まったばかりである。
どうやらお互いに目的が決まったようですね。
次回はアリエルの方を見ていこうと思います。




