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02-12_ヒーローと反旗を翻すもの

今回、やっと『賢者の石』の登場です。

02-12_ヒーローと反旗を翻すもの


「ちょっと!カガリさん!なんでこんなところにくる必要があるの!!」


「だって私達騒ぎを起こしたから広場に行ったら捕まるかもしれないじゃない。」


「・・・2人とも、地上を見てくれ。動きがあったみたいだ。」


ナナシ達は今、マギシア宮殿前の中央広場・・・・の上空2000m地点にいた。

アリエルは篝の箒に乗せられているのだが、何分上空2000mは未知の世界。

落ちないと分かっていてもその高さにビビりまくっていた。

ちなみにナナシは炎の術を足から噴射しその勢いで空中に浮いている。

そんな風に上空で待機する事暫し、地上で動きがあったようだ。

ナナシはアリエルと篝に地上に注意を向けるよう促す。

そこには地上の宮殿の最上階のテラスから広場に向けて演説するおそらく40代後半の男性の姿があった。

頭に王冠、背に豪華な装飾が施されたマントを羽織っている事からこの国の王と推測される。

その男は右手に持った手のひらサイズの石を天高く掲げながら演説を始める。


「我が親愛なるマギシア国民諸君、今回も集まってくれた事に感謝する。

信心深いそなたらのおかげで今日の『賢者の石』もいつにも増して力強い輝きに満ちている。

では早速ではあるが、皆にはこの『賢者の石』が災いを齎す魔抜けを探し当てられるように祈りを捧げてもらいたい。」


男が大仰な身振りの演説を終えると共に歓声が上がり広場に集まった群衆が祈りを捧げ始める。


「万歳!偉大なる魔法王マギシア猊下!偉大なる『賢者の石』!」


「どうか我々を穢れた魔抜けからお救いください。」


「世界の理から外れた害悪に裁きの鉄槌を!!」


「魔法王猊下!どうか我々に悪魔と戦う力を!!」


「『賢者の石』よ!世界に平和と薄汚れた魔抜け共に地獄を!!」


広場には魔法王と『賢者の石』を讃える声と魔抜けを呪う声に溢れ、一種の狂気に満ちていた。

その光景にアリエルは寒気を感じ、ナナシと篝は嫌悪感に襲われた。

広場が熱狂に包まれてから暫し、魔法王の手にある『賢者の石』が輝き始める。

そしてその光の中から3人の見慣れた姿が浮かび上がる。


「ナナシ君、カガリさん・・・あれって・・・」


「クー、シー、ハー・・・」


「なんであんなところにあの子達の姿があるの?」


『賢者の石』から浮かび上がる子供達3人の姿にナナシ達が戸惑う中、魔法王は言葉を紡ぐ。


「敬虔なるマギシアの民よ!次にこのマギシアに災いを齎す悪魔の存在が判明した!!

この3人の子供を見つけた者、心当たりのある者はこの魔法王モハマド=マギシアに報告するがよい!!

さすれば、この穢れし魔抜け共に余と『賢者の石』が必ずや正義の鉄槌を下して見せようぞ!!」


「「「わぁああああああああ!!!!!」」」


「偉大なる魔法王!!偉大なる『賢者の石』!!どうか我らをお救いください!!」


「あの子供見たことあるぞ!!」


「本当か!!どこでだ!!」


「確か・・・そうだ、イザークのところだ。」


「なんだと!!あの聖人気取りの悪党が!やっぱり奴が匿っていた魔抜けは悪魔だったんだ!!」


「許せねえ!!悪魔と一緒のあのエセ聖人も火炙りにしてしまえ!!」


「魔法王猊下にすぐ報告だ!!」


「俺達は先に行ってあの悪魔を見張っておく!!」


魔法王の言葉を受けた群衆が怒りと狂乱に駆られる。

その光景にナナシ達は危機感を覚える。


「拙いな。あの様子だとイザークさん達が危ない。」


「どうしよう・・早く助けに行かないと。」


「そうだね、ごめん。フレイム君、アリエルちゃんを預かって。

お姉ちゃん、超特急であの子達を助けに行くから。」


「えっ!カガリさん?それってどういう意味・・・きゃ~~!!」


「おっと・・・篝さん、お気をつけて。」


篝はアリエルをナナシの方に投げたかと思うと高速でイザークの孤児院に向けて飛び立つ。

ナナシは放り投げられたアリエルを抱き止めそのまま篝を見送る。

さすがのアリエルもここで暴れたら命が無い事くらいわかるのか、いつもの破廉恥男発言は無い。

ナナシはアリエルを抱えたまま、ゆっくりと人のいない路地裏に着地する。

ナナシは素早くアリエルを立たせた後、街の様子を確認する。

街の人間の雰囲気は先程の祭りで見た楽しそうなものではなく、まるで中世の魔女狩りを見ている様な悍ましいものだった。

そこかしこから聞こえるイザークと子供達を呪う声にナナシは顔をしかめ、アリエルは耳を塞ぎたい気持ちでいっぱいになる。

この声に耐えられなくなったアリエルが小声でナナシに話し掛ける。


「ねぇ、ナナシ君。早くここから離れよう。あの子達を助けないと。」


「待て、アリエル。今、篝さんが助けに向かっている。篝さんの事だから助けたらきっと合図がある。」


焦るアリエルをナナシが窘めているとイザークの孤児院の方向から巨大な火柱が立ち上り、街の城壁の外に向かって伸びるのが見えた。

それを見たナナシが行動に移る。


「アリエル、篝さんの合図だ。街の外に逃げるみたいだ。悪いが抱えさせてもらうぞ。」


「うっ!背に腹は代えられないか、絶対変なとこ触らないでよね。」


「変なとこなど触った事は無い。あまりうるさいと置いていくぞ。」


「分かったわよ、我慢するから早くしてよ・・って、きゃ~~~!!!速い!!ゆっくり!!」


ナナシは篝の合図を頼りにアリエルの抱えたままその場を高速で移動する。


一方篝はと言うと


「イザークさん、クー君、ハーちゃん、シーちゃん、いる!!」


「・・・カガリさん?一体どうしたんですか?」


「ごめん、説明している時間がないの。すぐにここから逃げるよ。」


箒に乗った篝が高速で家に突入してきたのを見てイザークが驚きながら理由を尋ねる。

それに対して篝は一切の説明を放棄し、イザーク達を箒に乗せる。

篝の箒は大きさが自在で、少し大きくすればイザーク達4人と自分を乗せるくらい容易である。

篝が飛び立とうとした瞬間、外から怒声が響いてくる。


「いたぞ!!災いを齎す悪魔とそれを匿う背信者だ!!」


「穢れた魔抜けを捕えろ!!異端者を縛りあげろ!!!」


「カガリさん、これは・・まさか!!」


「え?これってどういう事?」


「行くよ!!箒に掴まって!!」


家の中に突入してくる群衆に訳も分からず怯える子供達と、篝の指示に従い子供達を抱き抱えるように箒に捕まったイザーク。

それを確認した篝は群衆をなぎ払いながら箒で飛び立つと同時に合図の火柱を放つ。


「よし、このまま逃げるよ。それ!!」


「「「・・・・」」」


そして残ったのはそれをただただ見送る群衆だけだった。


うまく逃げおおせた篝とイザーク達は街の外で今自分達が置かれている状況について確認し合う。


「・・・つまり、『賢者の石』から子供達の姿が映し出されたと・・・なんて事だ。」


「取り敢えず逃げ出したけど、大丈夫だよね。」


「どうしたの、カガリお姉ちゃん、院長先生、とっても辛そうだけど。」


「また街の悪い大人に虐められたの。」


「院長先生はとってもいい人なのに外の怖い魔法使い達はいっつも先生を虐めるんだ。」


「カガリお姉ちゃんはいい魔法使いさんなんだよね。先生を助けてよ。」


「お願い。カガリお姉ちゃん。」


「コラ・・みんな。カガリさんを困らせてはいけませんよ。」


「・・・・」


現状を把握し悲嘆に暮れるイザークとそれを心配して篝に助けを求める子供達。

それを見たイザークは子供達を窘めると、そこには黙り込んだまま俯き震えている篝の姿があった。

それを見たイザークは群衆に襲われた事に対して怯えているのかと思い声を掛けようとする。


「あの、カガリさん・・大丈夫ですか。」


「お姉ちゃん・・・お姉ちゃんって言われた・・・」


「・・・・・」


篝は確かに震えていた。そう、『お姉ちゃんと呼ばれた喜びで』

篝の見た目は童顔で身長150cm程度の低身長、巨乳である事を除けばどうあがいても高校生、下手したら中学生である。

例え実年齢24歳であろうと見た目がこれだから常に子供扱いされており、その事にコンプレックスを感じていた。

そしてこの危機的な状況で場違いにキラキラと目を輝かせる篝にイザークは若干引いていた。

調子に乗った篝が無駄にでかい胸を叩きながら子供達に宣言する。


「みんなのお願いは確かにこの篝『お姉ちゃん』が引き受けたからもう安心だよ!

この日本最強のヒーローの一人、『フレアウィッチ』神崎篝にどんと任せて頂戴。」


「「「わ~~~!!お姉ちゃんかっこいい!!」」」


「はぁはははぁ~~!!もっとお姉ちゃんを褒め讃えていいんだよ。」


「全く!大慌てで来てみれば、何を調子に乗ってるのよ、カガリさん。」


「篝さん、無事で何よりです。」


殊更にお姉ちゃんである事を強調する篝に対して一部始終聞いていたアリエルが突っ込みを入れ、ナナシはスルーして無事を確かめる。

全員集まった事で場の空気は一気に明るくなり、先程まで悲嘆に暮れていたイザークも幾分か調子を持ち直したところで今後の話を始める。


「まず確認なのですが、『賢者の石』はあなた方のターゲットでしたか?」


「篝さん、どうでしたか?」


「・・・間違いなくあれは邪神の一部だね。つまり私達のターゲットだよ。」


「と、言うことはあれを破壊したらあたし達は国際指名手配犯になるってことだね。」


「・・・いえ、その心配はありません。」


「「「???」」」


アリエルが犯罪者になる事を危惧するのに対してイザークがそれを否定する。

その理由が分からない3人が困惑するところにイザークが理由を説明する。


「『賢者の石』の破壊は『私達』の悲願です。

あなた方は『私達』に協力する形であの『賢者の石』を破壊して頂ければいい。

その咎は全て『私達』が被ります。」


「イザークさん。さっきから言っている『私達』とは?」


「『私達』は魔力の有無に関わらず誰でも平等に暮らせる国を目指すもの。

魔法王と『賢者の石』とそれに付き従う魔法使いに反旗を翻すもの。

『私達』はレジスタンスです。」


イザークから語られた彼の素性に驚きを隠せないナナシ達であった。

明かされるイザークの素性。そして『賢者の石』破壊に向けて反撃開始。


次回、レジスタンスとコンタクトをとります。

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