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02.5-01_ヒーローと最強のバットステータス

今回から新たな目的地であるアクルス諸島を目指していきたいと思います。

02.5-01_ヒーローと最強のバットステータス


「どうしよう、お金がない。」


「それはそうだろう。調子に乗って手持ちのガードルを全て寄付したのだから。」


これは3人が港町にもうすぐ到着する頃にアリエルが呟いた一言。

町に入る為の入場料を確認していた時に気づいたらしい。

途方にくれるアリエルに対して、ナナシが淡々と突っ込みを入れていた。

そう、彼らは今、最強のバッドステータス金欠に陥っていた。

アリエルのあまりに絶望した姿に心配になった篝が状況確認も兼ねて話を切り出す。


「アリエルちゃん。今の所持金ってどのくらいなの?」


「・・・あたしが10000マグでナナシ君が1000マグ、カガリさんが文無しだよ。」


「あっ、ごめんなさい。」


アリエルの返事に篝が反射的に謝る。

この魔法少女 (24)は相変わらずお金を稼げないでいたからだ。

この状況を打破すべくナナシが提案をする。


「仕方がない。仕事を探そう。」


こうして異世界に来て始めて、ヒーロー2人はハンターらしい仕事をする事となった。


とはいってもまずは街に入ってハンターギルドまで行かないといけない。

3人は入場手続きをすべく街の門番に話掛ける。


「ようこそ港町『フィッシレ』へ、入場料として一人1000マグ頂きます。」


「・・・はい、これでいいですか。」


「はい、ありがとうございます。」


所持金

アリエル 8000マグ ナナシ 0マグ 篝 -1000マグ(アリエルから借金)


「・・・早速文無しになってしまったな。」


「お姉ちゃんなんて借金持ちだよ~~。」


「カガリさん、お金が入ったら返してもらうからね。」


「わ~~ん、アリエルちゃんの笑顔が怖いよ~~。」


こうして、街に入って早々文無しと借金持ちが増えたところで3人は足早にハンターギルドに向かう事にした。

フィッシレの街はまさに活気に溢れた港町だ。様々な国の食べ物、雑貨、装飾品、などありとあらゆる物が道行く商店にところ狭しと並べられており、それを売るために威勢のいい声で客を呼び込む商人や、それを見ながら楽しそうに買い物を楽しむ住人や旅人で賑わっていた。

僅かに漂う港町特有の潮の匂いも心地よく、そこにいる人々を元気にする明るい雰囲気に包まれていた。

もっともバットステータス金欠持ちの3人には縁のない話で淡々と歩くナナシを先頭に悔しそうに唇を噛み締めるアリエルとしょんぼりした篝が目的地へと邁進していた。

そして街の門番に教えて貰った道順で歩く事数分、ハンターギルドへと辿りついた。

ギルドに入った3人は早速仕事を請けるべく、受付の女性に話しかける。


「いらっしゃいませ。当ギルドのご利用は始めてですか?」


「はい、あたし達、外国からのハンターで仕事を探しています。」


「そうですか。ではハンターカードの提示をお願いします。」


「はい、お願いします。」


3人がハンターカードを渡して待つこと暫し、受付嬢が少し申し訳なさそうな顔でアリエルに話を切り出す。


「・・・・あの、アリエルさんとカガリさんのカード発行の手数料が未払いになっておりますがどうされますか?

発行から1ヶ月以内に手数料を支払って頂かないとカードが失効になりますが。」


「あっ!」


この時アリエルは思い出した。レジーナでカードを作った時に色々ごたついていて発行手数料を支払っていなかったことに。(ちなみにナナシはシルディオで作った時にモンスター素材の売却代金の中から引かれる事で支払われている。)

発行から約2週間経過しており、期限にはまだ少しあるが払っておける内に払っておきたいというのが本音だ。

ハンターカードがなくなると身分証明書を失い、今後身動きが取れなくなってしまう。

アリエルは仕方なく支払いをすることにした。


「はい、今支払います。いくらになりますか?」


「一人3000マグで二人で6000マグになります。」


「はい、どうぞお収めください。」


所持金

アリエル 2000マグ ナナシ 0マグ 篝-4000マグ (アリエルからの借金増加)


「はい、ありがとうございます。ところでどのようなお仕事をお探しでしょうか。」


「え~っと、これからアクルス諸島に行くので、船の代金と当面の生活費を稼げる仕事をお願いします。」


これを聞いた受付嬢は少し渋い顔をしながらアリエルに答える。


「あの~、大変言いづらいのですが、アクルスへの船代ってもの凄く高いんですよ。」


「えっと、具体的には?」


「一人100万マグです。」


「ひゃ!!!」


「皆様、Eランクが一人とFランクが2人ですので今紹介出来る仕事だと、それだけ稼ぐのに相当量の仕事をする必要があります。」


「・・・ちなみに今ある仕事の中で一番報酬が高いものは?」


「これですね。

『下水道の掃除

 報酬10000マグ×掃除した区画数

 街の地下にある10区画の下水道掃除をお願いします。

 時々小型の鼠型モンスターが出るのである程度自衛出来る方を希望。』

正直この位の報酬の仕事では1年経っても船代は貯まらないと思います。」


「「「・・・・・」」」


これに黙り込んだ3人に受付嬢はさらに追い打ちをかける。


「それにお金の問題だけではなく、船自体の方にも問題がありまして・・・」


「船に問題・・・ですか?」


「はい、沖合に災害指定モンスターのクラーケンが出没するようになったとのことで。

沖に出る船は軒並み欠航している状態なんです。」


「「「・・・・・」」」


「ですので今出来る事としましては、可能な限り依頼をこなしてランクを上げつつ、クラーケン騒ぎが収まるのを待つ事くらいですね。

ランクが上がれば受けられる仕事の報酬も上がりますので、うまくいけば半年くらいで船代も貯まるかもしれません。」


これを聞いた3人は受付嬢に聞こえない声で相談を始める。


「ねぇ、どうする?流石に半年なんて掛けられないよね。」


「そうだよね。いっそこっそりお姉ちゃんの箒で海を越えちゃう?」


「ダメに決まってるでしょうが。海を越える時ってしっかり入出国が管理されていて、もしバレたら即豚箱送りなんだから。」


「では泳いで渡って、事故で流されたと誤魔化すのは?」


「このアンポンタン!なんでそんな悪知恵ばかり働くのよ!出来なくはないかも知れないけどその場合は元いた場所に強制送還よ!」


「ちっ!面倒くさいな!いっそ自分と篝さんだけで乗り込んで速攻で片付けて戻ってくるか。」


「ナナシ君!今舌打ちしたでしょう!それにあたしを置いていく気!あなた達、あたしがいないと碌な事しないでしょう!」


「大丈夫だよ。お姉ちゃん達、ちょっと飛んでいって邪神をデストロイしたら戻ってくるだけだから。」


「そして大規模破壊をやらかして国際指名手配犯になると・・・」


「「うっ!!」」


「とにかく船を使わずに海を越えるのは無しだからね。今は金策について考える、いいわね!!」


「「・・・はい、分かりました。」」


「あの~、話は纏まりましたか?」


こそこそと話始めてから暫く経過したところで痺れを切らした受付嬢が声を掛けてくる。

それに対してアリエルが応対する。


「すみません、お待たせしました。取り敢えずお金を稼ごうと思いますが、報酬は高くなくてもいいから時間効率がいいものはありますか?」


ここで受付嬢は少し考え込み、アリエルの質問に答える。


「・・・それでしたら、皆様が正式にチームとして登録するのは如何でしょうか?」


「「「チーム?」」」


「はい。今の個人としての皆様に提示出来る依頼はナナシさんがEランク、残りのお2人がFランクで先程の依頼はFランクのものでした。

でもチームになれば全員がEランクまでの依頼を受ける事が出来るようになります。

そうすればもう少し実入りのいい仕事が出来ると思います。」


ここで受付嬢はナナシ達にハンターギルドのランクの説明を始める。

ハンターには個人ランクとチームランクというものが存在する。

それぞれ個人でギルドに貢献したか、チームでギルドに貢献したかでポイントが加算され、それに応じてランクが決まってくる。

現状、ギルドへの貢献度はナナシは既にDランク以上なのに対して残りの2人は全くない状況だそうだ。

今の状態だとナナシはEランクの仕事を受けられるのに対してアリエルと篝はFランクしか受けられない為、効率が悪くなる。

そこでチームを組みEランクのハンターチームとなる事で、3人ともEランクの仕事に受けられるようになり、効率も上がるという話だ。

これを聞いた3人はチーム登録する事に決めた。


「では、チーム登録をお願いします。」


「分かりました。チーム登録料として2000マグ頂きます。」


「うっ!・・・・お願いします。」


「はい、ありがとうございます。」


所持金

アリエル 0マグ ナナシ 0マグ 篝 -4000マグ(アリエルからの借金)


「それでは登録を致しますので用紙へのご記入をお願いします。」


そう言ってこの世の終わりのような表情をするアリエルに対して、受付嬢は笑顔で用紙を渡してくる。

それを受け取ったアリエルが早速記入を始める。


「え~っと、チーム名、メンバー名(呼び名可)、メンバーの個人ランク、チームリーダーって言うのが必須事項で必要に応じてサブリーダーなどの申請が可能なのね。

チーム名とリーダーってどうしようか?」


「そうだな。ところで受付の方。リーダーの個人ランクでチームのランクが変わったりしますか?」


「いえ、全員の個人ランクの合計でチームランクが決まりますので特に気にする事はありません。」


「うむ、ではリーダーはアリエルだな。」


「そうだね。アリエルちゃんで決まりだね。」


「えっ!あたし。どうして?だってナナシ君やカガリさんの方が強いじゃない?」


ナナシと篝の申し出にアリエルが目を丸くしながら質問する。


「自分達はこちらの世情に疎いからな。対外的な交渉を行う事が多いリーダーにはアリエルが適任だろう。」


「そうだね。お姉ちゃん、そういうの全然できないから。」


「・・・・つまり面倒事を押し付けたいと・・・」


「「・・・・ソンナコトナイヨ~。」」


ジト目で睨むアリエルに対して、顔を背けながら答える2人。やがてため息をつきながらアリエルが了承する。


「はぁ~。分かったわよ。ただしあたしはリーダーなんだから、リーダーの言う事はきちんと聞くように。」


「「・・分かりました。」」


リーダーが決まったところでアリエルが次の話題を振る。


「じゃあ、次はチーム名だね。何か要望とかある?」


「そうだな。取り敢えずヒーローは入れて欲しいかな。」


「そうだね。あと旅してる感じが出たらいいかな。」


「了解。じゃあ・・・・こんな感じでどうかな。」


「うん、いいんじゃないかな。」


「決まりだな。アリエル、それで頼む。」


こうして用紙の記入も終わり、受付嬢にチーム登録をお願いする。


「はい、ご記入ありがとうございます。

メンバーがアリエルさん、ナナシさん、カガリさんの3名。ランクがそれぞれF、E、F。リーダーがアリエルさん。

チーム名が『ヒーローズジャーニー(旅のヒーロー達)』でよろしいでしょうか。」


「「「はい、お願いします。」」」


こうして異世界にヒーローによるハンターチーム『ヒーローズジャーニー』が誕生した。

ここに来てようやくハンターらしい事をします。

そしてハンターチーム【ヒーローズジャーニー】結成。


次回、初仕事をお送りします。

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