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02-08_ヒーローと頭脳派アリエル

やっと王都マギルートに入ります。

今回は情報整理をしていきます。

02-08_ヒーローと頭脳派アリエル


入場手続きをなんとか終えた3人が早速王都『マギルート』の中へと入った。

流石王都というだけあって街は活気に溢れ、とても賑やかだ。

砂漠の都市だけあって、建物は石造り、レンガ造りのものが多く、その建物には色鮮やかな装飾と不思議な幾何学模様が施されている。

街は中央に行くほど建物が立派になっているようで、ちょうど街のど真ん中に一際大きく立派な建物がある。

今3人がいる場所はメインストリートのようで店舗や露天で商人達が自分の店の商品を客に奨める声や、仲良く手を繋ぎながら楽しそうに街を散策する親子連れ、喫茶店で愛を語らうカップル、学生らしき若者が笑いながら店舗を物色していたりと実に平和な光景が広がっていた。

3人は今後の行動方針について相談を始める。


「取り敢えずだが、これからどうすればいいと思う?」


「う~んとね。実はお姉ちゃんもよく分からないんだよね。お姉ちゃんっていつも索敵の術で敵を探してそのままデストロイしていたから。」


「自分も似たようなものです。すまない、アリエル。なにかアイデアはあるか?」


「え~っと、2人とも今までそんな脳筋な事してたの?じゃあ、捜査とかはからっきしなんだね。」


「「・・・・・」」


「はぁ、取り敢えず考えるから、まずはどこか落ち着ける場所を探そうか。」


しょんぼりする脳筋の2人に対して、アリエルが取り敢えずの指針を示す。

3人は近くに飲食店を見つけたのでその店内に入り、今後について話し合う事にした。

店の扉を潜ると一人のウェイターがアリエルに声を掛ける。


「いらっしゃいませ。お客様は1名様で宜しかったでしょうか。」


「・・・・」


その悪意が全くない言葉にアリエルの機嫌は急降下する。

文化の違いと言えばそれまでだが、やはり仲間を無視されると腹が立つ。

アリエルは不機嫌さを隠さず、ウェイターの発言を訂正する。


「・・・3名よ。案内お願い。」


「・・・・かしこまりました。こちらの席をどうぞ。」


先程まで笑顔だったウェイターの態度は一変、不愉快な視線を遠慮なくナナシと篝に投げつけてくる。

案内されたのは他の客からだいぶ離れたあまりいいとは言えない席であった。

魔法使いがいてもこれでは他の魔力なしの人間がまともに暮らしていけるとはとても思えない。

門番がナナシ達の入場に渋い顔をした理由がよく分かる。

席についたアリエルは努めて明るくナナシ達に話を振る。


「さて、取り敢えずなにか頼みましょう。何にする?」


「そうだな、自分はビタミン・・・いや野菜が食べたい気分だ。」


「お姉ちゃんはね~・・・お肉が食べたい!!!」


「分かったよ、適当に頼むからね。それから今回は50人前とか無しだからね。」


「分かっている。ここでは目立つ真似はできないからな。」


思ったより明るいヒーロー2人にアリエルは安心しながら店員に注文をする。

注文を待つ間アリエルは今後の方針について話を始める。


「今後の方針なんだけど、まずはカガリさんの術で反応があった場所について調べていこう。

ちなみにどの辺から反応があったの?」


「え~っとね~。街の中央の一番立派な建物からだと思うよ。」


「じゃあまずはその建物について調べましょう。

その建物がなにかによって行動方針が変わってくるから。」


「うん、分かったよ!建物の構造を調べてデストロイするんだね!!」


「違~~う!!なんで破壊する建物についていちいち調べるのよ!!この脳筋娘!!」


「では、忍び込んで奴と思しきものを徹底的に破壊するのか。」


「おバカ!!あなた達は破壊する事しか頭にないの!!」


「「ではなんで調べるんだ(の)?」」


二人の本当に分からないという顔にため息をつきながら説明する。


「あのね、ここは王都なのよ。ここで一番立派な建物なんて王城もしくはそれに類するものである可能性が高いでしょう。

そんな建物をいきなりデストロイしたら間違いなく国際指名手配ものよ。それは建物に忍び込むのも同じ。

特にナナシ君はガードナーでも王城に忍び込んだ前科があるから絶対自重して、いいわね!!!」


「「・・・はい、分かりました。」」


ナナシと篝はアリエルの剣幕に思わず怯みながら随順する。

二人の様子に取り敢えず満足したアリエルは話を続ける。


「まず、確認したいんだけど、私達のターゲット『名前ある者の神』っていうのは『石板様』みたいな鉱物なんだよね」


「ああ、そうだ。奴は元々一つだったものを自分が叩き割って今の形になっている。

大きさは分からないが材質は『石板様』と同じだろう。」


「つまり、ターゲットが王城にあるならもっとも怪しいのは『賢者の石』だと思うのよ。」


アリエルの推測に2人はキラキラと尊敬の眼差しで見つめる。

そして少し興奮した篝がアリエルを褒め讃えながら口を開く。


「凄いよ!アリエルちゃん!アリエルちゃんって実は頭脳派だったんだね。」


「はははぁ~~、そうでしょう。そうでしょう。」


「じゃあ、早速その『賢者の石』をこの世から消滅させに行こう!!」


「おバカ!!さっきからダメだって言ってるでしょう!!!」


「ん?何故ダメなんだ?元凶はもう分かっているのに?」


「そうだよ~、アリエルちゃんの意地悪~。」


「黙らっしゃい!おバカ2人!!あたしが言ったのは推測よ。

まずはそれを確信に変える為の裏付け作業が必要なのよ。

最初にターゲットの所在を明確にする事、それを穏便に排除する方法を探る事、これが必須条件だよ。」


「うむ、言いたい事は分かったが『賢者の石』だとしたらそれはこの国の神器なのだろう。

そんなものを穏便に排除する方法などあるのか?」


「うっ!・・・それをこれから調べるのよ。」


アリエルはおバカだと思っていたナナシの鋭い質問に思わずたじろぐ。

そこへ注文していた料理が届いたので食べながら更なる情報の整理をすることにした。


「ところでアリエルに質問だが、『石板様』はいつ頃からガードナーにあったんだ?」


「ん?私が知る限りでは300年以上前だね。それがどうしたの?」


「自分があの邪神と戦っている事は話しただろう。

自分が奴を倒したのは、自分の感覚で大体7日前、つまり君とあった日なんだ。」


「へ?でもそれっておかしくない。なんであの日に倒したものが300年前からあるの?」


「あぁ、それは邪神が時空震に巻き込まれて異世界転移したからだよ。

これはあくまでも推測なんだけど『名前ある者の神』はこの世界に転移する際にいろんな時間に移動したんだと思うの。

だから300年前のこの世界に奴が存在できているんだと思うよ。」


「つまり、奴を全部倒すには自分達も時間移動をしないといけない可能性があるわけですね。」


「もしくは奴が全部この世界に転移出来た時代が今だからフレイム君がこの時代に転移されたのかもね。」


「それについてはあの異世界転移の女神の回答待ちですね。」


「こちらからコンタクトできないのが不便だよね。」


それから暫くして情報の整理も終わり、食事も済んだところで店を出る事にした。

店にいる間感じたナナシと篝を軽蔑する様な嫌な視線に対して、苛立ちを隠すのに必死なアリエルであった。

次回から情報収集です。

それからひと悶着ある予定です。

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