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02-14_ヒーローとハンティング勝負

今回はナナシがモンスターハンターになります。

02-14_ヒーローとハンティング勝負


「カガリお姉ちゃん。このお肉美味しいね。」


「本当だね、シーちゃん。あっ!こっちのお肉も焼けたみたいだよ。」


「カガリお姉ちゃん。ソース取って~。」


「はい、クー君、どうぞ。」


「カガリお姉ちゃん。ピーマンも食べないとダメだよ。そんなんだから大きくなれないんだよ。」


「うぅ、お姉ちゃん、ピーマン苦手なんだ~。ハーちゃんのいじわる~。」


「篝さん、好き嫌いはよくありませんよ。」


「うぅ~、フレイム君まで~。」


「「・・・・」」


ナナシとパティンスキーとの勝負開始の少し前

ナナシと篝は子供達と一緒に焼肉パーティを満喫し、そんな様子をアリエルとイザークが呆れながら眺めていた。

そこへ勝負の相手、パティンスキーがやって来る。


「よぉ、勝負の前に楽しく食事とは余裕だな。」


「「・・・・・」」


パティンスキーが軽い調子で話しかけてきた瞬間、ナナシと篝の肩が小刻みに震え出し黙り込む。

それを見て気を良くしたパティンスキーが快活に笑いながら楽しげに語り始める。


「まぁ、あんな感じで勝負する事になったがこれは俺が先輩としての実力をお前らに教える為のものだ。

別に負けたって何もないから気負わずやればいいさ。

イザークから俺の実力を聞いてビビってるみたいだが無理もない。

これから存分にこのパティンスキー=シマーパンの実力を見せてやるからよ。」


「「ゴホッ・・・・」」


2人はパティンスキーのフルネームを聞いて思わず咳き込む。

人の名前で笑ってはいけない。そんな人として当然の事もできない自分達の不甲斐なさに打ちひしがれながらそれでも本能には逆らえなかった。

こいつは縞パン好きなんだ。パティンスキーに対するイメージが完全に固定され、2人は彼を直視することができない。2人の笑いのツボは小学生並だった。

その様子にパティンスキーは流石にちょっと脅かしすぎたと反省し、その場を去っていく。

実は彼はちょっと自信家なだけで結構いい奴なのだ。

ここで流石にナナシと篝の様子をおかしいと思ったアリエルがその理由を問いただす。

それに対して、篝がとうとう堪えきれずに周りに聞こえない程度に笑い声を抑えながらアリエルに理由を説明する。


「呆れた、そんな理由だったの。」


「だって・・・パティ・・・パン・・・ふふ・・・ふふふっ・・」


「篝さん・・笑っては・・・」


「ほら!そろそろ勝負だから切り替えて。」


「ああ・・分かってる。」


そう言いながらナナシの肩はまだ微かに震えていた。

未だに立ち直れずにいるナナシを余所に勝負の開始時間がやって来た。


「では・・・始め!!」


イザークの合図と共に勝負が始まる。

ナナシは拠点から北へ、パティンスキーは西へと走り始める。


「あの新人は北に向かったか。そっちには獲物なんていないのにな。

こっちは西にあるオークの巣だ。ハイオークでも仕留めるば俺の勝ちは揺るがないだろう。」


そう呟きながらパティンスキーは余裕綽々でオークの巣へと向かった。


一方ナナシは


「篝さんの話だと、北に200キロの地点に大型の鳥がいるとのことだが・・おぉ、あれか。」


ナナシは篝に勝負の前に予めやってもらっていた索敵の情報を元に北へと進んでいた。

そこにいたのはライオンの胴体に鷲の頭と翼と両足、鋭い爪と嘴を持った全長3mはあろうかという巨大な鳥?であった。

知る人がこれを見ればこう呼んだだろう。グリフォンと。

このモンスターは1体でも危険度Aランク超えの上、常に番で行動する。

気性が荒く、子育ての為に時々人里に下りて人の子を拐う事もあることから可能であれば倒すことが推奨されている。

その上このモンスターの爪と嘴は武器の素材として重宝され、翼は高級衣類や調度品として富裕層からの需要も高い。

結果乱獲が進み、今ではその希少価値は計り知れない。

もっとも倒せるハンターなどそうそういないのだが。


ナナシが遭遇してグリフォンも番で、彼を見つけるや否や早速襲いかかってくる。

まず番のうちの大きい方、おそらくオスがナナシに向かった突進しその爪を振り下ろす。


「・・・それ!」


ナナシは彼からすればあまりに遅い攻撃を軽く右手で受け止め、そのまま一本背負いを叩き込む。

グリフォンはその投げで強かに脳天から地面に叩きつけられそのまま頭蓋骨陥没により即死する。


『Cwweeeee!!!』


それに恐れを覚えたメスが翼を羽ばたかせて風の刃を発生させナナシを攻撃する。

この羽ばたきは風魔法でその鋭さは一瞬で大木をなぎ倒すほどだ。

普通の人間がこんなものを受ければひとたまりもない。そう普通の人間にとっては。

ナナシはその風の刃を腕を軽く振るうことで払いのける。


『Cwwaaaeeeeewww!!!』


この光景にメスのグリフォンは半狂乱となりデタラメに風の刃を乱れ打ちする。

それに対してナナシはゆっくりとした歩調で近づき、グリフォンの足元まで距離を縮める。

そして


『紅蓮拳』

灼熱の炎を纏った右拳をグリフォンの頭に目掛けて振り上げる。

その拳の余波と炎の威力は凄まじく、直撃していないにも関わらず、グリフォンの上半身が吹き飛ぶ。

これを見たナナシは思わず苦笑する。


「はぁ・・・今回の勝負は重さなのに、これでは減点だな。

全く、こちらの生物は脆いから力の加減が難しい。」


ナナシはため息をつきながら、グリフォンのオスと下半身だけになったメスを担ぎ、拠点へと戻るのであった。


一方拠点では先に戻っていたパティンスキーは現在獲物の計量中である。


「すげーな、流石パティンスキーだ。ハイオークを2体だぜ。」


「お!計量結果が出たぞ、618キロだってよ。これでまた肉には困らなくなったな。」


「まぁ、今まではあのサンドワームのせいで気軽にオークの巣までは行けなかったからな。

これで食料供給も安定するだろう。」


「しかしこれじゃあの新人はボロ負けだろうな。まあいい薬になるだろう。」


「噂をすれば、その新人が戻ってきたぞ・・・」


「・・・・なんだ、ありゃ・・・」


「あっ!お帰りなさい。フレイム君。う~ん、結構小さかったね。」


「・・・ナナシ君、あなたなんてもの狩ってくるのよ。」


「う~ん、すまない。これがなんと言うのか自分は知らないものでな。」


「そういう事を言ってるんじゃない!!なんでグリフォンを引きずってるのって話よ!!」


ナナシが引きずってきた非常識なもの(グリフォン)にレジスタンスは目を見開き、アリエルが盛大にツッコミを入れる。

ただ一人、思ったより小さくてガッカリしているのは篝だけである。

そんな皆の様子を尻目にナナシは淡々とした様子で計量係に獲物を渡す。


「すまないが計量を頼む。」


「・・・ああ・・・えっと、まずこっちの半分だけのほうが1トンで、全部ある方が2.2トンだな。」


「ちなみにパティ・・・・ごほごほ・・・パティンスキーさんの結果は?」


「618キロだ。」


計量係に結果の確認をしようとして思わず笑いそうになるのを抑えて咳き込むナナシに、元凶であるパティンスキーが応える。

そして左手で頭を掻きながらナナシに右手を差し出す。


「完敗だ。どうやら実力を見誤っていたのは俺だったみたいだな。

これからよろしく頼む、ナナシ君。」


「・・・ああ、こちらこそ。」


「おお!流石パティンスキーさんだ!認めた相手には最大の敬意を払う。」


「パティンスキー、あんた漢だぜ。」


「そうだな。真の漢って言うのはパティンスキーみたいな奴の事なんだろうな。」


「ぶふぅ~~~・・・・」


「ちょっとカガリさん、やめなさいよ。」


男の友情に感動するレジスタンスを余所に今の会話がツボに入ったらしく盛大に吹き出す篝とそれを叱るアリエル。

篝の耳には男はパンティー好きにしか聞こえていなかった。

しかしナナシも篝も笑いすぎだと思います。

きっと娯楽に飢えてるんでしょうね。


次回は『双子の怪異』と対峙できたらいいな。

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