02-18_ヒーローと後始末
今回は魔法王を倒した後の行動方針と後始末についての話です。
02-18_ヒーローと後始末
「おい!これはどういう事だ!辺り一面焼け野原じゃないか。」
篝と『賢者の石』との決着がついて少し経ったタイミングでレジスタンスのメンバーが全員外に駆け出して来た。
彼らを代表して、パティンスキーがナナシ達を問い質すとそれに対して答えたのは子供達だった。
「カガリお姉ちゃんが『双子の怪異』をやっつけてくれたんだよ。」
「悪そうなカガリお姉ちゃんをカッコイイ魔法少女ミラクルカガリちゃんがやっつけてくれたんだ。」
「違うよ!とっても可愛いミラクルカガリちゃんだよ!!」
「・・・この子達は何を言っているんだ?」
「・・・・皆さん、私から説明します。」
子供達の説明に只管頭に疑問符を浮かべるレジスタンス達を見て、イザークが少し疲れた表情で先程の出来事を説明する。
この説明を受け、そのあまりに壮絶な内容にレジスタンス達は暫く絶句するが、やがていち早く復帰したジェフが話を切り出す。
「その話が本当ならもうこの国には魔法王も『賢者の石』もいないと言う事だよな。」
「その通りです。」
「これから俺達どうしようか?」
「「「・・・・・」」」
ジェフのその言葉に皆が黙り込む。そもそもレジスタンスとは打倒魔法王の為に集まった組織である。
彼らは今、魔法王が倒された事で大きな目標を失い、次に何をすべきか分からない状態に陥っている。
尤もまだ戦力を集めている途中で『双子の怪異』に襲われる人の警護以外の事はやっていない為、彼らは犯罪者では無い。
このまま解散でも特に問題は無いのだがそれでは全員納得がいかない様だ。
ここでパティンスキーが声を上げる。
「なぁ、みんな!俺達はどうして魔法王を倒そうと思ったか覚えているか!
俺達は皆、このマギシアに大切な者を、家族を、友人を奪われた。
そんな国に復讐したいと思った者もいるだろう。
だが俺は違うと思う。俺達の本当の目的は悲劇を繰り返さない事!この子供達が普通に他の者と同様に健やかに幸せに生きていける国を作る事だ!」
その手を子供達に向かって広げ、高らかに宣言するパティンスキー。
この言葉にここにいる者の全てが感銘を受け、声高に叫ぶ。
「そうだ!パティンスキーの言う通りだ!」
「子供達に、俺達の子孫に幸せな明日を!」
「ありがとう!パティンスキー!やっぱりお前は漢だぜ!!」
「「・・・prpr・・・・」」
「こら・・二人共自重しなさい。」
パティンスキーを讃える皆の言葉にナナシと篝が必死で笑いを堪えるのをアリエルが静かに叱りつける。
幸いにも2人の様子は自分達と同様に感動していると取られたみたいだ。
2人は自分達の持ちうる最大の自制心を持ってなんとか笑いを沈めるとそこへ元凶のパティンスキーがやって来る。
「よぉ、話は聞いたぜ。ナナシにカガリ。今回の『双子の怪異』撃破の立役者はお前ららしいじゃないか。
なんかお礼がしたいが何か希望はあるか?」
「・・ぶふぅ・・・フレイム君、何かある?お姉ちゃんは特に思いつかないけど。」
「・・ふぅっ・・・自分も特に思いつきませんが。
・・・それよりも今後、レジスタンスはどうするのですか。
先程の話だと国から魔力なしに対する差別を無くす為に行動する様でしたが、具体的には?」
「そうだなぁ~。実は俺もいい案がないんだよな。まあこんだけ人がいるんだ。
誰か一人くらい考えを持っている奴はいるだろう。」
「「「・・・・」」」
ナナシの質問に対して、パティンスキーがここにいる皆に水を向けるがなかなかいい案が出てこず、沈黙が広がる。
そんな中、イザークが何か決意した様な表情で口を開く。
「パティンスキー、今後の事はともかく魔法王の死と『賢者の石』の消失については公表する必要があると考えます。
そこで私は魔法王モハマド=マギシアを殺した罪人として裁かれようと思います。」
この言葉に辺りは騒然とする。真っ先に口を開いたのは子供達である。
「院長先生、それって先生が捕まるって事。」
「やだよ!先生は悪い事何もしていないのに。」
「こんなのおかしいよ。先生がいなくなるなんてやだよ!!」
泣き出す子供達を優しく宥めながら、それでもイザークは断固たる決意の元に皆に語りかける。
「みんな、分かって欲しい。例えそれが納得いかなくても罪は裁かれないといけないんだ。
私は魔法王に復讐する為だけにこのレジスタンスに参加した罪深い人間なんだよ。
魔法王を殺した人間として汚名を残すのなら私は本望だ。」
そんな悲壮な空気を漂わせたイザークに水を差す者達がいた。
「所でイザークさん!本当に魔法王と『賢者の石』を破壊したのって私なんだけどどうなるのかな?
私も死刑にならないといけないの?」
「・・・いえ、その罪は私が被りますので、カガリさんがそのような事になる心配は・・・」
「おや?いけませんね。犯人隠匿ですか。しかも統治者を抹殺した人間を隠すとあってはこれは重罪です。」
「まぁまぁ、ナナシ君。確かに犯罪は良くないけど、今回は統治者が悪者だったから仕方ないと思うんだ。それにこの間、カガリさんが言ってた言葉にこんなのがあったよね。」
ここでナナシ達3人が顔を見合わせて言葉を紡ぐ。
「「「バレなければ犯罪じゃない。」」」
この言葉を聞いたここにいる者全員が目を丸くし、暫しの沈黙が場を支配する。
そして一人、また一人と
「・・・・クックック・・・はははははっははぁ~~。
そうだな!!バレなきゃ犯罪じゃねえよな。」
「魔法王も『賢者の石』も跡形もなく消え去ってるんだ。
誰かが殺したなんて言う証拠は一切残ってやしない。」
「正に完全犯罪だな。カガリちゃんこえ~~。」
愉快そうに笑い出す皆を見て満足したナナシ達3人が今後の計画について意見を口にする。
「では、ここの人間が『賢者の石』を破壊したと言うのは隠す方向で。
今後についてだがアリエルに考えがあるらしい。」
「じゃあ説明するね。・・・・」
「おい!そんなんでうまくいくのか?」
「まぁ他に案もないし、いざとなったら魔力なしの子全員連れて国外逃亡って言うのも有りだし、やるだけやってみるのもいいんじゃないか。」
「さて、始めるとするか!一世一代の大芝居を!全員気合を入れろよ!!」
「「「おーーーー!!!!」」」
こうしてアリエルの指揮の元、国から魔力なしへの差別を無くす為、国民全員を騙す為の大芝居が今始まった。
これからナナシ達は国を変えるために何やら芝居を打つようです。
次回、ヒーローショーを予定しております。




